源氏イラスト訳【夕顔225】右近は
右近は、ただ「あな、むつかし」と思ひける心地みな冷めて、泣き惑ふさまいといみじ。
南殿の鬼の、なにがしの大臣脅やかしけるたとひを思し出でて、
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【源氏物語イラスト訳】
右近は、ただ「あな、むつかし」と思ひける心地みな冷めて、
訳)右近は、ただもう「ああ、気味悪い」と思っていた気持ちもすっかり冷めて、
泣き惑ふさまいといみじ。
訳)泣いて取り乱す様子はたいそう悲惨である。
南殿の鬼の、なにがしの大臣脅やかしけるたとひを思し出でて、
訳)南殿の鬼が、どこそこの大臣を脅かした例をお思い出しになって、
【古文】
右近は、ただ「あな、むつかし」と思ひける心地みな冷めて、泣き惑ふさまいといみじ。
南殿の鬼の、なにがしの大臣脅やかしけるたとひを思し出でて、
【訳】
右近は、ただもう「ああ、気味悪い」と思っていた気持ちもすっかり冷めて、泣いて取り乱す様子はたいそう悲惨である。
南殿の鬼が、どこそこの大臣を脅かした例をお思い出しになって、
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■【右近(うこん)】
■【は】
■【ただ】
■【あな】
■【むつかし】
■【と】
■【思ひ】
■【ける】
■【心地(ここち)】
■【みな】
■【冷め】
■【て】
■【泣き惑ふ】
■【さま】
■【いと】
■【いみじ】
■【南殿(なでん)】
■【の】
■【鬼(おに)】
■【の】
■【なにがし】
■【の】
■【大臣(おとど)】
■【脅かし】
■【ける】
■【たとひ】
■【を】
■【思し出で】
※【思し出づ】
■【て】
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☆本日の『源氏物語』☆
右近は、さっきまで恐怖におのにていたことも忘れて
主人の変わりように、嘆き惑っているようです。
南殿の鬼というのは、
『大鏡』にも載ってる、藤原忠平のエピソードでしょう。