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身近で起こっている動物に関する事件や情報の発信blogです。

2026年7月7日 HUFFPOST

 

マムダニ氏が市長になったアメリカ・ニューヨーク市で初めて、経済的に苦しい飼い主にペットフードを支援する「ペットフードパントリー」の予算が計上された。 

 

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【画像】猫や犬を抱くニューヨークのマムダニ市長 

 

ニューヨーク市議会は、ペットフードパントリーと、低料金もしくは無料の不妊・去勢手術にそれぞれ75万ドル(1億2100万円)、合計150万ドル(約2億4200万円)が2027年度予算に加わったと発表した。 

 

犬や猫に必要な食べ物などを十分に用意するのが難しい飼い主に、無料もしくは低価格でペットフードやペット用品を提供するペットフードパントリーの予算が、ニューヨーク市で導入されるは初めてだ。 

 

市に支援を求めてきた動物保護団体は、「前進だ」と歓迎している。

物価高騰でペットを飼うハードルが上がっている

インフレで世界中で物価が高騰する中、ペットの餌代や医療費が、飼い主にとって大きな負担になっている。 

 

ニューヨークの動物保護団体フラットブッシュ・キャッツなどは1月、「住民の半数が獣医の診察費さえ負担できない経済状態にある」として、猫や犬の飼い主への支援充実を、新たに誕生したマムダニ市政に求めるキャンペーンを立ち上げた。 

 

団体は、支援を増やすことで動物保護施設の収容過密問題も減らせるとして、不妊・去勢手術に150万ドル、ペットフードパントリーに200万ドルの予算を求めていた。

 

今回の予算ではこの額には達しなかったものの、念願だった市の財政によるペットフードパントリーが実現した。 

 

フラットブッシュ・キャッツは「ニューヨーク市全体で見ればもっと大きな支援が必要ですが、今回の予算は確かな前進です」とコメントしている。 

 

ASPCA(アメリカ動物虐待防止協会)もニューヨーク初のペットフードパントリー予算を歓迎した。 

 

同団体のミシェル・ビジャゴメス氏は「ニューヨーク市全体で生活費が上昇する中で、虐待だけではなく、ペットを経済的に飼えるかどうかも動物福祉にとっての大きな脅威になっています」と述べている。 

 

ASPCAが全米で実施した調査によると、ペットの飼い主の58%が、獣医費用の高騰に対する不安を抱えており、半数がペットフードや日常的な世話にかかる費用の負担に苦労している。 

 

さらに、60%の人たちが「ペットに緊急医療が必要になった場合、費用を負担できる自信がない」と回答。40%が、定期的な健康診断や予防接種などの医療費の支払いに不安を抱いていた。 

 

生活費が上がり続ける中、飼い主が自分よりもペットの福祉や幸せを優先する傾向もあるという。

 

調査では4割の人たちが「現在のペットの世話の水準を維持するために、自分の生活の他の部分を犠牲にしている、もしくは真剣に検討したことがある」と回答した。 

 

ビジャゴメス氏は「自分の生活を維持するか、もしくは愛するペットを飼い続けるかという選択をニューヨーク市民が迫られるようなことがあってはなりません。ペットが家庭で愛されて暮らし続けられるようにするための資金の実現に尽力してくれた動物福祉議員連盟(Animal Welfare Caucus)に深く感謝します」とコメントしている。

2026年6月29日 まいどなニュース

 

「だ、だれだ!?」「いつの間に!?」 そんな心の声が聞こえてきそうな猫の表情が、Instagramで多くの人を笑顔にしています。 

 

出産を初めて見た猫さんが話題に(「はちですよ」さんさん提供、Instagramよりキャプチャ撮影)(まいどなニュース)

 

【動画10秒】「なにこれ!?」ぼう然となる猫さん 

 

投稿したのは、職場で暮らす保護猫たちの日常を発信している「はちですよ」さん(@cats5_hachi)。出産を終えた母猫のそばで、突然現れた4匹の子猫を前に呆然と立ち尽くす元野良猫・ハチくんの姿が、「かわいすぎる」「見守っていて優しい」と反響を集めました。投稿者さんに詳しいお話を伺いました。

 

「いつの間に!?」目を覚ましたハチくんが見た光景

動画では、出産を終えた母猫・チビちゃんと、そのそばでフリーズするハチくんの姿が映し出されています。投稿者さんによると、実は出産前からハチくんはチビちゃんの異変に気づいていたそうです。 

 

