そこに私はいません
眠ってなんかいません(「千の風になって」)
少子高齢化にともなって墓がある種の「迷惑施設」になってきた。
このままいくと10年後には東京ドーム140個分の土地が墓になるという。
オレに子供はいないので、現在新潟県に住む妹の息子ふたりが墓を継ぐことになる。
しかし墓の維持やお盆などの墓参りなど負担になり、彼らの自由を縛る。
問題を先送りせず、オレたちが生きているうちに解決しようと、墓じまいに踏み切った。
全国5地点で38度超えが観測された猛暑日だ。
ヨーロッパ大使館の避暑別荘が集まる日光でさえ、35度近い。
約10人の親戚たちが日光市龍蔵寺の墓地に集まってくれた。
数日前に墓を掃除し、今日は母がやっていた喫茶店「ガーベラ」にちなんで花屋でガーベラを買い、当時使っていたコーヒーカップに熱いコーヒーをいれた。2人が愛煙していたピースを添える。
(お坊さんに3万円。墓石屋さん25万円)
いよいよ骨壷のとりだしである。
石屋さんがまわりの砂利をよけ、バールで墓蓋をとりのぞく。
父方曽祖母:チヨ(1952年1月5日。73歳)。
父方曽祖父:貞祐(1948年4月2日73歳)。
これはある意味感動の再会である。
思いっきりリアルで、彼らへの感謝がこみあげてくる。
彼らが完璧な人生を生き、恋をして、必死に育て、命のバトンをつないできたから、オレは今ここにいる。
豊かな我々には想像を絶する苦労があっただろう。
なぜなら祖先はオレたちの心と体に生きていることを知っているからだ。
現代的にいうと、オレたちのDNAは祖先から受け継いだものであり、彼らが生きているときに授けられた知恵によってオレたちは精神的影響を受けつづけている。
この「祖先力」を意識して使えるようになると、わずか5%の顕在能力(意識=人間)をはるかにこえる95%の潜在能力(無意識=神)を引き出すことができる。
先住民が祖先に感謝するのは古い迷信どころか、現実的な恩恵のすごさを熟知していたからである。
オレと妹が死ぬと、祖父母(松吉&トヨ)の人格は消え、妹の子供たちが死ぬと父母(文夫&美智子)の人格が消える。
だから自分が生きている間に死者をたくさん思い出してあげよう。
死者への感謝するほどあなたが引き出せるパワーも大きくなり、成功と幸せが得られる。
墓なんかなくてもだいじょうぶ。
彼らはいつもあなたとともにいる。
「リメンバーミー」(私を思い出して)
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