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身近で起こっている動物に関する事件や情報の発信blogです。

2025年10月30日 まいどなニュース

 

「2週間だけ預かってほしい」 

 

6月、埼玉県上尾市の保護猫団体「アニマルエイド」に、3匹の猫を抱えた高齢女性がやってきた。引っ越しのため一時的に預かってほしいという依頼だったが、女性はその後、連絡が途絶えた。

 

 ペットホテルに預けたまま飼い主さんと連絡がとかなくなった…写真は、じゃじゃ丸くん(ひろまろすぎさん提供、Instagramよりキャプチャ撮影)(まいどなニュース)

 

【動画】置き去りにされた3匹の猫たち 

 

「何度も新居の住所を訪ねたり、警察やセンターにも相談しました。でも連絡は取れませんでした」 

 

そう語るのは、アニマルエイドで猫の世話やお掃除などを担当するスタッフ・ひろまろすぎさん(@tigernohige)だ。

「遺棄された」と判断し、里親探しを開始

3匹がやって来たのは、6月11日。女性は電話をしてから30分後にはタクシーで到着したという。 

 

「オシッコまみれで、よくタクシーで移動できたなと思うほどでした。『2週間したら新居も落ち着くから』と話していましたが、それっきり音信不通に…」

 

 しばらく待っても連絡がないため、団体では「遺棄された」と判断。警察や動物愛護センターにも報告した上で、里親探しを始めた。

信じて待ち続けていた3匹「今は穏やかに、人懐っこく過ごしています」

3匹は、来たばかりの頃は緊張した様子で、ごはんを食べられなかったり、体調を崩したりした。 

 

「いつかお迎えが来ると信じて待っていたのだと思います」とひろまろすぎさん。 

 

現在はアニマルエイドのシェルターで、他の猫たちと穏やかに暮らしている。みんな人懐っこく、スタッフに甘えることも多いという。 

 

「去勢やワクチン、ウイルス検査(陰性)も済ませました。黒猫のピッコロくんには新しいおうちが決まり、今はじゃじゃ丸くんとポロリくんが新しい家族を待っています」

「家族を信じてきた猫を、どうか簡単に手放さないで」

「こうしたケースは、残念ながら後を絶ちません。極寒の中、何日も外に置き去りにされた元飼い猫を保護したこともあります」 

 

ひろまろすぎさんは静かに語る。 

 

「猫も家族との幸せな毎日がずっと続くと思って生きています。捨てられた猫の悲しみや不安は計り知れず、体調を崩す子もいます。もし、どうしても飼えなくなったら――。捨てずに、責任を持って新しい家族を探してあげてほしい。猫の幸せのために、それだけはお願いしたいです」

 

3匹の猫たちは今もシェルターで、優しい家族との出会いを待っている。彼らに「もう一度、信じられる家族」が見つかる日を願わずにはいられない。 

 

※10月22日、ピッコロくんは里親さんが決まりました。 

 

(まいどなニュース特約・渡辺 晴子)

2025年10月29日 弁護士ドットコムニュース

 

SNSで「#犬をしまえ」というハッシュタグが議論を呼んでいます。きっかけは東北地方で飼い犬がクマによって殺されたり、危害を加えられたりする事件が相次いで報じられたこと。

 

画像はイメージです(n.s.d / PIXTA)(弁護士ドットコム)

 

  【話題をよんだ投稿】台風や寒波…「犬をしまえ」 

 

これまでも台風や猛暑、厳寒などの過酷な気象条件下でも犬を屋外で飼育し続けることへの批判の声が度々上がってきました。犬は原則として屋内で家族として暮らすべきだ、という考えも広がっているように見えます。 

 

かつて犬は「番犬」として屋外で飼育される(いわゆる「外飼い」)のが一般的でしたが、近年は「家族の一員」として室内で共に暮らすスタイルが主流となりつつあります。 

 