「『出産に立ち会うハチ』という動画も投稿しているのですが、出産前、いつもと様子が違うチビに気づいたのか、ハチは優しくグルーミングをしてあげていました」

 

 ところが、その後ハチくんは眠ってしまいます。そして目を覚ますと、そこには4匹の子猫たちが。 

 

「動画の表情は、『だ、だれだ!? いつの間に!?』というような気持ちだったのかもしれません(笑)」

 

驚きで固まってしまったような表情は、まるで人間のよう。その愛らしい反応に、多くの人が癒やされました。

工場に現れた若い野良猫 保護するとすでに妊娠していた

子猫を産んだチビちゃんは、職場の工場にいつの間にか住み着いていた野良猫でした。

 

 「発情期だったからか少し警戒心はありましたが、すぐに触れられるくらい人に慣れてくれました」 

 

毎日のようにオス猫が後をついて歩いていたことから、ケンカや妊娠を心配し、早めの保護を決断。しかし、その時にはすでにおなかに命を宿していたといいます。出産に備えてケージの中にベッドを用意し、段ボールで周囲を囲むなど安心できる環境を整えました。ところが、チビちゃんは予想外の行動に。 

 

「意外とおおらかな性格だったようで、隠れることなくハチや私たちの前で出産を始めました」

 

 推定1~2歳という若さで4匹を出産したチビちゃんは、現在も付きっきりで子育てに励んでいます。

「後悔するくらいなら」元野良猫ハチくんを救った決断

実はハチくんも、約1年前に職場へ突然現れた元野良猫でした。 

 

冬のある日、それまで食べていたご飯を急に口にしなくなり、普段は決して入らない発泡スチロールの小屋に閉じこもるようになったといいます。保護経験がなかった投稿者さんは、カイロを靴下に入れて火傷しないよう工夫しながら暖を取らせ、必死に見守りました。しかし、体調は一向に回復しませんでした。 

 

病院へ連れて行きたいと家族に相談すると、「野良猫だから、助けてもキリがない」と反対されたそうです。それでも投稿者さんは、「明日にはもう居ないかもしれない」という不安を拭えませんでした。 

 

「『後悔するくらいなら家族を裏切ろう』と思い、内緒で発泡スチロールごと病院へ連れて行きました」 

 

診断結果は、何かを食べたことによる中毒で黄疸(おうだん)も出ている状態。そのまま入院となり、2~3週間の治療を経て元気を取り戻しました。 

 

「あの時、勇気を出して病院へ連れて行って本当によかったと思っています」 

 

現在、職場で暮らしている保護猫はハチくん、チャタくん、チビちゃん(+子猫4匹)の3匹です。その中でハチくん(推定8歳)は、ほとんど怒ることがない穏やかな性格で、チャタくん(推定4歳)の遊び相手やストレス発散の相手になってくれる、お兄ちゃんのような存在。一方で、ケージを壊してしまうほど力持ちなため、唯一ケージに入らず自由に過ごしている猫なのだそうです。

「こんな子が野良猫だったんだよ!?」伝えたい保護猫の魅力

生まれたばかりの子猫たちは、まだハチくんと直接触れ合うことはありません。それでも投稿者さんは、「新しい家族が増えたことは分かっているように感じます」といいます。最近では窓の外を眺める時間が長くなり、以前よりも熱心にパトロールする姿が見られるそうです。 
 
動画には「優しい」「かわいい」と多くのコメントが寄せられています。 
 
「コメントはとってもうれしいです。こんな子が野良猫だったんだよ!?という気持ちもあります。人よりも優しい瞬間があると感じます。少しでも救われる猫ちゃんが増えるといいなと思います」 
 
4匹の子猫については、家族の中で譲渡という意見もある一方、「私は譲渡より飼いたい派」と笑います。 
 
「今はチビがとっても子猫をかわいがっていて、大好きなのが伝わって譲渡を考えられません(笑)。とりあえず何も考えずに、チビと子猫優先で暮らしたいです」 
 
ハチくんが驚いたあの日に始まった、小さな命との新しい毎日。元野良猫たちがつないだ優しい家族の物語は、これからも多くの人の心を温めてくれそうです。 
 
(まいどなニュース特約・渡辺 晴子)

2026年7月3日 まいどなニュース

 

「保護していた猫ですが、遺失届が出ていないまま期限を迎え、所有権は私に移りました!ということで一生幸せにしてやります」 

 

雨の溝でうずくまっていた“毛玉”を保護(宮尾さん提供)(まいどなニュース)

