【夕顔314-2】偏差値66の状況説明問題☆
源氏物語イラスト解釈
【これまでのあらすじ】
天皇(桐壺帝)の御子として産まれ、容姿・才能ともすぐれていた光の君は、幼くして母(桐壺更衣)を亡くし、臣籍に降下、「源氏」姓を名のり、左大臣の娘葵(あおい)の上を正妻にもらいました。一方、帝の後妻である、亡き母によく似た藤壺宮(ふじつぼのみや)への恋慕、そして、中流の女空蝉(うつせみ)との一夜限りの情事、プライドの高い六条御息所(ろくじょうのみやすんどころ)との逢瀬…。光源氏は尽きせぬ恋を重ねていくのでした。
ただ今、「4.夕顔」の巻です。17歳の光源氏は、五条にひっそり住まう夕顔の君に恋をし、彼女を廃院に誘いますが、夕顔は物の怪に襲われ急死してしまいました。部下の惟光(これみつ)に命じて夕顔の葬儀を終え、光源氏は失意のまま二条院へと戻ります。
【今回の源氏物語】
君も、しひて御心を起こして、心のうちに仏を念じたまひて、また、とかく助けられたまひてなむ、二条院へ帰りたまひける。
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☆ 古文オリジナル問題~状況説明偏差値66~ ☆
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君も、しひて御心を起こして、心のうちに仏を念じたまひて、また、とかく助けられたまひてなむ、二条院へ帰りたまひける。
問)傍線部の説明として最も適当なものを、次の中から1つ選びなさい。
1.光源氏はとにかく自邸へ帰るのが先決だと思い、夕顔への未練はあるものの、仏心に助けられながら、なんとか二条院へたどり着きなさった。
2.光源氏は馬から下りたものの自力で帰れそうにないので、惟光にあれこれ手助けしてもらいながら、なんとか二条院へとお帰りになった。
3.光源氏は心の中では仏に祈って助けてもらおうとしたものの、夕顔への未練は断ち切ることができず、悲しみに暮れたまま結局二条院へお戻りになった。
4.光源氏は道中ずっと清水の仏に祈りをささげ、あれこれと願をかけて歩き続けたおかげで、ようやく二条院へとお帰りになることができた。
5.光源氏は夕顔を失った悲しみで心を痛めていたものの、惟光の手前、しいて心を奮い起こして、誰の助けも借りずに二条院へ帰り着かれた。
大学入試共通テストのプレテストを見ると、
今後、こういう解釈問題が増えてきそうな勢いです。
思考力…ていうか――
情報処理能力なんじゃね?!
(-△-;)
問題文(古文)も長く、複雑になり、
選択肢も長文になっていくことが予想されるので、
とにかく、
主語を把握しながら
イメージを大切に
文脈を捉える速読力
が、必要となってきます。
今回のイラスト訳のポイントは、
「とかく助けられたまひて」
の主語と目的語の把握☆
「―たまひ(たまふ)」(尊敬の補助動詞)があるし、
「―て」(単純接続の接続助詞)で、
「二条院(光源氏の自邸)へ帰りたまふ」につながっていくので、
主語は、光源氏だと分かりますねっ。
では、目的語は誰でしょう?
「られ(らる)」は、受身・尊敬・可能・自発の助動詞です。
光源氏が、○○に「助けられ」…という文脈です。
「~に」という受身の対象が予測されるので、
この「られ(らる)」は、受身の意味ですね。
「とかく」の意味は…
【とかく】
【副詞】
①あれこれと。何やかやと。とやかく
②どうしても。いずれにせよ。とにかく
③ともすれば。ややもすれば
※『全訳古語例解辞典(小学館)』より
「あれこれ」助けるのは、仏さまではなく、
そばにいる従者の、惟光ですよね~!
したがって、目的語は、惟光です。
こういう文脈判断を、
「えーっと」「~だから…」などと、ちんたら考えるのではなく、
即座に、0.5秒で、見抜く力が
今後、求められてきているのです!
上の問題、15秒で解けたら、偏差値66
【解答】 2