こうした社会的な意識の変化の中で、「犬をしまえ」の声が高まったようです。では屋外で飼育することは、法的にどのように扱われるのでしょうか。現行法で「外飼い」がどのような場合に違法となり得るのか検討します。

●「犬を屋内で飼え」と命じる法律はない

まず結論から言えば、現在、日本の法律や多くの自治体の条例において、「犬を飼育する場所は屋内でなければならない」と直接的かつ一義的に定めた規定は存在しません。 

 

日本の動物愛護の根幹をなすのは「動物の愛護及び管理に関する法律」(以下、動物愛護管理法)です。この法律は、飼い主に「適正飼養」の義務を課していますが、その飼育場所を「屋内」に限定するものではありません。

 

したがって、「外飼い」をしているという事実だけで、直ちに違法となるわけではありません。

●「外飼い」が違法となる境界線

では、どんな場合でも「外飼い」は法的に問題ないのでしょうか。 

 

動物愛護管理法が定めているのは飼育場所の指定ではなく、「動物の愛護及び管理に関する責任を十分に自覚して、その動物をその種類、習性等に応じて適正に飼養し、又は保管することにより、動物の健康及び安全を保持するように努めるとともに、動物が人の生命、身体若しくは財産に害を加え、生活環境の保全上の支障を生じさせ、又は人に迷惑を及ぼすことのないように努めなければならない」という飼い主の責務(動物愛護管理法 第7条)です。 

 

この責務を果たしていない、すなわち「適正飼養」の基準を著しく下回る飼育方法は、「虐待」または「ネグレクト(飼養放棄)」として違法性を問われる可能性があります。 

 

では「外飼い」は本当に虐待やネグレクトに該当するのでしょうか。まず、一般的なネグレクトの類型を確認し、その後に今回のクマの事例を検討してみます。 

 

1)ネグレクトの一般的な類型

動物愛護管理法 第44条は、愛護動物をみだりに殺し、傷つけることだけでなく、「給餌若しくは給水(えさや水を与えること)をやめ、酷使し、又はその健康及び安全を保持することが困難な場所に拘束することにより衰弱させること」も「虐待」として禁止しています。 

 

これはいわゆる「ネグレクト」と呼ばれる行為です。具体的に「外飼い」において問題となり得るのは、以下のようなケースです。 

 

過酷な気象条件での放置: 猛暑日に直射日光が当たる場所に係留し、日陰や十分な水がない場合(熱中症のリスク)。また、台風や豪雨、厳寒の日に、風雨や寒さをしのげる適切な小屋(犬舎)がないまま放置すること。これらは犬の健康と安全を著しく脅かす行為であり、ネグレクトに該当する可能性が極めて高いと言えます。 

 

不衛生な環境: 排泄物が長期間放置され、不衛生な環境で飼育すること。 

 

不適切な係留: 極端に短い鎖でつなぎ、犬が自由に動いたり、水や餌にアクセスしたりできない状態にすること。 

 

適切な給餌・給水の欠如: 日常的に十分な量と質の食事が与えられていなかったり、新鮮な水が飲める状態になっていなかったりすること。 

 

これらの行為が確認され、動物が衰弱しているような場合、飼い主は動物愛護管理法違反(ネグレクト)に問われ、刑事罰(1年以下の懲役または100万円以下の罰金)の対象となる可能性があります。

 

2)クマの襲撃リスクがある場合、外飼いはネグレクトになるか SNSで「#犬をしまえ」という声が高まったのは、猛暑やクマなど野生動物に犬が危害を加えられる現実的な危険が生じてしまっているためです。 

 

しかし、犬を室内で飼うことが非常にまれな地域はいくらでもあります。それらの地域でクマが出没するリスクがある場合、全ての外飼いがネグレクトになるわけではありません。 

 

法は、飼い主が最低限果たすべき動物の安全の保持すら怠ったような場合を処罰する趣旨です。そこで、ネグレクトにあたるかどうかは、以下のような要素を総合的に考慮して判断する必要があると考えられます。 