 

【写真】泥を洗い流したら、美しいラグドールだった 

 

そんな報告がXに投稿され、多くの人から「優しい方に出会えて本当によかった」「ぺっつちゃん、幸せになってね」と祝福の声が寄せられました。 

 

投稿したのは、大阪プロレス株式会社統括マネージャーでリングアナウンサーの宮尾信次郎さん(@ring_ana)。 

 

雨の日に保護した1匹の猫は、その後「ぺっつ」という名前で新しい家族になりました。名前は、昨年まで一緒に暮らしていた愛猫「ぺっし」にちなみ、保護中は「ぺっし2(仮名)」と呼んでいたことから、「字面が似ていて面白い」と「ぺっつ」に決めたそうです。 

 

しかし、その背景には警察への届け出や動物病院での診察、マイクロチップの確認など、知られざる手続きがありました。宮尾さんに詳しい話を聞きました。

雨の溝で見つけたのは、ずぶ濡れの“毛玉”だった

ぺっつちゃんと出会ったのは、6月7日午後5時ごろ。仕事帰り、自宅近くを歩いていた宮尾さんは、道路脇の溝に毛玉のようなものが落ちていることに気づきました。近づいてみると、それはずぶ濡れになった猫でした。 
 
「弱っている様子で鳴いたり、シャーと威嚇したりはするのですが、声は小さく、ほとんど動きませんでした。雨が流れる溝でうずくまっている姿を見て、『せめて雨宿りだけでもさせよう』と思ったんです」 
 
強い雨の中、いったん自宅へ戻ってバスタオルを持ち、「失礼します!」と声をかけながら猫を包み、自宅へ連れて帰りました。 
 
当初は野良猫だと思っていたため、雨宿りをして元気になったら自然に帰っていくだろうと考えていたそうです。玄関先で体を拭き、キャットフードと水を用意しましたが、まったく口をつけません。 
 
「手足は泥まみれ、体は落ち葉やゴミだらけでした。でも、目だけは透き通るような青色で印象に残っていました」 
 
その後、警察へ電話すると「遺失届は出ていないが、一度見に行く」との返答がありました。ところが、保護しようとした瞬間、それまで動かなかった猫は庭のウッドデッキの下へ逃げ込んでしまいます。何とか捕獲し、浴室で体を温めながら警察の到着を待ちました。
 
しかし、警察からは「首輪がなく、野良猫か飼い猫か判別できないため保護はできない」と説明を受けます。「元の場所へ戻すか、ご自身で保護してください」と言われたため、宮尾さんは自ら世話をすることを決めました。

シャンプーすると現れた“美猫” ラグドールでは?

泥や落ち葉を洗い流すためシャンプーをすると、そこには思いもよらない美しい猫の姿がありました。友人へ写真を送ると「ラグドールじゃない?」と言われ、画像をAIで確認してみても同じ結果だったといいます。 

 

「ラグドールは完全室内飼いが基本と聞いていました。けがもなく、濡れていない部分もあったので、『これは迷子になった飼い猫では』と思いました」 

 

翌日、動物病院を受診すると、メスで推定1歳前後、けがはなくマイクロチップが入っていることが判明しました。 

 

一方で、マイクロチップの登録情報は個人情報保護のため、病院では確認できず、警察への届け出が必要と説明を受けたそうです。宮尾さんは再び警察へ向かい、拾得届を提出。警察はマイクロチップの情報を基に、飼い主へ連絡を試みることになりました。 

 

「もし連絡が取れず、遺失届も出ないまま約2週間経過した場合は、私の方で面倒を見ることになると説明を受けました」 

 

その間、迷い猫の掲示板にも情報を掲載し、飼い主が現れることを願っていたといいます。ところが、数日後には排尿回数の多さや粗相が気になり、再びAIへ相談。「膀胱炎ではないか」との助言を受けて病院を受診すると、実際に膀胱炎と診断されました。そして薬を飲み始めると症状は改善し、少しずつ元気を取り戻していったそうです。

「オマエ、オレのこと好きやろ〜!」すっかり家族の一員に

保護当初は姿を見るだけで、物陰に隠れていたぺっつちゃん。しかし、おもちゃで遊ぶようになると距離は一気に縮まりました。現在は宮尾さんが仕事をしている間も、家の中をどこへ行くにも後をついてくるそうです。 
 
「朝起きて寝室から一緒に出て、ご飯も一緒。仕事部屋には入れませんが、リビングへ移動するとすぐついてきます。『オマエ、オレのこと好きやろ〜!』という感じですね(笑)」 
 
