藤の花房。

松手入れ。

来客あり。

/来客がありて梯子を松手入れ

/来客のありてよろこぶよもぎ餅

/午後の部や梅の若葉のあからえく

/須臾(しゅゆ)の間や邯鄲の夢藤の花

/クマンバチ動かざることホバリング

/天蓋は藤房蜂の翅音かな

/嬲(なぶ)られて悦ぶ藤に涅槃西風(ねはんにし)

/牡丹咲く息子(こ)の誕生日おめでとう

/春耕了として空に雲を見る

/よき処に咲いたね松にアマドコロ

/チューリップの花の散るのを見送りぬ

 

倉石智證

チューリップはさやうならだ。

牡丹が咲き初めた。

翠摘みまだ半分。

藤房にはBzzzzzzzz ♪

夏日予報だよ。

/紫木蓮鵯の躁ぎを余所にして

/花韮は庭の秘密の場所になり

/まろび出て妻が手伝う松手入れ

/松手入れ妻が見上げる高梯子

/翠摘み確かな手順あるで無し

/さやうならと最期の一ト片チューリップ

/ずいぶんと姉妹のやうにチューリップ

/藤房やゐずこともなくクマンバチ

/ホバリングむらさき匂ふ藤の花

/むらさきの簪(かんざし)揺れて藤の花

/雪形が出たかな富士に夏日とか

/夏予報に思はず晒す氷見うどん

/村夫子手を叩きをり畑のもの

/手作りの餃子の韮はそこいら辺

/花披く牡丹明日から気ぜわしく

/富貴なるものの是非見せておくれ初牡丹

 

倉石智證

存間「存候間」=0と1の間

/葉桜にやうやくなりて落ち着きぬ

/春雨や軒叩く音ねむくなる

/花活けて部屋巡りして妻の謂

/花の枝妻はリンゴの木の下に

/柿若葉藤房の花一ト雨に

/浅井家に桜の花のいや勝り

/花の雨花の筏と流れけり

/絹さやの採る楽しみや数へつゝ

/迎へつつ送る鬱金の桜かな

/めんどうだ「好きよ」トモロウ春の風

/言伝や花から風へ手から手へ

/葱坊主存間のことと決めかねず

 

倉石智證