恋愛小説家 -26ページ目

待ち人来たる

恋愛小説家


薬局の仕掛け時計は時間ちょうどになると扉が開き音楽がなる。

日が暮れても同じように、時計は5時を知らせてくれるのに

道行くひとはせっかちに往来して、どこかへ向かって流れ消えていく。

立ち止まらないし、ちらっと見向きもしないんだ。

私はその頃、近所の小学校から響く「ゆうやけこやけ」の鐘を聞き

今日こそは早く帰ろうとPCのキーを猛打している。


凝り固まった首をコキコキ鳴らしながら

駅に向かってとぼとぼ、でも足早に歩いていた。

ポケットからチョコレートを出して、信号待ちの間に一口食べた。

交差した道が点滅信号になったらポールポジションに立つ。


一年で一番太陽が照らさない時期はいつもさびしい。

花屋の前で一瞬立ち止まって逡巡した。

ポインセチアを買おうかな、明日でいいか。

銀行の前にやきいも屋のトラックが止まっていて

毛糸の帽子をかぶったおばあさんが買っていた。おいしそう。

そろそろ定期が切れる頃だわ、そんなことを思いながら

駅の手前、30メートルになったら鞄に手をつっこんで財布をつかむ。


その瞬間、気づいてしまった。

ちょっと疲れた顔をして、「誰か」を待っているようなそぶりで

踏切の横にある、煤けた看板の前に立っているひとに。


何もかもが突然だった。

音が聴こえなかった世界に、雑踏のざわめきが流れ込み、

白黒だった世界に、フルカラーの彩光が差す。

ぼやぼやしていたピントが、しゅっと合った瞬間、息がとまる。


「どうしてここにいるの?」

「いや、知り合いと待ち合わせしてて。

 でも来そうにないから、時間、空いちゃったなぁ」


わざとらしく腕時計を見る。とぼけた口調で目じりを下げる。

待ち合わせなど、初めからしていなかったくせに

「私」に、逢いに来てくれたんでしょう、

訊かないけれども、そうなんだよね、ねえ!?

化粧直しもせずに出てきたことが悔やまれて仕方なく

ピンで留めたままの前髪を触ってばかりいた。

着ているものが変じゃないかと気になってしまった。


ところがそんな私を意に介する様子もなく、彼は言うのだ。

「駅前にある薬局の時計、中見たことある?」

あるよ、あるってば。

知っているよ、あの時計好きなんだもの。

私と同じところを見ているんだから、ほんとにかなわない。


さがしもの。

街中がクリスマス色に染まっています。12月に入りました。

冬至に向かって日が落ちるのが早くなり、

先日も、仕事の外出帰りにライトアップされた六本木界隈に見とれ

うっかりロマンチック気分に浸ってしまうところでした。

ドラッグストアで買ったばかりのコラーゲン入りのC1000を手に、

おのぼりさんはビタミン補給。バキバキッと蓋を開ける感触で気合も注入。


そろそろ表参道もライトアップされている時期でしょうか。

そういえば先日会った友人は、初めてのデートで

イルミネーションを見ようと表参道を訪れたのだとか。

「彼とつきあってるんだ」と打ち明けられた時は

いつの間に?意外なカップル!と思った気がしますが

そんな彼女も今は彼と結婚し、ママになっている。


今は2010年だから、もう随分と前になりますが

昔買ったCDを長いこと探していました。

思えばそれが、初めて自分のお金で買った一枚でした。

Take6の「He Is Christmas」という、アカペラのクリスマスソング集。

1991年のCDを買った当時はたしか中学生でした。

ずっと大事に持っていたのに、何度目かの引越しで生き別れに。


毎年クリスマスソングを耳にするころになると

Take6の、鳥肌ものの声の重なりを聴きたくなり

惜しいことをした!と思うのです。

ただ、日本盤はすでに廃盤になっているようですし

なかなか市場に出回らないし・・・

オークションか、中古屋をめぐるか、ひたすら待つか。

(でも、持っている人なら手放したくないだろうと思うほど良い)


