喪中はがきを書く。

/百日紅とっくに落ちて百日草

/鋭角に陽が落ち皇帝ダリアかな

/子らの声角に暮れ行く釣べかな

/上京やハラン採るのを忘れずに

/畑中を車で喪中葉書かな

/錆び色に紅葉になるや雪柳

/さつま芋チップス母に紅はるかお指削りて息子のために

/山茶花やすぐの隣りのヤツデかな

/老い二人炬燵に手延ぶ時雨かな

前向かいのおじさんおばさんはもう炬燵を出してほっこらと。

 

喪中葉書を書いた。ば様の面影が去来する。二階は寒いままだ。トイレが近くなり厠へ降りる。立ち上がるべくもないば様が立って歩くのに出くわす。或いは座敷でば様の野太い声の譫妄を聞く。なるほどば様はまだまだそこいら辺にゐるのだ。あの世とこの世を出たり入ったり。なにしろ四十九日まで七回の裁判を受ける。こちらにいる人たち係累の後押しが必要だと云ふ。そらほらよいこらしょ。

 

倉石智證