松芽掻き。

芍薬と牡丹と。

花の四時。

/芍薬と牡丹の蕾競ひけり

/楽しみは三時のおやつ松芽掻き

/剪定師の縁側刻や拱手して

/射干の花一瀉千里と云ふ言葉

/翠摘みぴょんぴょんそんなに急かすなよ

/降り立ちてホッと安堵の高梯子八十路の爺の胸騒ぎかな

/大嚏ティッシュの山や眼が痒い

/歯磨きのチューブ押し出す春の鬱

/翠摘みやがてそこから風薫る

/木に上るすなはち松の芽掻きかな

/こなからと妻の野に在るよもぎ餅

/植え季どき鍬振り下ろす風薫る

/幻聴やなんじゃもんじゃと蝉の声

/春朝やお箸取り換えばやの噺

/チューリップのまだまだがんばると云ふ仕草

/一ト雨の来て藤棚の色付けり

/難聴の人ゐて春の道塞ぎ

/独活の香やガラスボールのサラダかな

/はんなりと出汁巻きの香春の宵

 

倉石智證