しかし。今年の私は一味違います。

今年こそは長年の悩みにおさらばしようと思い立ち、

やる気になったときがやるときだ!とばかりに

とうとうAmazon(米)で注文してしまいました。


Usedでしたが、コンディションはVery goodで3.99ドル。

特急だと1週間かからずに到着するそうですが

送料が35ドルもかかるので、本体の何倍だよ!?という話で

2~3週間気長に待つことにしました。

本日、Amazonのレートは1ドル=87円ほどでしたので

CDが349円で、送料が602円、合計951円也。

こんなことならもっと早く注文しておくんだった。

クリスマスまでに届くか分かりませんが、いい買い物をしました。

Amazon.com、思ったより便利です。

洋書や音楽の買い物が身近になるのは嬉しい限り。


Take6 「Hark The Herald Angels Sing

メンバーの着ている服も、てんでバラバラなのが素敵です。

しかしやはりCDで大音量で耳を覆って聴きたい!

届いたら、すでにお正月でもいいのです。

声だけを楽器にしたハーモニーを満喫したいと思います。

7 o'clock

休みの前の日には
毛布にくるまってから何時間も話した

幼いころのことや
ほろ苦い恋のはなし
見てきたものや聞いたこと
仕事のこと飼っている犬のこと
もやもやした葛藤と
光さす未来の計画
自分のこと誰かのこと私のこと
楽しかったデートの名脇役のこと
それから明日(たいていは今日)の天気はどうとか

お気に入りの声を聴いていると
だんだん眠くなるから
呼吸するように頬を寄せて抱きしめる
とても近いところにいるし目覚めても触れられる
怖い夢を見ても大丈夫と思えた

一日の終りと始まりは平凡でもあたたかく
そのどちらにも共にいられることが
どれだけ素敵なことか今はわかる

朝の7時
ゆうべはたくさん眠ったよ
12月がやってきた

10%ぐらい

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おなか一杯食べた気がする、その直後に
まだいける!とメロンパンまで食べました。
1個ずつ買ってもよかったのですが
焼き立ての大きな丸を、ちぎって分けたら
なんだか幸せ気分になれました。

大きな丸をちぎる代表選手の指先にみんなの視線が集中し
配られたメロンパンを、「いただきます!」と一斉にぱくつく。
冬空の下、お行儀よく買い食いする愉快な仲間たち。

一人じゃないから余計においしい気がするのです。
きっと10%ぐらいは、余計においしいはず。
そして10%よりもっと、余計にたのしいはず。

周囲に漂う甘い香りで、瞬間的にベツバラのスイッチON。
ファーストフードの匂いに包まれて1日中働くと
「普段は食べたいと思わなくなるよ」なんて
バイトしていた友人に聞いたこともありますが
果たして、メロンパンの焼ける匂いならどうなのでしょう。
バターと砂糖の焦げる甘い香りだとしたら・・・。
うん。私なら、きっと飽きない。

メロンパンは売れ残ってもラスクになるらしく
私のような人が、思わず買ってしまうので
まったく無駄のない商売なのでした。

素描

キッチンにいつも、みかん軍団。
 

恋愛小説家


テーブルの上にみかんを置いておいたら、

とても器用に皮をむいて食べていた。

全部つながったまま、ヒトデみたいになった皮に

小さな線がすっと入る。


旧い映画を観て二人して泣いて、

繋がった手のひらがしっとりしていた。

赤くなった目でうつむいたまま照れ笑いする横顔に

太い線がまた、入る。


「遊ぶこと」に真剣になって、

童心にかえる大きな子どもに、

目じりの皺もいとおしく、細い線を一本増やす。


新発見と再認識を繰り返して、

私の中であなたという人物が描かれていくから

デッサンはいつも未完成のまま。


どの線も、あなたをつくる素描の一部分だから

一度引いた線は消したりしない。

何枚だって描くから、そのままでいてよ。

それでいいし、それがいいと思うんだ。


何でも大丈夫なひと

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違いの分かるレディから石鹸をいただきました。

いわゆる普通の石鹸というか、ソープバーです。(え、一緒?)