ご飯も遊ぶことも大好きで、おもちゃを自分で足元まで運んできて遊びを催促することも。 
 
「完全に家族の一員ですね」 
 
その後、環境省の案内に従ってマイクロチップの登録変更手続きを進めたところ、猫種はラグドール、生年月日は2024年7月29日と判明しました。当初は生後半年から1歳くらいと予想していましたが、実際は1歳11カ月だったそうです。 
 
「保護した当初は体重3.3キロでラグドールにしては軽かったので、もっと若いと思っていました。意外とお姉さんでした」

「マイクロチップがあっても、連絡が取れるとは限らない」

一方で今回、宮尾さんが痛感したのは、マイクロチップがあっても飼い主と必ず再会できるわけではないという現実でした。警察や関係機関からは「マイクロチップが入っていても、必ずしも飼い主と連絡が取れるわけではない」と説明を受けたといいます。 

 

調べてみると、飼い主になってから30日以内に登録情報を変更する必要がありますが、登録を忘れたり、引っ越しや電話番号変更後に情報を更新していないケースもあるそうです。 

 

「情報登録は義務ですが、努力義務なので罰則はありません。だから『マイクロチップがあれば安心』ではなく、『連絡が取れたらラッキー』くらいのものだと思いました」 

 

なお、正式に所有権が移るのは3カ月後といわれていますが、今回のケースでは警察や環境省の案内に沿って手続きを進め、環境大臣指定登録機関である日本獣医師会マイクロチップヘルプデスクで登録変更が完了。宮尾さんは「法律上の一般的な所有権移転の扱いとは異なる部分もありますが、警察や関係機関の指示に従って家族として迎えることになりました」と話します。 

 

最後に、今回の経験を通して伝えたいことを尋ねると、こう話してくれました。 

 

「マイクロチップは大切な家族を守るものです。住所や電話番号が変わったら、情報登録や更新は必ず行ってください。そして、もし動物を保護して何をすればいいか分からないときは、動物病院や警察に相談してください。私はAIにも、かなり助けられました。今はいろいろな手段がありますから、一人で抱え込まず活用してほしいですね」 

 

雨の中でうずくまっていた1匹の猫は、多くの手続きを経て「ぺっつ」として新しい人生を歩み始めました。その青い瞳は今、安心できる家で穏やかな毎日を見つめています。

 

(まいどなニュース特約・渡辺 晴子)

2026年7月5日 読売新聞オンライン

ときわ動物園園長 坂本英房さん(66)

 4月に山口県宇部市のときわ動物園の園長に就任した。同園では動物たちが生息する自然に似た環境で飼育する「生息環境展示」を行っている。「生き生きと暮らしている動物たちの姿を、多くの人たちに見にきてもらいたい」と話す。

 

ときわ動物園園長・坂本英房さん(読売新聞)

 

【写真】人気だったペリカン「カッタ君」、ひ孫の名前は「カッポ」…山口県宇部市のときわ動物園

 

 福岡市出身。幼い時から動物が好きだった。豊かな自然の中で育ち、小学生の時にはスズメのヒナやコウモリなどを持ち帰って家で世話をした。

 

 「将来は動物に関わる仕事に就きたい」。高校3年の時、獣医師を目指すようになり、山口大農学部獣医学科に進学。恩師の教授につき、解剖実習や骨格標本の製作にも取り組んだ。

 

 様々な動物と接する中で、「獣医師の資格を生かせる動物園で仕事をしたい」と考えたが、当時は動物園が直接、職員を募集することは少なかった。自治体が運営する園の場合は、ほとんどが自治体の職員で、人事異動で配属される形態が一般的だったためだ。

 

 「動物園への夢」を抱きつつも、同大大学院を出て地元の福岡市職員となり、保健所で勤務。ボランティアで知り合いの獣医師の手伝いをしながら迎えた2年目の夏、大学の恩師から「京都市の動物園が職員を募集している」との知らせを受けて応募したところ、採用が決まった。

 

 「急に退職することになり、福岡市の上司や先輩には迷惑をかけてしまったが、獣医師として働きたがっていることを知っていたので背中を押してくれた」と感謝する。

京都市動物園で飼育員も経験

 京都市動物園では最初の約6年半を飼育員として過ごした後、獣医師としての勤務が始まった。しかし、「動物たちと付き合うという意味では、飼育員の方が楽しかった」と振り返る。

 

