Hard Times Come Again No More
このところ、思うところあって手が空けばBASS(友人の借り物)を弾く。
別にベーシストに転向したわけもなく、そんなリズム感もなく。
しかし実に楽しい!ベースってこんな楽しかったんだあ。
とどのつまり、いろんなことを忘れられるのはネックを握っているときと包丁と・・・と。
包丁握っているときに殺意を覚えませんように。
ネック握っていることが人生のネックになりませんように。
そしてお題目はStaple Singersのアルバム「RESPECT YOURSELF」。
このアルバムの要は何といってもステイプルシンガースの歌とベースの絡み。
人生最初にこんなアルバムに出会っていたら、確実にベーシストを希望しただろう。
クレジットはないが達人ベーシスト。派手な演奏はないが、ベースがリフを創り、うねる。
そして、72年のメイビス・ステイプルの歌が実にセクシーだ。
そして、やはり最近の愛聴盤がStephen C. Fosterのトリビュート盤で歌う04年のメイビス・ステイプル。
フォスターといえば、小学生の頃にも習ったスワニーリバーの作曲者。
メイビスが歌うのは「Hard Times Come Again No More」。
ここではセクシーを通り越し、円熟味を増したメイビスの歌に、涙する。
この曲は柳原幼一郎風に訳せば「辛いのは、もうこりごりだ。」
メイビスが歌うと、まるでかつて過酷な労働を強いられた南部の黒人達の亡霊が宿っているようだ。
そんな過酷さを想像しなくても、この歌には「もう、いいんだ。終わったんだ。」と
肩を叩いてくれる器がある。俺のような思い上がったロクデナシにも。
三つ巴の夜
最終電車で阿佐ヶ谷に降り立ち、
シャイさんとナビィ(寿)とばったり。
「うねる?(阿佐ヶ谷沖縄&南国居酒屋うねり亭動詞)」と誘われ、
このメンツで飲むのは初なので、断る理由なし。
話は飛びまくり「イカはイルカより頭がいい。いずれ人間より繁栄するだろう」とか、
「何故、人は奇数にパワーを感じるのだろう」と、高尚なんだか馬鹿なんだか、
ほぼ直感だけの会話がすすむ。
その中でナビィの話には、ぎょっとした。
「最近の沖縄でレイプされた少女の取り扱い、産経新聞ひどかったね!
少女の実名と家族の実名を挙げて、彼女の日ごろの行いがいかに酷かったか、レイプされてもしかたがない
って内容」には・・・産経新聞を読んでいないから分らんが、
こんな人権侵害が許されるのだろうか?(読んだ方はおりますか?)
最近、この手の力なき被害者を叩く、姑息な2チャンネル的メディアがはびこっているから
さもありなん、なんだがいーのか?黙っていて?
どうやら、少女側が告訴を取りやめたのも、こういうメディアの潰しが原因のようだ。
そんな会話の中、シャイさんが言う「沖縄は独立するしかない。」
そう、私の周りのうちなんちゅうミュージシャンはみな、こういうね。
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先日、荒川土手沿いを歩いた。
東京でも、こんなに空にすっぽり包まれる風景はめずらしい。
延々と続く芝生、薄藍のそら、桜、遠くの列車、川の向うは埼玉県川口市。
そして赤羽駅についたところで、
「創業50年 鯉と鰻の店 まるます屋」。
夕方6時に店内は満杯。外にも待ち客あり。
人生「並ぶ」という行為は避けてきているのだが、
ここは覚悟きめ、並ぶことに。
すると、先客はこの店30年の名物常連さんだった。
席が空くのをお互い待っていると、常連さんが「おたくここ、初めて?ここは黒豚とんかつが旨いよ!」
出ました。下町の居酒屋、常連の指南。とんかつか~、でもせっかく
鯉と鰻を看板に掲げているのだから、そういうものが食べたいな~と思いつつ
「へー!そうですか。じゃたのまなくちゃ」と言いつつ「どじょうとじ鍋~と~」と心で唄っていた。
ところが席が空くとその常連さまと隣合わせに。「えーと、うどぬたとどじょうとじ、それから・・・」
と注文していると、となりの30年常連さまが「黒豚のとんかつ、黒豚の・・・」とささやく。
顔を引きつらせながら苦笑いしつつ「ああ~そうだ・・・じゃあとんかつも・・・」。
とにかくこの店のボリュームがすごい。生ビール大が650円(小が300円)だが、7~800mlくらいありそうだ。
どじょうとじは泥鰌がまるごと、ふっくらとして美味!なにもかもが早くてボリュームあって旨い。
そして、おばちゃん達が実に見事に声を出し動いて活気づけている。なんて素晴らしきファーストフード!
こここそは、ベルクスタッフ老齢化後の手本とすべき店ではないか!
で、来ましたごり押し黒豚とんかつ。トンカツ屋並のボリューム。一口食べる。や、柔らかく旨い!
「こ、これで500円か~、下手なトンカツ屋より10倍うまい!安い!」舌鼓を打っていると
常連おやじ、得意そうに「うまいだろ!」。このおやじと
「朝青龍が好き」で気が合い、
気にいられたら次から次へと奢られることに。いや、この歳で見ず知らぬ方から奢られるとは思わなかったが、
この手の飲み屋はこういうことがあるからありがたい。
気がつけば酒の金升お銚子が双方合わせて13本。
おやじさん、自分が来週定年退職する話から、環境の話にまで及ぶ。
「飲み水はこの地球上全体の水の何パーセントか分る?」とおやっさん、聞いてきた。「地球」と言われて、
連想ゲームのようにとっさにリアルタイムの歌「ひとつになりたい」の「この星の7割はあの海でできてる」
と口走ったら「いいこと言うね!」とまた酒がすすむ。「この地球上で飲める水は・・・」
「還元可能な水は地球上の水のうち、たった0・0008%なんだ。
だから不足しつつある水を今から買い占めている奴がいる」と言った。
しかしこれだけ酒を浪費している我々には今ひとつリアリティーがなかったよ!