この形は、握りやすいし、スクラブの粒々が気持ち良くて・・・

さては欧米人さながら、直に体をこすって洗うためのものと推測。

鼻がスッと通るミントとユーカリ系の匂い。頭をスッキリできそうです。

肌の表面がきゅきゅっと洗いあがる爽快感、幸福になれそうです。

違い、分かりましたよ。

いつもいつも、いろいろありがとうございます。


そういえば昨日はアロマを身近に感じる日でした。

ふとん乾燥機をかける前に、

自作ファブリーズ(単なるアルコール+水+オイル)を

汗のしみ込んだあたりにスプレーしてみたら

温風で揮発したのでしょうか、室内がラベンダーの香りでいっぱいに。

目を閉じればそこは富良野。さだまさしのハミングが聴こえそうです。

ちなみに北海道は未踏の地です。


就寝時に使う小さなランプにも、オイルを数滴。

デフューザーもあるといいのですが、そろそろ加湿器を登場させるので

試しにフィルターにオイルを染み込ませてみたらどうかと思ったり。


本当はとっても疲れているような気がするのですが

身体の疲労感よりも精神的に目覚めていて、生あくびばかり出ます。

思いっきり睡眠不足のままで夜が明けてしまいました。

本当ならばやっておきたい仕事もあったのです。

なのにゆるゆると調べ物をしたり、考え事をしたりと食指が進まず。

「こころで仕事する」ということを、最近やや見失い気味です。

が、PCのカスタマイズをしたり、溜まった画像を整理したりと

ちょっとした充実感もあり、何もしなかった訳じゃないぞ!と開き直り。


「少しずつ、快適な暮らしを目指す。」

早くも来年の目標が決まりつつあります。


機嫌というものは良くも悪くも伝染するものですから、

自分の軸をしっかりもっていないといけません。

ストレスを口にすれば聞かされる方だってストレスでしょうし

愚痴めいたことを言わない方がいいかな、と気を遣って黙ったら、

それが秘密主義と誤解されてしまったり。

はたまた「答えを必要としなくても、ただ打ち明けたい」こともあったり。

とにかく、簡単にはいかないもので。


ところがどういう訳か、「何でも大丈夫なひと」もいるのです。

親友や恋人、家族、ちょっとした知り合いなど。

年齢や性別、どんな場所にいる誰であれ、付き合いの長さも関係なく

判断できる材料はフィーリングだけです。

やけに気が合うね。似ているね。同じところを見ているね。

セリフが被るね。笑うところが一緒だね。

あのひとといると、らくちんだ。


もしも、「何でも大丈夫なひと」を見つけたら、

千載一遇かもしれませんから、大切にしてください。



一人でもいいけど

誰かがいたならもっといい

もし生きているうちに

それが叶う人に出逢えたならば

奇跡みたいなことだから

はやく気付いて

大切にしたほうがいい


いいんだよって認め合い

包んだり包まれたりして

本当にありのまま

自然気ままに生きていたいなら

もっと近寄ろう

だんだんよくなることもあるよ
 

人事を尽くして天命を待つ。

今日の午前中には届いてほしい、案件がありました。

気心知れた相手なので、「何これ!?」と笑っていただこうと思い

事務的になりがちな封筒を、少々お茶目に加工し、

職場の前のポストから、速達で投函したのです。


速達料金は270円だと、頭の中にありました。

封筒の重さで金額を見られるはかりに乗せたら、

270円のゾーンに入っていましたし

手持ちの切手が50円ばかりだったので、6枚貼りました。

大は小を兼ねるからと、300円分。

ところがこれが、大きな思い違いでした。

速達料金は270円ですが、定型の切手代80円は別途かかるのです。

つまり、ポストの中のお茶目な封筒は、50円分切手が不足しています。

しかも速達の場合、不足金額があるときは受取人に請求が行きます。


慌てました。


慌てて、ポストの前に戻って管轄の郵便局に電話をかけました。

次の集荷が13時ジャスト。

それならば、待ち伏せしてその場で切手を貼れないだろうかと。

でも、一度投函してしまった郵便の袋を開くことは禁止されているそうで

(確かに、個人情報の宝庫ではあるけれど)

もしも切手を追加したいなら、集荷後に局まで出向けば

なんとか捜して対応できるかもしれないと言われました。


目の前にポストはあるのに!?

なす術もありませんでした。


し、しかし。

どんな封筒だったのか、口頭で説明するのは非常に憚れ・・・

まず宛名が愉快にアレンジされていたし、切手が多すぎるし、

おかしなシールは貼ってあるし、

私の名前を明記せず、「見る人が見ればわかる」程度にしてあるし。

まったく、人騒がせな封筒が仇となって赤面の至り。


そんなこんなで、仕事のかたわら何度か電話でかけあったものの、

局へ16時半までに行かなければ間に合わないという結論になりました。

あと1時間待ってくれないかと頼みましたが、

そうなると、明日届くかどうか保証できないとのこと。

万策尽きました。行けっこありません。

封筒はまだ目の前のポストにあるのに。

ちょこっと切手を貼るだけなのに!ああもどかしい!!


