0.0008 | 愛染恭介のやぶからぼう日記

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先日、荒川土手沿いを歩いた。

東京でも、こんなに空にすっぽり包まれる風景はめずらしい。

延々と続く芝生、薄藍のそら、桜、遠くの列車、川の向うは埼玉県川口市。

そして赤羽駅についたところで、

「創業50年 鯉と鰻の店 まるます屋」。

夕方6時に店内は満杯。外にも待ち客あり。

人生「並ぶ」という行為は避けてきているのだが、

ここは覚悟きめ、並ぶことに。

すると、先客はこの店30年の名物常連さんだった。

席が空くのをお互い待っていると、常連さんが「おたくここ、初めて?ここは黒豚とんかつが旨いよ!」

出ました。下町の居酒屋、常連の指南。とんかつか~、でもせっかく

鯉と鰻を看板に掲げているのだから、そういうものが食べたいな~と思いつつ

「へー!そうですか。じゃたのまなくちゃ」と言いつつ「どじょうとじ鍋~♪と~」と心で唄っていた。

ところが席が空くとその常連さまと隣合わせに。「えーと、うどぬたとどじょうとじ、それから・・・」

と注文していると、となりの30年常連さまが「黒豚のとんかつ、黒豚の・・・」とささやく。

顔を引きつらせながら苦笑いしつつ「ああ~そうだ・・・じゃあとんかつも・・・」。


とにかくこの店のボリュームがすごい。生ビール大が650円(小が300円)だが、7~800mlくらいありそうだ。

どじょうとじは泥鰌がまるごと、ふっくらとして美味!なにもかもが早くてボリュームあって旨い。

そして、おばちゃん達が実に見事に声を出し動いて活気づけている。なんて素晴らしきファーストフード!

こここそは、ベルクスタッフ老齢化後の手本とすべき店ではないか!

で、来ましたごり押し黒豚とんかつ。トンカツ屋並のボリューム。一口食べる。や、柔らかく旨い!

「こ、これで500円か~、下手なトンカツ屋より10倍うまい!安い!」舌鼓を打っていると

常連おやじ、得意そうに「うまいだろ!」。このおやじと

「朝青龍が好き」で気が合い、

気にいられたら次から次へと奢られることに。いや、この歳で見ず知らぬ方から奢られるとは思わなかったが、

この手の飲み屋はこういうことがあるからありがたい。

気がつけば酒の金升お銚子が双方合わせて13本。


おやじさん、自分が来週定年退職する話から、環境の話にまで及ぶ。

「飲み水はこの地球上全体の水の何パーセントか分る?」とおやっさん、聞いてきた。「地球」と言われて、

連想ゲームのようにとっさにリアルタイムの歌「ひとつになりたい」の「この星の7割はあの海でできてる」

と口走ったら「いいこと言うね!」とまた酒がすすむ。「この地球上で飲める水は・・・」

「還元可能な水は地球上の水のうち、たった0・0008%なんだ。

だから不足しつつある水を今から買い占めている奴がいる」と言った。

しかしこれだけ酒を浪費している我々には今ひとつリアリティーがなかったよ!