 京都市動物園では4年間園長を務めるなどした後、今年3月で退職。「動物との関わりを続けよう」との思いでときわ動物園の公募に手を挙げ、4月から園長に。大学時代を過ごした山口県で久しぶりに暮らすことになった。

 

 業務中は園内を見て回り、動物たちの生活上の改善点がないかチェックする。野生動物は弱いところを隠すため、病気で弱ったり苦しんでいたりしないか見極める必要があるという。「えさの食べ方や行動など、日頃から動物たちを見ているのは飼育員。飼育員と情報共有できる関係を築くことが大切」と話す。

 

 京都市動物園にはなかった「生息環境展示」については、「動物のありのままの姿を見ることができる」として、ときわ動物園の「強み」ととらえている。

 

 同園では13種のサル類を中心に、アルパカ、カピバラコツメカワウソなど約200匹を飼育している。「動物たちが健康で幸せに過ごせて、職員が誇りを持って働き続けられる動物園にしていきたい」と力を込める。(本岡辰章)

 

◆プロフィル=1960年4月生まれ。小学校の時に友人宅の庭でモグラを育て、モグラが掘った穴で庭をでこぼこにした思い出がある。大学時代には山岳部に所属し、趣味は山登り。日本百名山の踏破を目標にしており、これまでに7割ほどを登った。自宅は京都で、現在は単身赴任生活を送っている。

2026年7月5日 大阪日日新聞

 

 ⼤阪市⻄成区にある寺院「智崇院別院」 の境内に、⼀⾵変わった温かいパワースポットが⽣まれようとしている。⽝猫の保護活動を⾏う「Shu-Shu (シュシュ)」の代表、露原綾さんが今夏、オープンさせる保護猫・保護⽝シェルター「スプーン」だ。 この場所が⽬指すのは、⾏き場を失った動物たちを救うだけでなく、不登校や孤独、⽣きづらさを抱える⼈たちがふらっと⽴ち寄れる居場所になることだ。原点には不登校になった娘と歩んだ6年間の経験がある。

 

保護犬猫シェルター「スプーン」 命と孤独を救う居場所へ

不登校めぐる周囲の冷たい視線の中で

 活動の原点は6年前。当時、中学校に⼊学したばかりの露原さんの娘 ・ 芹華 (せりか)さんが不登校になったことがきっ かけだった。 

 

犬猫の保護活動を行っている露原さん=智崇院別院 (大阪市西成区)

 

  「(娘は)私に似てミスが許せない完璧主義な⼀⾯があって、知らず知らずのうちに⾃分を追い詰めていたのかもしれません」 

 

  当時は今ほど不登校への理解がなく、周囲から〝ママ友〟もいなくなった。学校側の協⼒も⼗分に得られない中、⺟娘は社会から孤⽴してしまう。

 

   だが、露原さんは「いろんな経験をさせてあげることが⼀番」と芹華さんをさまざまな場所へ連れ出した。好きなアイドルがいれば同じ熱量で寄り添った。そんな⽇々の中で出会ったのが、地元で⾏われていた地域猫のエサやりだった。

 

   最初は週に1回、決まった時間に地域の猫にエサをやるという⼩さな⼀歩からだった。しかし、この出会いが⺟娘の運命を⼤きく変えていく。

 

「自分にもできることがある」

 エサやりから⺟娘の保護活動は徐々に広がっていき、いつしか猫を拾った地域住⺠から露原さんの元へ連絡が⼊るようになる。このため、多い時には⾃宅に10匹もの保護猫がひしめき合っていた。 
 
露原さんに保護された子猫たち
 
  やがて、⽝猫の繁殖業者が適切な管理や経営ができなくなり、飼育する多数の動物が不衛⽣な環境に放置される「ブリーダ崩壊」によるレスキュー依頼も、露原さんの元に舞い込むようになった。
 
  ただ、⽣まれたばかりの猫を預かれば2時間おきにミルクを与えなければならない。
 
  「娘と『夜中担当』と『昼間担当』に分かれて、⼩さな命を繋ぎ⽌める⽇々でした」(露原さん)
 
  保護猫の世話で親⼦は⼤変な⽇々を送っていたが、ある⽇、⾃信を失いかけていた芹華さんに変化が訪れる。
 
 以前は露原さんが芹華さんの苦⼿な部分をフォローしていたが、ある⽇、芹華さんは「⾃分で全部やってみる」と宣⾔。部屋に猫を連れ、⼀⼈でミルクやりから排せつの処理などの世話を引き受けた。
 
