【夕顔100-2】2つの「こそ」の識別☆
源氏物語イラスト解釈です
【これまでのあらすじ】
天皇(桐壺帝)の御子として産まれ、容姿・才能ともすぐれていた光源氏は、幼くして母(桐壺更衣)を亡くし、臣籍に降下した。帝の後妻である藤壺宮(ふじつぼのみや)が亡き母に似ていると聞き、思い焦がれるようになる。
ただ今、「4.夕顔(ゆうがお)」の巻。中流階級の空蝉(うつせみ)との仮初めの恋を経て、現恋人の六条御息所(ろくじょうのみやすんどころ)にも、正妻の葵上(あおいのうえ)のもとにも心が向かないでいる光源氏は、惟光(これみつ)の実家の隣家にひっそり住まう、夕顔の君に心惹かれています。
【今回の源氏物語】
「…一日、前駆追ひて渡る車のはべりしを、覗きて、童女の急ぎて、『右近の君こそ、まづ物見たまへ。中将殿こそ、これより渡りたまひぬれ』と言へば、…」
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☆ 本日の入試対策問題 ☆
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「…一日、前駆追ひて渡る車のはべりしを、覗きて、童女の急ぎて、『右近の君Aこそ、まづ物見たまへ。中将殿Bこそ、これより渡りたまひぬれ』と言へば、…」
問)傍線部ABの説明として最も適当なものを選べ。
1.Aは強意の係助詞であり、Bは疑問の係助詞である。
2.Aは呼びかけの接尾語であり、Bは強意の係助詞である。
3.AもBも、強意の係助詞である。
4.Aは強意の係助詞であり、Bは呼びかけの接尾語である。
5.AもBも、呼びかけの接尾語である。
「こそ」というのは、
今では「~でこそ」という強調で用いられますが、
古文でも、けっこう大切な重要表現です。
(▰˘◡˘▰)
【こそ】
【係助詞】
①【強調】ほかの人・物ではなく、その人・物【係り結びの法則】
②【「こそ…已然形、」の形で】からだけれども【逆接的表現】
【接尾語】
…【呼びかけ】~よ。~さん
*『Weblio古語辞典』より
基本的に、
係助詞の「こそ」は、
「こそ…已然形」の、係り結びの法則を形成し、
呼びかけの「こそ」は、
人を表す語につきます。
…てか…
AもBその法則にあてはまりそう。
区別つかへんし!
(σ・0・)σ
右近の君Aこそ、まづ物見たまへ。
「右近の君」は、女房を指します。
明らかに「人」ですよね。。。
あとの述部(結び)も、「―たまへ。」って、
已然形なのかー?!
中将殿Bこそ、これより渡りたまひぬれ。
「中将殿」は、頭中将を指します。
こちらも、明らかに「人」ですよね。。。
あとに続く述部(結び)の「ぬれ」は、
明らかに已然形でございます!
こちらのBに関しては、
「こそ」を、呼びかけの接尾語で捉えると、
結びの已然形の説明がつきませんので、
B[こそ」は、強意の係助詞になると思います。
─=≡Σ((( つ•̀ω•́)つ
1.Aは強意の係助詞であり、Bは疑問(×)の係助詞である。
2.Aは呼びかけの接尾語であり、Bは強意の係助詞である。
3.AもBも、強意の係助詞である。
4.Aは強意の係助詞であり、Bは呼びかけの接尾語(×)である。
5.AもBも、呼びかけの接尾語(×)である。
あとは、Aがどちらになるか…?
右近の君Aこそ、まづ物見たまへ。
訳してみますと…
【強意と捉えた場合】
訳)右近の君は、まず見物なさる。
童女が急いで右近の君に報告した流れに
なんか、合わないですよね~;
(;゚;∀;゚;)
【呼びかけと捉えた場合】
訳)右近の君さん、まず見物なさってください。
うんうん。
こちらの訳出なら、文脈に合ってますね
2.Aは呼びかけの接尾語(○)であり、Bは強意の係助詞(○)である。
3.AもBも、強意の係助詞である。
こんなふうに、
文法のみで判別できず、
文脈判断に頼らなくちゃならない
選択肢問題も受験に出題されますよ!
(●‘∀‘●)ノ"
正解…2