 

ア)クマの出没により犬が襲われる具体的な危険性がどの程度高かったのか 

イ)その危険をどの程度飼い主が予見できたのか 

ウ)飼い主が安全確保のためにどの程度の努力をしたのか

●自治体の条例による規制

法律レベルで「屋内飼育」の義務化はされていませんが、各自治体の「動物愛護管理条例」や「生活環境条例」などで、飼育方法に関する具体的なルールが定められている場合があります。 

 

ただし、これらの条例も「屋内か屋外か」という視点ではなく、動物が逃げ出して危害を加えることを防止するという観点から規定されたものです。屋外で飼育する場合には「係留(つなぎとめる)義務」に焦点を当てていますが、目的は動物の保護というわけではありません。 

 

たとえば、東京都の「動物の愛護及び管理に関する条例」では、「犬を逸走させないため、犬をさく、おりその他の囲いの中で、又は人の生命若しくは身体に危害を加えるおそれのない場所において、固定した物に綱、鎖等で確実につないで」(第9条)飼育することと定めています。 

 

これは、犬が逃げ出して他人に危害を加えることや、交通事故に遭うことを防ぐための「管理」の側面が強い規制です。 

 

なお、過度な「外飼い」は別の条例違反を引き起こす可能性もあります。 

 

代表的なのが「騒音」です。屋外で飼育されている犬が、人通りや物音に過剰に反応して昼夜問わず吠え続ける場合、近隣住民の生活環境を害しているとして、自治体の「生活環境保全条例」などに基づき、指導や勧告の対象となることがあります。

●動物愛護のための法律の厳格化という流れ

現行法は、「外飼い」そのものを禁止していません。しかし、法律が求める「適正飼養」の基準は、時代と共に厳しくなっています。

 

2019年の動物愛護管理法改正では、虐待に対する罰則が大幅に強化されました。また、2021年からは、ブリーダーやペットショップなどの「第一種動物取扱業者」に対しては、飼育ケージの広さや従業員1人あたりの上限飼育数など、より具体的な基準(数値規制)が導入されています。 

 

これは一般の飼い主には直接適用されませんが、社会全体として「動物の生活の質(QOL)」を重視する方向に向かっていることのあらわれです。

●まとめ:法的なリスクを回避するために

「外飼い」は、それ自体がただちに違法となるわけではありません。 

 

しかし、クマによる被害が増えている現状で、動物愛護管理法が定める「飼い主の責務」を全うするためには、屋外飼育は屋内飼育に比べて格段に多くの配慮と管理コストが必要となっています。 

 

また、クマによる被害だけでなく、日本の夏は酷暑の傾向が強まり、冬も地域によっては厳寒です。また、台風やゲリラ豪雨も頻発します。このような環境下で、24時間365日、犬の「健康と安全」を屋外で確保し続けることは、地域によっては非常に困難になっています。 

 

#犬をしまえ」という声は、当然ながら法的な強制力を持つものではありません。

 

 しかし飼い主が動物愛護管理法の精神である「動物の命を尊重し、適正に扱」えているのかが、時代による価値観の変化や、外飼い自体の危険性の変化もあって、大きな問題となっているのでしょう。

2025年10月30日 RKB毎日放送

 

 

過去最多の患者数を更新しているSFTS=重症熱性血小板減少症候群。 

 

マダニが媒介する感染症です。

 

【写真で見る】野生動物が人の生活圏に運ぶおそれも マダニ感染症に注意 

 

マダニは秋に活動が活発になります。 

 

紅葉狩りやピクニックなど秋の行楽シーズンを迎えどんな場所に注意したらよいのでしょうか。 

 

■かさぶたと思ったら”マダニ” 

 

ABURAYAMA FUKUOKA 自然観察センター 大野敦子さん 「最初はこんな所にかさぶたあったかなと思って触ったら、あれ取れないなって。よく見たらマダニが血を吸っていて、ちょっと大きくなっているっていう状況でした。その時点ではまったく気づいていないので、痛みもかゆみもありませんでした」 

 

マダニにかまれた経験があるという大野さん。 

 

これから紅葉シーズンを迎える福岡市の油山で、観光ガイドなどを務めています。 

 

マダニにかまれた可能性があるのは、仕事中です。 

 

どういった場所に潜んでいるのでしょうか? 