  「この⼦たちには⾃分がついていないといけない」「⾃分にもできることがある」――。そんな実感が、少しずつ芹華さんの⾃信につながっていた。
 
  芹華さんの変化は、周囲の⽬にも明らかだった。保護ネコの譲渡を⾏うマルシェに参加した際は、他⼈と話すことが苦⼿だった芹華さんが、来場者の質問に堂々と答え始めた。「⼈との間に猫が⼊るだけで、驚くほど⼼が通じ合うようになるんです」と露原さんは振り返る。
 
  その後も⼤学受験の壁にぶつかるなど岐路に⽴つたび、芹華さんを前を向かせたのは猫たちの存在だった。今では露原さんの最も頼もしい相棒として共に保護活動を続けている。

孤独な人々に「必要とされる喜び」を

 露原さんはこうした経験から、動物が持つ癒やしと⼈を育てる⼒があると確信。保護猫活動と福祉を掛け合わせた「就労継続⽀援B型事業所」を⽴ち上げた。そこでも猫の存在が利⽤者の変化を後押しした。
 
  当初は「疲れた」「⾏きたくない」と事業所に通うのをためらう利⽤者もいたが、「作業の合間にネコちゃんに会える」「⾃分で作ったグッズが猫たちのエサ代になる」と利⽤者たちの背中を押す。休憩時間に職員と利⽤者が猫を中⼼にして会話を交わし、事業所の雰囲気もみるみる温かくなっていった。
 
保護猫へのミルクやり。生まれたばかりの子猫には2時間おきにミルクをあげる
 
  「おじいちゃんもおばあちゃんも、若い⼦も、みんな⼼のどこかで 『誰かに必要とされたい』 と思っている。猫の世話を通じて 『私がこの⼦を⽀えている』と思えること。その実感が明⽇を⽣きる活⼒になるんです」(露原さん)
 
  もちろん、活動は良いことばかりではない。「5年⽬を迎えた頃、どれだけ⼿を尽くしても救えない命に直⾯し、あまりにもショックで活動を辞めたいと思った」と露原さん。そんなに落ち込むなら辞めればいい」と周囲からも⾔われたが、それを引き⽌めたのは芹華さんだった。 
 
「やっぱり猫たちがかわいそうだから、もう1回やろうよ」
 

 悲しみを乗り越え、命の尊さを理解し、強くなった芹華さんの⾔葉に 「逆に励まされた」と露原さん。

今夏オープンする「スプーン」

 孤⽴しない温かい社会を⽬指し、露原さんがまもなく「智崇院別院」(⼤阪市⻄成区)の境内にオープンさせる保護シェルター。名称の「スプーン」は芹華さんが、⼩さな命をすくう思いや孤⽴した⼈々を〝すくう(救う)〟という意味で名付けた。 
 
高校卒業時の芹華さん(右)。母娘で保護活動に取り組んでいる
 
  「⽝や猫の命をつなぐ場所だけでなく、誰もがふらっと⽴ち寄れて元気をもらえる『パワースポット』にしたい。SOSを抱えている⼈が、気軽に集まれる場所になれば」
 
  ⼈間の⾝勝⼿な都合で「モノ」のように扱われ、捨てられてしまった⽝猫の残酷な現状に胸を痛めながらも、動物と⼈がつながる場を広げたいと考える露原さん。
 
  将来的には、このシェルターのモデルをさらに広げ、フリースクールや⽼⼈ホーム、さらには⼩学校の教室の隣など、社会のあらゆる場所に保護⽝猫を通じた居場所を作りたいという構想がある。
 
 「⼝にして、あきめなければ思いは絶対にかなう。やってみてダメならその時考えればいい。失敗はありません」 
 
  保護活動の⼀⽅で、就労⽀援事業所や弁当店、農園、美容サロンなども展開する露原さん。いずれも従業員の「やりたい」という思いから働き⼝をつくるために⽴ち上げたものだ。⾃らの収⼊を削りながら、⽬の前の従業員や傷ついた⽝猫に向き合い続ける。 
 
  1本のスプーンがすくい上げるのは、⽝猫の⼩さな命の灯⽕と、⼈々の明⽇を⽣きる希望だ。露原さん親⼦の挑戦はこの夏、新たな⼀歩を踏み出す。 
 
■Shu-Shuでは、保護⽝・保護猫活動やシェルター運営を⽀える寄付や⽀援を受け付けている。
問い合わせは露原さん(電話 080-4579-1971)。