多様な性が前提の社会虹

 

こんにちは、都議会議員の龍円あいりです。

 

(東京レインボープライド2023にて)

 

誰もが自分らしく輝きながら社会に参加することができるインクルーシブな社会を目指して活動しています!

 

そんな社会にする為に、必要不可欠なのが、「多様な性」があることが当然の前提となっていて、一人ひとりの性が尊重される社会にシフトしていくことです虹

 

2017年に都議会議員にならせてもらってから、私にとっては最も大切な政策として取り組んできました。

 

東京都におけるLGBTQ政策

 

2018年に性自認及び性的指向による差別を禁止した「東京都人権尊重条例」施行

「東京都性自認及び性的指向に関する基本計画」策定

性自認や性的指向に関しての相談窓口として電話相談LINE相談

2022年11月「東京都パートナーシップ制度」開始

都営住宅にパートナーが入居可能に

里親の認定基準が変更される

東京都職員の福利厚生を性的マイノリティカップルも事実婚と同等に利用可能

東京都の男女平等推進計画に性の多様性が盛り込まれる

都立病院ではパートナーを家族同様に面会や医療的な決断に同意可能

 

一歩一歩ではありますが、この社会に多様な性を生きる人がいらっしゃることが前提となり、LGBTQ等性的マイノリティの方々の不自由さ、困難さ、生きにくさがなくなってほしいと願いながら取り組んできました。東京都行政においては、改善を重ねてきました。

 

しかし、社会に目を向けると、まだまだ困難さに溢れていて、ひどいバックラッシュとも呼ばれる状況もあり、さらに力強く取り組みを進めていかないとなりません。

 

 

  性的マイノリティー当事者にとって医療アクセスの悪さは深刻な課題

 

NPO法人ReBitが、2023年1月から2月まで、福祉や医療等の支援者のLGBTQに関する意識や支援機関の状況に関する「支援者のLGBTQ意識調査」をされ、18歳以上のLGBTQ961人から有効回答を得たそうです。

 

医療機関で「安心して話せない」と回答した人は81.3%

トランスジェンダーの方のうち77.8%が医療機関で実際に「困難さ」を経験

その影響で42%が病院に行けなくなり、25.9%が自殺を考えた

 

この調査結果は、異常な事態であり、当事者にとっては絶望的な現状だと理解いたしました。

 

 

  行政的医療の都立病院が果たすべき役割

 

都立病院は「行政的医療」を担っています。

 

都立病院のHPにも記載されていますが、行政的医療には、「採算確保が難しいことなどから民間の取組が困難な医療」のことや、「時代に応じた新たな医療課題に対して一般医療機関の医療提供体制が確立するまでの間対応する医療」も含まれています。

 

トランスジェンダーで治療を必要とされている方の数を考えると、民間病院においては採算確保においては難しさがあるかもしれません。2018年にWHOが性同一性障害を精神疾患の分類から外し、国における議論もされている中で、一般医療機関における医療提供体制は本当に遅れている状況にあります。

 

「行政的医療」という観点からも、トランスジェンダー等の方々の医療アクセスの改善や、必要な治療を安全に受けられるようにしていくことが急務だと考えています。

 

 

  まずは何から取り組むべきなのか?

 

この課題について、杉山文野さんにまずお伺いしてみると、日本国内においてトランスジェンダーの方々への治療は非常に限定的であること、高額であること、海外での治療を受けざるを得ない現状などについて教えていただきました。またトランスジェンダーの方々が必要としている医療について考える前に、「そもそも病院が安心していける場所になっていない」ことが最大の課題であることを教えていただきました。

 

そのほかにも継続的な治療をされている方にお話を伺ったところ、耳を疑うような劣悪な医療機関が存在していること、それでもそこで治療を受けざるを得ない状況があることも知りました。

 

 

  性的マイノリティの方々の「医療アクセス」を改善したい

 

まだまだヒアリングを進める必要があると考えていますが、今後以下の2点について取り組む必要を強く感じました。

 

全ての都立病院をLGBTQフレンドリーにする

安心して受診できるトランスジェンダー外来

 

 

  都議会で質問しました

 

このような背景を受けて、東京都議会の本会議で、私が所属している都民ファーストの会の代表質問にて、都立病院における性的マイノリティの方々への配慮、そしてトランスジェンダー外来についてお伺いしました。

 