 

■土が掘り返されている場所は要注意

 

ABURAYAMA FUKUOKA 自然観察センター 大野敦子さん 「油山ですと、イノシシがミミズとかを探したり掘っているような場所が時々見られます。草をちょっとどけて下にいるミミズとかを多分探していたんじゃないかと思います。イノシシがよく利用する所にいるので、おそらくこういう場所で待ち構えていて、イノシシがやってきて動いているときにまた付いて血を吸ったりというようなことかなと思います」 

 

マダニがよく潜んでいるのが、土が掘り返されり、水がたまっている場所。 

 

イノシシがエサを食べていたとされる場所です。 

 

マダニはイノシシなどの野生動物に寄生し、移動します。 

 

そして、人に移って血を吸います。 

 

■致死率は10%〜30% 

 

そのマダニが、SFTSのウイルスを持っていた場合、感染症を引き起こすことがあるのです。 

 

SFTSは発熱や嘔吐、下痢などが主な症状で、致死率は10%から30%とされています。 

 

山道で土を掘り返したような場所を見かけたら、まずは近づかないことが重要だと大野さんは言います。

 

Qこういった、ある程度道ができているところは大丈夫なんですか?

 

ABURAYAMA FUKUOKA 自然観察センター 大野敦子さん 「そうですね、道があっても真ん中を通っていただければ。それとマダニはそんなに動きが速くないので、普通のペースで歩いている分には多分そんなに素早い動きで付くっていうことはないと思うんですが、立ち止まったり中に入ってじっと過ごすことは気をつけた方がいいと思います」 

 

■芝生の上にもマダニが・・・ 

 

マダニが潜んでいるのは「山の中」だけではありません。 

 

福岡県福津市、山のふもとに位置する自然公園です。 

 

アライグマ防除研究会 菊水研二さん 

「これがシカのフンです。シカはここに現れて、芝を食べてフンを落とすんだけど、実はそれ以外にマダニも落とすよってことなんです」 

 

開けた芝生の上にもマダニがいると注意を呼びかけているのが、害獣の調査などを行う団体「アライグマ防除研究会」の菊水さんです。

 

 ■ニホンジカがマダニを運ぶ?

 

この公園にマダニを運んでいるとされているのが、ニホンジカです。 

 

福岡県によりますと、県内には2020年の時点で約2万7000頭のニホンジカがいるとされていて、生息域は年々拡大しています。 

 

菊水さんがシカのフンが落ちていた周辺を調べたところ、30分で40匹ほどのマダニを捕獲したこともあったそうです。 

 

さらにー 

 

■アライグマがマダニを人の生活圏に運ぶおそれも 

 

アライグマ防除研究会 菊水研二さん 

「私が一番恐れているのは、自宅の庭や家庭菜園にマダニが運ばれて、そこでかまれる事故が発生することです」 

 

マダニを人の生活圏まで運ぶ可能性が高い害獣として警戒しているのがアライグマです。 

 

アライグマは繁殖力が高く、福岡県内で去年確認された数は5825頭。 

 

5年間で4倍にも増えているんです。 

 

身近な場所にも潜んでいるかもしれないマダニ。

 

身を守るにはどのような対策をとれば良いのでしょうか? 

