秋は花野へ。

/今朝起きて花野は韮の花盛り

/いざゆかん花野は化野の先に

/成年式手は尻にあり汗を掻き

/ばーさんに溽暑いやがるリハビリをなだめすがめつ汗の行列

/日短に気にすることも子らの声

もう6時前になる。

子供らの遊び呆ける声が愛らしい。

/人夫らの日影に入る午前かな

/ガガンボの壁にしがむる常夜灯

/ミゾソバや風に揺れゐる金平糖

/種播いて篩に土を如雨露かな

/網戸来て髯のそよろに鳴く虫の

夜更けて部屋に呼ばんとぞ思ふ

/おらの胡瓜は美味いなぁと末期の棚の胡瓜いただく

/蔕(へた)に来て南瓜に秋の色深し

/栗誘ふ縄文人と小布施かな

中学の同級生の女の子ちゃんから栗が届いた。

貴重な胡瓜も届いた。

/東京にゲリラ豪雨のやや過ぎて甲府盆地に雨の降り初む

 

倉石智證

上高地から涸沢、

秋めく花模様。

秋の日はさらさらとさらさらと流れてゆくのでありました。上高地はさすがに下界より涼しく、栂の大木の林に入ると、鼻の奥がつんと冷えて来るのです。秋の花はノコンギクがまず足元に出迎えてくれる。白い花はサラシナショウマの優美な花穂、ぶきっちょなカニコウモリ、写真にはピントがずれて載せませんでしたけれどセンジュガンピが控えめに咲いていました。紫色と云へばトリカブトの色、ホタルブクロ、ソバナ、シャジンソウは見当たらず、目立たないけれどカメバヒキオコシが登山路にしな垂れ掛かっているところもありました。それに黄色はアキノキリンソウ、キツリフネなどが忘れられない。やっぱりしかし山路も奥に入ると赤い色が気になり出します。ゴゼンタチバナの実の赤、ガマズミ、それとなんといってもナナカマドの実の赤、赤、赤や赤です。真っ赤に葉が色付く紅葉のシーズンがもうすぐそこまでやって来てゐます。夏の背(そびら)を追いかけて、秋は山の上から大股で下りて来る。天狗の団扇の一振りで涸沢カールも真っ赤に色付くことでしょう。秋の日はさらさらとさらさらと流れてゆくのです。露を帯びていたものもやがて乾き、わたしは急ぎ足で写真を撮り、それを思い出の大切なものとして宝石のやうに大事に写真箱に仕舞ふのです。

 

倉石

never give up !

/里芋に三日見ぬ間の毛虫かな

/草の原打ってトンボの生れしより

/ギアチェンジ上手に出来て草刈り機

/跨ってドン・キホーテよ夏の雲

/ゆうれい花ナツズイセンのそっと咲き

/蛞蝓(なめくじ)ら這ひし胡瓜の痘痕(あばた)かな

/選果場年寄りばかり夏の朝

/青い花赤い花とに咲きにけり

/百日草花穂重くなり倒れけり

/手を打って摘芯の頃探りけり(皇帝ダリアの)

/葉物蒔けと義姉云ひにけり溽暑かな

/落花生にカラスの悪さなかなか尓(に)

/初物やカラスとわたしと落花生

/軒の蜂のさ迷ふかに見えて羽音かな

/傾眠の深し南瓜に秋の色

never give up !

 

倉石