2023年第2回定例本会議ー2023年6月13日

都民ファーストの会代表質問

性的マイノリティーの方々にとって深刻な困り事に、「医療の壁」があります。

 

(当事者の)8割が医療や福祉サービスで困難さを感じており、そのうち3割は具合が悪くても受診を控え、病状悪化や心身の不調を経験したという調査があります。医療機関での配慮が欠け、医療従事者の無理解等によって起きている問題です。


 都立病院では、パートナーを親族と同様に扱うなどの配慮をしていることは、これまでの私たちの質問で確認してきました


 今後、さらに都立病院全体の細部に至るまで、LGBTQフレンドリーな配慮を行き渡らせ、性的マイノリティーの方々が安心して医療にアクセスできる東京にすべきです。

 

「トランスジェンダー外来」のような先進的な事例を進めるべきだと考えますが、東京都の見解を伺いますまた、こうした取組を都立病院以外にも広げていくよう、ノウハウの共有や配慮の周知について対応を求めます。

 

 

東京都・福祉保健局長答弁

都立病院における患者への配慮についてでございます。

 

都立病院では、原則として、診察室等への誘導は番号で案内をしておりまして、氏名で案内する場合は、戸籍上の氏名と自身の性表現との間に違和感がある方の希望に応じて呼び方を工夫するなど、柔軟に対応しております。また、面会者の範囲や手術等の同意者を法的な親族に限定せず、パートナーシップ関係の相手方も含め、患者自身に決定していただいているほか、診察は、患者の状況に応じて、適切な医療従事者が担当しております。

 

さらに、東部地域病院に設置したトランスジェンダー外来では、年齢や戸籍上の性別を問わず、性別違和や性同一性障害に関する医療の相談を行っております。今後、社会状況の変化を踏まえながら、LGBTQの方への配慮に一層努めてまいります。

 

この答弁から、都立病院においては性的マイノリティの患者やパートナーに対する配慮をしている現状についてわかったほか、新たにトランスジェンダー外来が創設されたことがわかりました。

 

 

  都立病院のトランスジェンダー外来を視察

 

創設されたばかりの都立病院における「トランスジェンダー外来」を視察しにいきました。

 

 

東京都足立区にある「東部地域病院」です。病院の担当者や医師にお話を伺って参りました。

 

HPを見てみると「専門外来」の一覧の中に記載されています。

 

 

 

トランスジェンダー外来は、想いがある一人の医師が立ち上げてくださったもので、婦人科にて毎週金曜日の午後に開かれているそうです。

 

生まれた時に与えられた戸籍上の性別と、自認する性が違ったり、違っているかもしれないと感じている方々の相談を受けているそうです。年齢についても問わないそうです。

 

実際にこのトランスジェンダー外来でできる治療は、FTMの手術だそうです。

 

MTFの手術や、継続的なホルモン治療等についてはこの外来ではできないそうです。しかし精神科、泌尿器科、小児科等に繋いで、必要な治療に応えていこうとしているようです。

 

 

 

  さらに改善点も

 

病院内のご案内を見てみると、トランスジェンダー外来は書いてありませんでした。これだとなかなか外来の存在を知っていただけるのは難しそうですね。

 

 

トランスジェンダー外来をやっている婦人科に行ってみても、トランスジェンダー外来をについてはどこにも掲示されていませんでした。そもそもトランスジェンダーの方にとって「婦人科」の窓口を訪れるのは、抵抗を感じることもあるのではないだろうかとも感じました。東京都の担当者様は「逆に”トランスジェンダー外来”と記してしまうと、そこに入っていくことに抵抗を感じるのではないか」ともおっしゃっていました。

 

どんな外来のあり方が、利用しやすいのかも考える必要があると感じました。

 

 

 

都立病院の担当者にお話を伺うと、想いがある医師がいてくださらないと、なかなか治療体制を整えられないことが分かりました。トランスジェンダー外来を担当している医師にはもちろん想いがあるものの、他の医師らから協力を得ることは簡単ではないことのようでした。

 

そうは言っても、あまりに適切な医療に繋がれていない現状を考えると、「行政的医療である都立病院において、性的マイノリティの方々が、安心して必要な治療が受けられるようになっていかなければならないのではないか」ということでした。

 

まだ創設されたばかりなので、今後改善するべき部分については改善をしながら外来としての取り組みを広げていきたいと考えています。