存間「存候間」=0と1の間

/葉桜にやうやくなりて落ち着きぬ

/春雨や軒叩く音ねむくなる

/花活けて部屋巡りして妻の謂

/花の枝妻はリンゴの木の下に

/柿若葉藤房の花一ト雨に

/浅井家に桜の花のいや勝り

/花の雨花の筏と流れけり

/絹さやの採る楽しみや数へつゝ

/迎へつつ送る鬱金の桜かな

/めんどうだ「好きよ」トモロウ春の風

/言伝や花から風へ手から手へ

/葱坊主存間のことと決めかねず

 

倉石智證

松芽掻き。

芍薬と牡丹と。

花の四時。

/芍薬と牡丹の蕾競ひけり

/楽しみは三時のおやつ松芽掻き

/剪定師の縁側刻や拱手して

/射干の花一瀉千里と云ふ言葉

/翠摘みぴょんぴょんそんなに急かすなよ

/降り立ちてホッと安堵の高梯子八十路の爺の胸騒ぎかな

/大嚏ティッシュの山や眼が痒い

/歯磨きのチューブ押し出す春の鬱

/翠摘みやがてそこから風薫る

/木に上るすなはち松の芽掻きかな

/こなからと妻の野に在るよもぎ餅

/植え季どき鍬振り下ろす風薫る

/幻聴やなんじゃもんじゃと蝉の声

/春朝やお箸取り換えばやの噺

/チューリップのまだまだがんばると云ふ仕草

/一ト雨の来て藤棚の色付けり

/難聴の人ゐて春の道塞ぎ

/独活の香やガラスボールのサラダかな

/はんなりと出汁巻きの香春の宵

 

倉石智證

管理機を転がすダイナモの音、

刈り払い機は全開、

除草剤も出動。

/にっよほりとアスパラの地、睥睨す

/管理機の音刈り払い機の全開す

/過ぎたるは及ばざるごと桜かな

/チューリップの花日時計にさからはず

/ブルーシート持ちて文庫本持ちて

/風力8、ネギ活着の確かなり

/クレソンの杜に爪置くあわてんぼう

ザリガニくんの逃げろ逃げろ

/放棄地に片寄せ合ってハルジオン

/光合成見えないものはe-かな光り耀く畑に野原に

/新樹光枝バッサリと水滴る

/涅槃西風(ねはんにし)旅行鞄を置いてみる

(黒田杏子をコピーする)

/絹さやの翠は朝のサラダかな

/放棄地に妻と二人で繰り出して雑草退治雲のぷかりす

 

倉石智證