【夕顔293-2】古文常識「鳥辺野」
さあっ! センター試験まで
100日を切りましたよ!
3連休明けて、レッツ・ゴー!!
源氏物語イラスト解釈
【これまでのあらすじ】
天皇(桐壺帝)の御子として産まれ、容姿・才能ともすぐれていた光の君は、幼くして母(桐壺更衣)を亡くし、臣籍に降下、「源氏」姓を名のり、左大臣の娘葵(あおい)の上を正妻にもらいました。一方、帝の後妻である、亡き母によく似た藤壺宮(ふじつぼのみや)への恋慕、そして、中流の女空蝉(うつせみ)との一夜限りの情事、プライドの高い六条御息所(ろくじょうのみやすんどころ)との逢瀬…。光源氏は尽きせぬ恋を重ねていくのでした。
ただ今、「4.夕顔」の巻です。17歳の光源氏は、五条にひっそり住まう夕顔の君に恋をし、彼女を廃院に誘いますが、夕顔は急死してしまいます。部下の惟光(これみつ)に後始末を命じ、光源氏は憔悴しきって内裏にも出仕できず、惟光と夕顔の葬儀へと出向きます。
【今回の源氏物語】
鳥辺野の方など見やりたるほどなど、ものむつかしきも、何ともおぼえたまはず、かき乱る心地したまひて、おはし着きぬ。
↑
――――――――――――――――――――――
☆ 古文オリジナル問題~古文常識「鳥辺野」~ ☆
――――――――――――――――――――――
鳥辺野の方など見やりたるほどなど、ものむつかしきも、何ともおぼえたまはず、かき乱る心地したまひて、おはし着きぬ。
問)傍線部の意味として最も適当なものを、次の中から一つ選べ。
1.鳥辺野の嫌味な感じなども、あまり問題になさらず
2.鳥辺野の人混みのうっとうしさも、何とも感じなさらず
3.鳥辺野までの道のりの遠さなども、まったく動じなさらず
4.鳥辺野の薄気味悪さも、意に介しなさらず
5.鳥辺野に行く道の煩雑さなども、何とも思いなさらず
古文の解釈問題では、
もちろん、まずは傍線部の一語一語の理解です。
【ものむつかし(物難し)】
【形容詞:シク活用】
①なんとなく嫌である。なんとなくうっとうしい
②薄気味悪い
※Weblio古語辞典より
「ものむつかし」がマイナスのイメージだとは分かるのですが、
では、辞書のどの意味で解釈するのかは、
傍線部だけでなく、文脈判断していくことになります。
今回のポイントは、
「鳥辺野」という地名の古文常識☆
【鳥辺野(とりべの)】
【地名】
…今の京都市東山区にある東山の西のふもとの地。「鳥部野」とも書く。平安時代から火葬場・墓地があり、嵯峨(さが)の「徒(あだ)し野(の)」とともに平安文学によく現れる。鳥辺野の火葬の煙は世の無常を表すものとされ、歌にもよく詠まれた。「鳥辺山」とも。
※Weblio古語辞典より
ひと昔前の小説や音楽の歌詞などには、
よく、人の死にからめて、「鳥辺野」や「徒野」の地名が
出てきたりしてたので、イメージも深かったのですが、
いまの若い人たちには、
教科書で出てこないこのような古文常識は
なかなかなじみが薄いのかなぁ…?
私は「鳥辺野」と聞いたら、
さだまさしの「鳥辺野」の歌詞が、
ぱっとイメージ浮かびます。
「寂しいからと それだけで来るはずもない 鳥辺野」
光源氏が、夕顔を失った寂しさだけで、
この鳥辺野まで、足を運んだわけではない――
「前のめりのまま 無造作に投げ出された愛が
季節に追われ 転んだまま 野ざらしになっている 鳥辺野」
立ち待ち月のさし昇る時間帯――
光源氏たち一行は、
夕顔の葬儀の行われる山寺に向かっています。
鳥辺野の方に目をやると、
そこには、死んだ人を焼く火葬の煙が立ちのぼり――
なんとも言いしれない、気味の悪さ――
しかし、光源氏は、そんな周りの状況も
「何ともおぼえたまはず」
夕顔の死の悲しみに浸っているのですね;;
【解答】…4