高処、また梯子の人に。

/climb every mountain と云ふ気分高処

/剪定の音世間をば低く見て

/灯籠に椿の蕾落ちるかな

/玄関に陽のあたたかくおはやうと

/吊るし柿すだれる向かう隣りかな

/枝打ちや三種の神器並べたて

/枝打って清しく幹の立てるかな

/ダンスダンスダンス空に躍れる仁王かな

/梧桐の枯葉は膝の高さまで

/芍薬の末枯れるけふの仕舞いかな

 

倉石智證

 

「湯豆腐やいのちのはてのうすあかり」(万太郎)

「朝茶飲む僧静かなり菊の花」(ばせう)

/鍋喰ふて鍋のお粥の朝になり

/枯葉散る梧桐の木ろくでなし

/不織布を掛けてエンドウ豆の空

/リアルとは月出る月を見るでなし

/お願いです皇帝ダリア咲いてください

/山茶花やこの指とまれ幼き日々

/冬麗や会計事務所に行く坂に

/富有柿やあといくつ寝るとお正月

/中落ちや妻の手になるネギトロ巻き

/霜練れて色青々と菠薐草甘味の舌に落ちて来るかな

/口福や霜練れし日や菠薐草

/凩の打ち負かせけり菊の花

 

倉石智證

家飲み。

/秋寂しカロリー零のロング缶

/厚岸の牡蠣は一個500円

/和歌山に村錆びれゆくマグロ漁

/鍋囲み湯気いっぱいの家族かな

/ピッツァもうまく出来たよとアッちっち

/鍋下ろす妻には太き鍋掴み

/センマイ刺し見た目は秋の末枯(うらが)れる

/歳時記はどこかな飯田橋の交差点

/歳時記やロングコートでVサイン

/恩赦だと、徹也でなくてネタニヤフ

/痒いかゆ~いの馬油を塗ってひとみごろ

 

倉石智證