【夕顔386-2】軒端荻の歌に対する光源氏の評価☆
イラスト解釈では
源氏物語イラスト訳で出てきた古文の
入試対応オリジナル問題を掲載しています☆
源氏物語イラスト解釈
【これまでのあらすじ】
天皇(桐壺帝)の御子として産まれ、容姿・才能ともすぐれていた光の君は、幼くして母(桐壺更衣)を亡くし、臣籍に降下、「源氏」姓を賜り、左大臣の娘葵(あおい)の上を正妻にもらいました。一方、帝の後妻である、亡き母によく似た藤壺宮(ふじつぼのみや)への恋慕、そして、中流の女空蝉(うつせみ)との一夜限りの情事、プライドの高い六条御息所(ろくじょうのみやすんどころ)との逢瀬…。光源氏は尽きせぬ恋を重ねていくのでした。
ただ今、「4.夕顔」の巻です。17歳の光源氏は、五条にひっそり住まう夕顔の君に恋をし、彼女を廃院に誘いますが、夕顔は物の怪に襲われ急死してしまいます。失意の中、喪も明け、光源氏はかつて関係のあった人妻の空蝉へ、そして一夜の逢瀬であった軒端荻へと、想いを馳せるのでした。
【今回の源氏物語】
手は悪しげなるを、紛らはしさればみて書いたるさま、品なし。
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☆ 古文オリジナル問題~光源氏の評価~☆
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手は悪しげなるを、紛らはしさればみて書いたるさま、品なし。
問)傍線部のように光源氏が評価した理由として最も適当なものを、次の中から1つ選べ。
1.手癖が悪い様子が、歌の内容から垣間見えてきたから。
2.文字が下手であるのを酒落れた書き方でごまかしていたから。
3.洒落た言葉で綴ってあるが、実際は内容の薄い歌だったから。
4.状況がよくわからないのに、ごまかして書いてあったから。
5.文字が汚い上に、光源氏をけなす書きぶりをしていたから。
古文の解釈は、
⑴ 傍線部の一語一語の逐語訳
⑵ 直前直後の文脈による心情把握
この2つの手順から、状況を押さえていきます。
今回は「品なし」という古語です。
【品(しな)】
【名詞】
①種類
②地位。身分。家柄
③品位。人柄
④階段
⑤事情。事のなりゆき
*『全訳古語例解辞典(小学館)』より
この古語は今回の場合、
現代と同じく「品がない」「下品だ」のニュアンスでしょう。
では、光源氏がそう判断した理由は何でしょうか?
直前を見てみましょう。
手は悪しげなるを、紛らはしさればみて書いたるさま、品なし。
「手」が悪くて
それを紛らわし、洒落た風を装って書いているのが
「品なし」なのですね!
では、「手」とは何でしょう。
【手(て)】
【名詞】
①人体の手
②器物の取っ手の部分
③技量。腕前。わざ。筆跡。文字
④手下。部下
⑤傷。負傷
*『全訳古語例解辞典(小学館)』より
「手」は、今でもさまざまな慣用句として用いますが
古文でも、意味はさまざまあったようです。
今回は、明らかに③の意味でしょう。
でも、「(歌の)技量」という意味なのか
「筆跡・文字」という意味なのか…
どちらとも、取れそうですよね;;
古文の解釈は、まずこれくらいの把握をしておいて
マーク問題の場合は、選択肢を見て削っていくようにしましょう。
1.手癖(×)が悪い様子が、歌の内容から垣間見えてきたから。
2.文字が下手であるのを酒落れた書き方でごまかしていたから。
3.洒落た言葉で綴ってあるが、実際は内容の薄い歌(△スギ)だったから。
4.状況がよくわからない(△本文にナシ)のに、ごまかして書いてあったから。
5.文字が汚い上に、光源氏をけなす書きぶり(△スギ)をしていたから。
「手=技量」と捉えると、
選択肢3の可能性も捨てきれませんが…
選択肢は相対的にみて
「最も適当な」ものを選ぶんですよ!
【答え】…2