【夕顔356-2】代動詞の解釈問題☆
文系のみなさんは塾や予備校で
古文の対策はバッチリだと思いますが…
理系のみなさんは、このブログで
古文読解の基礎を学んでほしいと思います。♪
源氏物語イラスト解釈
【これまでのあらすじ】
天皇(桐壺帝)の御子として産まれ、容姿・才能ともすぐれていた光の君は、幼くして母(桐壺更衣)を亡くし、臣籍に降下、「源氏」姓を名のり、左大臣の娘葵(あおい)の上を正妻にもらいました。一方、帝の後妻である、亡き母によく似た藤壺宮(ふじつぼのみや)への恋慕、そして、中流の女空蝉(うつせみ)との一夜限りの情事、プライドの高い六条御息所(ろくじょうのみやすんどころ)との逢瀬…。光源氏は尽きせぬ恋を重ねていくのでした。
ただ今、「4.夕顔」の巻です。17歳の光源氏は、五条にひっそり住まう夕顔の君に恋をし、彼女を廃院に誘いますが、夕顔は物の怪に襲われ急死してしまいます。部下の惟光(これみつ)の助けを借りながら夕顔の葬儀を終え、光源氏は失意に沈みつつ、右近(夕顔の侍従)を二条院へ招き入れます。ある夕暮れ時、右近から亡き夕顔の忘れ形見である少女がいることを聞き出しました。
【今回の源氏物語】
「…そのあらむ乳母などにも、ことざまに言ひなして、ものせよかし」など語らひたまふ。
「さらば、いとうれしくなむはべるべき。…」
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☆ 古文オリジナル問題~代動詞の解釈~☆
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「…そのあらむ乳母などにも、ことざまに言ひなして、ものせよかし」など語らひたまふ。
「さらば、いとうれしくなむはべるべき。…」
問)傍線部の意味として適当なものを、次の中から1つ選べ。
1.夕顔の子を遠くに追いやれよ。
2.夕顔の子を連れて参れよ。
3.夕顔の子の面倒を見ておくれよ。
4.夕顔の子に言っておくれよ。
5.夕顔の子と結婚させてくれよ。
大学入試の古文のなかで、
非常に難解になってくるのは、
指示語の問題と、今回のような代動詞の解釈です。
「ものす」という動詞は、現代でいうと、
「なにする」ぐらいの、曖昧な訳出でしょう。
辞書には、こんなふうにあります。
【ものす(物す)】
【自動詞:サ行変格活用】
①ある。いる
②行く。来る
③生まれる。死ぬ
【他動詞:サ行変格活用】
①する。なす。行う
②言う。述べる
【補助動詞:サ行変格活用】
…~である。~ている
*『全訳古語例解辞典(小学館)』より
「…そのあらむ乳母などにも、ことざまに言ひなして、ものせよかし」
夕顔の子と共にいるような乳母などに、
別の事を言いつくろって、
「なにせよ」
と言っているんですね!
つまり…
1.夕顔の子を遠くに追いやれ(△ズレ)よ。
2.夕顔の子を連れて参れ(○)よ。
3.夕顔の子の面倒を見ておくれ(△ズレ)よ。
4.夕顔の子に言っておくれ(×ズレ)よ。
5.夕顔の子と結婚させてくれ(△スギ)よ。
「ことざまに言ひなして」という文脈から、
今育てている乳母が、夕顔を手放す口実をつけるわけです。
なぜでしょうか…?
もちろん、光源氏が、自分の手に入れたいからでしょうね!
【解答】…2