喪中はがきを書く。

/百日紅とっくに落ちて百日草

/鋭角に陽が落ち皇帝ダリアかな

/子らの声角に暮れ行く釣べかな

/上京やハラン採るのを忘れずに

/畑中を車で喪中葉書かな

/錆び色に紅葉になるや雪柳

/さつま芋チップス母に紅はるかお指削りて息子のために

/山茶花やすぐの隣りのヤツデかな

/老い二人炬燵に手延ぶ時雨かな

前向かいのおじさんおばさんはもう炬燵を出してほっこらと。

 

喪中葉書を書いた。ば様の面影が去来する。二階は寒いままだ。トイレが近くなり厠へ降りる。立ち上がるべくもないば様が立って歩くのに出くわす。或いは座敷でば様の野太い声の譫妄を聞く。なるほどば様はまだまだそこいら辺にゐるのだ。あの世とこの世を出たり入ったり。なにしろ四十九日まで七回の裁判を受ける。こちらにいる人たち係累の後押しが必要だと云ふ。そらほらよいこらしょ。

 

倉石智證

「焚くほどは風が持て来る落ち葉かな」良寛さん

/満天星(どうだん)の陽を棲まはせて赫赫や

/天ぷらが待たるる茸干しにけり

/山を下り茸うどんに舌鼓

/畑芥いくたび数へ積みにけり

/按配を屋敷紅葉の下に出て

/紅葉散る境を出でて家屋敷

/梧桐の大仰な音枯葉かな

/クマンザレ大と小とを使い分け

/ふる里の芋に応える吊るし柿

/トリセツは苦土石灰を撒けて云ふ

/山茶花や花咲く小春日和かな

/鵯が来て皇帝ダリア花一輪

やっと二輪兆した。一輪は鵯に啄まれた。

12/3は最低気温零℃。

4日から氷点下になる予報。

 

倉石智證

風呂三昧。

湯田中温泉から大室温泉へ。

帰郷。

/幣提げて神の依り代道祖神千曲川べり芝枯の中

/風呂三昧お風呂尋ねて大室に紅葉の中にお湯はありけり

/湯煙やお指のごとく右左木枠に頭眼を瞑るなり

/日照雨(そばえ)降る蓑傘二つ露天の湯

/紅葉葉の木枠に掛かる露天かな

/温泉に紅葉散り敷く底ゐかな

/地場野菜売られて蜜柑買う媼

/霜月や皇帝ダリア無残やな

/葉落ちて富有柿空に耀けり

/お葉漬けをもらって帰る長野道傘で見送る姉の笑顔や

/来てみれば里芋玄関にドン。同期の乙女北信濃から

/エロスとタナトスとリビドーは如何に百日草

十二月になろうとしているのにまだガンバッテくれている。

 

倉石智證