風呂三昧。

湯田中温泉から大室温泉へ。

帰郷。

/幣提げて神の依り代道祖神千曲川べり芝枯の中

/風呂三昧お風呂尋ねて大室に紅葉の中にお湯はありけり

/湯煙やお指のごとく右左木枠に頭眼を瞑るなり

/日照雨(そばえ)降る蓑傘二つ露天の湯

/紅葉葉の木枠に掛かる露天かな

/温泉に紅葉散り敷く底ゐかな

/地場野菜売られて蜜柑買う媼

/霜月や皇帝ダリア無残やな

/葉落ちて富有柿空に耀けり

/お葉漬けをもらって帰る長野道傘で見送る姉の笑顔や

/来てみれば里芋玄関にドン。同期の乙女北信濃から

/エロスとタナトスとリビドーは如何に百日草

十二月になろうとしているのにまだガンバッテくれている。

 

倉石智證

むかし護国平和観音“百釈観音”。

昭和13年、父、晋山する。

昭和18年、父の絶頂期、お袋に抱かれているのは兄。

この時にお腹に年子の姉がゐる。

(昭和19年、お国の政策のため観音様は“回収”されます)

家運傾き家がどん底の頃から二人に諍いが。

再び篤志家などの結集の努力で平和観音が建立。

昨日は永い時を経て、兄妹が観音様を詣でる。

仲直りが相成った。

人間歳をとるのも大事だわぁ。

まあるくなる、ありがたいことです。

/冷(すさ)まじきうからの諍い四十年けふは小春の日に至りけり

/諍ひて兄妹に四十年観音様にけふまるくなる

/格子から冴ゆる月見る一茶の湯なにか掛けたき鎌の形や

/父のルーツ母のルーツを弥勒山平和観音空に黙せる

/青年期天翔けるかな湯田中に護国観音平穏の丘に

/花手水(ちょうず)縁に溢れる菊の花龍の口から漫ろ流るゝ

/階(きざはし)や庭に散らばる落ち葉掻き

堂屋の下みなボランティア

/ここからは一茶の小道森の奥多分紅葉の埋め尽くしけれ

/お運びや異国の人の湯の宿の若き女人の細腰(さごし)勁かり

倉石智證

茸採り。

/きのこ採りけふはどこまで行ったやら

/枯葉踏む林床に射す陽やはらか

あともう一度雪が降れば、茸たちは自分たちの傘の内に溶け出すだらう。いそげいそげ茸たちよ。でも自分たちはおくびにも出さず、林の中はくすくす笑いで静まり返る。莫迦にしてゐるわけでもなく、藪漕ぎをしてゐるきみたちよ、私たちにしてみても、いまは親にも子にもかくれんぼ。茸通信はバリアーを張って、みぃんな自分にかくれんぼして、今年もあんまり採れなかったなぁ。

 

倉石智證