 

■マダニ対策は 

 

マダニから身を守るには肌の露出を少なくすることです。

 

 具体的には、・首にタオルをまく・シャツの袖口は手袋の中に入れる・長ズボンの裾は靴下の中に入れる 

 

マダニの大きさは2ミリから4ミリ程度で肉眼で確認できます。

 

 明るい色の服の方がマダニが付いていた場合、確認しやすくなります。 

 

虫除けスプレーも有効です。 

 

ディート、またはイカリジンという成分が入ったものが有効的だということです。 

 

万が一マダニにかまれたら無理に取り除こうとはせず病院で取ってもらいましょう。 

 

無理に取ると一部が残り化膿したり、病原体が入るおそれもあります。

 

秋の行楽シーズン、十分注意してください。

2025年10月30日 朝日新聞

 

 全国でクマによる人身被害が相次ぐ中、東京都内では9月以降、西多摩地域の山間部を中心にツキノワグマの目撃情報などが計45件に上っている。8月には奥多摩町で渓流釣りをしていた男性がクマに襲われる被害も発生。自治体が注意を呼びかけている。

 

東京都がインターネット上で公開している「ツキノワグマ目撃等情報マップ」。丸の地点は、今年クマの目撃や痕跡などの情報があった場所を示しており、圏央道の西側の山間部に集中していることがわかる(朝日新聞)

 

  都がインターネット上で公開している「ツキノワグマ目撃等情報マップ」によると、八王子、青梅、あきる野、日の出、奥多摩、檜原の各市町村で今年は29日時点で計236件の目撃や痕跡などの情報がある。いずれも圏央道の西側に広がる山間部が中心だ。同様の情報は2023年には計195件、24年には計324件に上った。

 

  都の担当者によると、「クマが生息している首都」は世界的にも珍しい。秋はクマが行動を活発化させる時期で、12月ごろまでは特に注意が必要という。

 

  都内では今年、人身被害も1件発生している。8月23日に奥多摩町で渓流釣りをしていた男性がクマに襲われ、救急搬送された。命に別条はなかったという。町は、例年と比べて目撃情報が特段増えているわけではないとしているが、20年度以来となる人身被害に警戒を強める。

 

  奥多摩町は、生ゴミを家の外に放置しない▽野菜や果物を畑に取り残さない▽山に入る際はクマ鈴やラジオなど音の出るものを持つ――といった対策を呼びかけている。

 

 ただ、クマの目撃情報の中には、ニホンカモシカや鹿など他の動物との見間違いも多いとの指摘もある。青梅市では19日、JR東青梅駅近くで「クマを目撃した」と住民から110番通報があったが、市や青梅署はクマの出没を確認できなかった。

 

  青梅市の担当者は「市民から街を歩くのが怖いという声も届いている」と困惑する。「クマに対する警戒は必要だが、今のところ市街地への出没は確認されていない」としている。(上保晃平)

2025年10月28日 ESSE online

 

国土交通省「空家等現状について」によると、あき家はここ20年で1.8倍も増えており、2025年時点では約820万戸にも達します。グループ合計で18万件の遺品整理の実績をもつ「遺品整理プロスタッフ」の代表取締役社長・石田毅さんとスタッフの田中さんは、これまで数々のあき家を片付けてきました。今回は石田さんと田中さんに、あき家問題の現状と、飼い主を失ったペットたちの現実に焦点を当て、お話を伺いました。

 

遺品整理の専門業者が現場で見た「ペット」のリアル(※画像はイメージです)((C)ESSEonline)

住人が亡くなり、残された1匹の犬…

住人がいなくなり、静かになった家…。石田さんが遺品整理の依頼を受けて見積もりに訪れると、人の姿はなく、代わりにくりっとした目が印象的な一匹の犬が、不安げに立ちすくんでいました。 

 

そのときのことを「すごくかわいい顔をしたワンちゃんで、見た瞬間に胸が締めつけられるような切ない気持ちになった」と、石田さんは振り返ります。

 