最終的には50円が不足したまま、封筒は旅立っていきました。

受取人はナイスガイ(または美人秘書)ですので

希望的には笑って許していただけるとは思うのですが

こちらの不手際で申し訳ありません、50円請求されてしまいます。


都内から都内への郵便物なので、

おそらく通常郵便にしても翌日届いたことでしょう。

念のため速達を選び裏目にでました。

通常の郵便なら80円のところ、300円分の切手が貼ってあるのだから

相手に請求をするぐらいなら、普通に配達してくれたらいいのに。

そんな風に思ったものの、JPさん曰く

「速達と書かれている場合は、スピードが優先されてしまう」のだとか。

確かに一理ありますね・・・。


う~、いずれにしても失敗しました。

 

随想 101124

空の青が、とても11月している。
 

恋愛小説家

 

髪が伸びてきました。

去年の夏あたりからほとんど切っていないから

今では手を背中に回せば掴めるようになりました。

マフラーを髪の毛ごとぐるぐる巻きにしてみたら

自分の髪も、一応あったかさを生み出せるということに気付いた。

これは、動物的な発見。


インスタントでも無いよりましと、仕事中に飲むコーヒー。

その反動か、豆のコーヒーを家で飲む機会が減りました。

いわゆる「葉」のお茶を飲むことが多くなりました。

ちなみに今日はマンゴーオレンジティーです。


昼休みに読書していると、椿模様のブックカバーが目につくのか

「どんな本を読んでいるの?」と訊かれることもしばしば。

今は、人に薦められた本の、二巡目(複線つなげ中)。

そんな会話をしていたら、

「これ読んでみる?返さなくていい、あげるよ。」と、

気前のよい上司が、上下組の本をくれました。

そんな訳で帰りの鞄は新書2冊分の重さが加わったのですが

ずっしりとした重さも、ありがたいことに思えました。


すっかり日の落ちた夕刻。

電車に乗っているとき、感じます。

「ああ、一日が始まる。」

これからの自由時間は、本を読んだり、料理をしたり、

誰かを想ったり、夢を見たり、物思いに耽ったりできるのだと。

古巣

恋愛小説家

 
かつて住んでいた町に降り立ちました。
大型スーパーにより絶滅寸前の肉屋があったり、

駅前の週替わりのテナントがソバージュ風のウィッグだったり、

ミッシー御用達?のおしやれ専科があったり。

ハワイと何の縁があってか、いきなり路上でフラダンスをしていたり。

数年分の思い出があるここでは、

クリスマスを無視して正月の餅を買いたくなります。

 

唐突に古巣に立ち寄ったのはどうしてかというと

本当に、ただ何となく。

目的もないまま、改札を通過してしまったから、

折り返す場所を探していただけなのかもしれません。

 
乗換駅で脇にかたまっていたショッピングカート。

かわいらしく、お行儀よく並んでいました。

どうやらここは駐輪場のようです。

 

リビング用に小さ目のソファをさがしています。

候補はだいぶ、絞られてきました。

座り心地を確かめてみましたが、まずまずです。

思案のしどころですが、悩んだときにはとりあえず

相談しよう、そうしよう。

 

待ち合わせまでもう少し時間があったのに
ポットラックの料理を作れなかったから
おいしいものを探してうろうろ。
お酒はどうかな?友人はみな酒豪ぞろいだから

呑めないくせに、あれこれ気になります。
 

EDGE

恋愛小説家

 

足元に視線を落としてみてみたら

落ち葉のエッジはジグザクしていた

でもただのジグザクじゃなくて

大きいのと小さいのが交互に切れてる

そんなこと知ってた?


私は知らなかった

ずっと昔から身近にあって

形なんて変わらないはず

なのに考えてもみなかった

きっと私にはそういう部分が

よく見えていなかったんだ

見ようとしていなかっただけなんだ


葉っぱはずっと昔から

こういう形だったんだよね