2025年10月17日 まいどなニュース
バリ島で34匹の元保護犬と暮らす日本人女性・佳織さん(ぱんはな家 @pan._.hana)が、43歳の誕生日に“自らの選択”について投稿したメッセージが話題になっています。
子どもを産まない人生を選択して…/ぱんはな家さん(@pan._.hana)提供(まいどなニュース)
【写真8枚】バリ島で34匹の保護犬と暮らす“愛おしすぎる日常”
「子どもを生まない人生を選んだ」「いろんな人にいろんなことを言われた」。しかし「私は毛深い子どもたちの母になり、我が家は大家族になった」「誰に何を言われようと後悔はない」――。
そんな言葉とともに投稿された動画は、Instagramで300万回を超える再生を記録。「胸を張って最高と言える生き方がすばらしい」「羨ましいくらいです」など、共感の声が数多く寄せられています。
子どもを生まないという選択、そして“毛深い子どもたち”
佳織さんは、フレンチシェフで夫の「お父ちゃん」と、総勢34匹の元保護犬たちと暮らしており、その暮らしぶりを「ぱんはな家(@pan._.hana)」のアカウント名で紹介しています。今回の投稿は、佳織さんが43歳の誕生日を節目に、人生を振り返った率直な気持ちを記したものだったそう。
「親のいない子どもがたくさんいる中で、あえて“自分たち自身の子どもを作り、この世に生み出すこと”にこだわりはありませんでした」と語る佳織さん。
「命を預かり育てることに関心がなかったわけではありませんが、犬猫保護の活動に注力しているうちにあっという間に時が流れ、年齢的なリミットが目前に―。出産を望むかどうかを考えた際、それが人間の子どもではなくとも、すでに私たちの元にいるたくさんの命に責任を持ち、全力の愛を注いでいこうと決めました」
否定的な声、それでも揺らがなかった思い
「子どもを持たない」という決断には、批判や否定の声も寄せられました。
「親に孫の顔を見せないなんて親不孝」「人として成長する機会を逃している」「生めるのに生まないのは一社会人として自己中心的」「せっかく女性に生まれたのに出産を経験しないなんてもったいない」…など。
「子どもを“生んで育てる”ことは、途中で『やっぱりやめた』が許されない、一生涯にわたる大仕事であるはずなのに、他人がずいぶんと簡単に無責任なことを言うのだな…といつも思っていました。私たちは、自分たちが決めた選択に自信と責任を持つのみ。気持ちが揺らぐことはありませんでした」
1匹の犬との出会いがすべての始まりに
バリ島での保護活動を始めたのは2016年。迷い込んできた1匹の子犬との出会いをきっかけに、島の犬猫たちが置かれた厳しい現実を知り、少しずつ取り組み始めたといいます。
現在の生活は完全に犬中心。
「起床→トイレ→散歩→朝ごはん→トイレ→昼寝→庭で遊ぶ→夜ごはん→トイレ→歯磨き→就寝。これが基本の流れです。朝の散歩は、脳障害のある子と仔犬を除く32匹を3回に分けて40分ずつ。その後、夫は仕事へ行き、犬たちの夜ごはんが終わる頃に帰宅。私は犬たちの世話をしながら家事をこなします」
「生活で大変なのは、みんなが病気やケガをした時。一方で楽しいのは、みんなが広い庭を思いっきり走り回る様子を眺めているとき」なのだそうです。
「助けたつもりが、助けられている」
佳織さんたちにとって、犬たちは“人生における大切なことをたくさん教えてくれる、とても大きな存在”だといいます。
「助けたつもりが助けられていると感じることは多々ありますし、純真無垢で“今”を力いっぱい生きる彼らの姿から本当に多くのことを学んでいます。もしも彼らと出会わなければ、大切なことに何も気付かないままの人生だったかもしれないと思うと、怖くなるほどです」
「34匹と暮らしながらの保護活動は、大変なことも数えきれないほど。でも、家族全員で困難や試練を乗り越えることでそれぞれに自信がつき、自身の成長を実感できます。家族と共に、困難さえも楽しみながら明るく乗り越え前進していく――それこそが私の人生だと思っています」
広がる応援の輪と、これから
Instagramで活動を発信するようになってから、たくさんの応援をいただくようになったといいます。
「活動を始めて10年。自宅や職場周辺など地域の犬猫たちの保護活動や、TNR活動(外暮らしの犬猫の不妊手術)を継続してきました。今後も元気いっぱいな我が家の34匹の様子とあわせて、過酷な環境で一生懸命に生きるバリ島の犬猫たちの現状もお伝えできればと思っています。そして、そんな私たちと共に“できることをできる範囲で”、行動に移してくれる仲間を増やしていきたいです」
「10年前には想像もしなかった今だけど、控えめに言って最高な私の人生」と投稿で記していた佳織さん。人生の選択について悩みを抱える人に、自身の体験を踏まえた考えを聞きました。
「子どもを生む生まないはその人自身が決めるべきことですので、誰に何を言われようと自分の選択に自信を持って、最高な人生を思う存分楽しんでほしいと思います」
また、動物保護に関してもこう語ります。
「小中学生を含むたくさんの方々がDMをくださるのですが、その中には『いつかぱんはなさんみたいにたくさんの命を保護したい』『大きくなったら保護施設を作りたい』というメッセージもとても多いです。しかし、保護をするということは、助けを求めている命がそこにあるということ。保護をひたすらに繰り返すのではなく、助けを求めている子…保護を必要とする子がどこにもいない世界をつくることができたら、それが一番」
「保護し続ける未来ではなく、不幸な命をこの世に生み出さない未来をつくっていけるように、私たち一人ひとりに何ができるのか、これからもみなさまと共に考えて行動していきたいと思います」