 遺品整理の依頼主は、故人の親戚でした。飼いたい気持ちはあったものの、ペット不可のマンションに住んでいるため、犬を飼うことはかなわない…。さらに、中型犬ということもあり、知り合いにあたってはいるものの、引き取り手はなかなか現れませんでした。 

 

「僕にも『だれか探してくれないか』とおっしゃっていたのですが、なかなか見つからなくて…。うちでも犬を飼っているので、他人事とは思えませんでした」(石田さん、以下同)

 

見積もりのために訪れてから、その犬のことがずっと気になっていた石田さん。ですが、どうすることもできず、気がづけば2、3週間が経っていました。

●今でも忘れられないあの日のこと

そして、迎えた作業当日。聞けば、依頼主は遠方に住んでいて、仕事の都合で2、3日に1度、ごはんをあげに来るのがやっとだったそうです。 

 

作業期間中は自分たちで世話をすることができても、片付けが終わればもうその場所を訪れることはない。そう考えた石田さんは、犬の新しい飼い主を探すために奔走しましたが、結局、願いはかないませんでした。 

 

その後、犬がどうなったのかを知る由もなく、「自分が犬を連れて帰るという選択肢もあったのではないか…?」と、ふと思い出して今でも後悔することがあるそう。 

 

「動物を飼うということは、最後まで一緒にいられるか、自分がいなくなってしまったあとのことも考えておくくらい、覚悟と準備がいる。“孤独死”の問題もありますが、飼い主亡きあとの“ペット”の問題もあるということを改めて感じました」 

 

どうにかしてあげたかったけれど、あのときはどうすることもできなかった…。同じ出来事に遭遇したときの考えてはいるものの、幸か不幸か、それ以来、遺品整理の現場で、同じように残された動物たちに出合うことは今のところないそうです。

現場で見つけた「猫」

同じようにスタッフの田中さんも、“ペット”にまつわる切ない現場に何度か立ち会ったことがあります。いちばん心に残っているというのが、一軒家の現場で発見された、猫と思われる3体の白骨が発見されたことだそうです。 

 

「多分、飼い主さんが亡くなってしまったあと、エサも水も得られず、力つきてしまったのだと思います…。数日なら動物も耐えられるかもしれませんが、数週間も発見されなければ、最悪の事態になりかねません。もっと早く発見できていれば…と、今でも悔やまれます」(田中さん、以下同) 

 

その経験もあり、じつは田中さん、別の現場で見つけた4匹の子猫を全匹引き取ったこともあるそう。 

 

「片付けをしていた現場でたまたま4匹の子猫に遭遇したんですね。あたりを見渡したところ、親猫らしき姿は見当たらず…。飼い主を探したものの、なかなか見つからなかったため、過去の経験もあり、思いきってうちに迎え入れることにしました」

 

 当時は、200gほどにやせていた子猫たち…。しかし、田中さんの家で愛情たっぷりに育てられ、今では7kgにまで成長し、元気に暮らしているそうです。

●自分亡きあとのことも考えることが飼い主の務め

このケースでは田中さんが引き受けましたが、毎回飼ってあげることもできません。そのため、現在は、地元の保護犬・保護猫団体と連携し、遺品整理の現場で保護された動物たちの新しい飼い主探しをサポートしています。

 

「高齢者やひとり暮らしで、動物を飼う方も多いかと思います。ですが、その場合はやはり、できるだけ毎日どうしているか、だれかと連絡がとれるようにしておいてもらうと、ペットのためにも安心かと思います」 

 

最近は、犬や猫のために遺言を残したり、ペット信託を利用することも可能になっています。各自治体の動物愛護センターのホームページを確認したり、弁護士や法律相談窓口に相談してみるのもよいでしょう。もはやペットは大事な家族。大袈裟だと思わずに準備しておくのも飼い主の務めなのではないでしょうか。 

 

※ 実際の体験をもとに、依頼者および遺品整理業者の許諾を得て制作しています。個人情報保護の観点から、登場人物や一部の状況は実際の事例を損なわない範囲で変更しています