忘年会。

/手袋を脱いで無沙汰を框から

/ご無沙汰や病得る人多くして

▲がんがお二人、脳梗塞、複雑骨折…

/もんじゃ焼き湯気ほっこらと顔隠し

/思ひ出はしんみち通星めぐり

みんなみんな上智の学生だった。

姫はともかくみんなみんなオッサンになった。

/或人は千葉まで帰る冬銀河

/夕まぐれてわが頭髪も冬ざるる

/陽の箭柄(やがら)座敷に入りて妻昼寝

/ピザ皮の熟成ほつりほつりかな

/遊び事バイクで帰る冬手袋

/snsで新年会を知らすかな

 

倉石智證

忘年会。

/八雲立つヘブン天国と云ふことに

/この壁のところで生活するしかありません

/ウィトコフとは誰だウィトコフを撃つ

/冬晴や健診結果医院へと

息子、カミさん、わたし、

三人とも異常が無くてよかったです。ホッ。

/吊るし柿粉吹く激情収まりて

/枯露柿の桐箱に待つ冬麗

西船橋の翁が吊るし柿が完成したと !

/人間(じんかん)や熊の胃袋河原奔る

/霜月尽早や忘年会第一陣

 

倉石智證

 

上京、釈迦堂で雪が輝く南アルプス。

映画『ドクトル・ジバゴ』。

/線香のくゆり白菊のままに

/乱菊やことほどさよう従はず

/百日草褒めて百日草なるや

/この際は皇帝ダリア活けてみる

/色付くや新宿奪衣婆唐楓

/物語雪と氷のジバゴかな雪溶けるほど愛の交錯

/妻と観る映画はドクトル・ジバゴかな

オマー・シャリフの眼の魅了する

/「女は待つもんだ」と云ふ台詞ジバゴかな

/二等辺三角秋はバラライカ

/釈迦堂や南アルプス雪耀やう

/ノベンバーステップス落葉散るままに

/東京の鰥夫(やもお)牡蠣喰ふ箆反す

 

倉石智證