【空蝉64-2】現代ならウケるおバカキャラ:軒端荻
源氏物語イラスト訳のあいです
イラスト解釈では、イラスト訳で伝えられなかった文法事項や背景などを、随時お話ししています。
まだまだ拙いブログですが、少しでもお役に立てる記事にしていきたいと思います。
では今日も、一気に行ってみましょぉ~♪
ヽ(○・▽・○)ノ゙
これまでのあらすじ
天皇(桐壺帝)の御子として生まれ、才能・容姿ともにすぐれていたにもかかわらず、亡母(桐壺更衣)の身分の低さにより臣籍降下して源氏姓を賜った光源氏。
ただ今、「3.空蝉(うつせみ)」の巻です。光源氏は、紀伊守邸での方違えの際、そこで寝泊まりしていた伊予介の若妻(空蝉)と強引に契りを結びます。中流階級で凜(りん)とした空蝉に心惹かれた光源氏は、弟の小君を手なずけ、逢瀬の機会を執拗に求め続けます。とうとう光源氏は、紀伊守の屋敷に入り込み、空蝉と軒端荻(のきばのおぎ・空蝉の継子)をひそかに垣間見しその後寝所へ忍び込みますが、空蝉は気配を察し、こっそり寝所から抜け出てしまいます。光源氏は帳台の女が軒端荻だと気づきました。
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今回の源氏物語
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やうやう目覚めて、いとおぼえずあさましきに、あきれたる気色にて、何の心深くいとほしき用意もなし。
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☆ 人違いで夜這いを掛けられた軒端荻 ☆
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光源氏は、寝所の暗がりの中、
帳台に寝ている女の夜着をまくり上げ、
意中の女性、空蝉でないことに気づきます。
これは、先ほどの垣間見の際、
空蝉と共に碁を打っていた、
空蝉の義娘の、軒端荻ではないか!
(; ・`д・´) ナ、ナンダッテー!!
彼女も、だんだんと目が覚めて
思いも寄らない来客に、気が動転した様子――
でも――
…なんか……
心深くて気の毒……というような心づかいもない感じ。
【形容詞:シク活用】
①思慮が深い。思いやりが深い
②風情がある。趣が深い
*「学研全訳古語辞典(Weblio辞書)」より
最近テレビのクイズ番組や娯楽番組では、
おバカなキャラほどモテてるように思えます。
古典の世界では、
教養や価値観といった、内面的要素が
モテる人の不可欠な要素だったんです。
【平安時代にモテる秘訣】
(結婚する前)
●いい評判が立つこと
●和歌や手紙のセンスがいいこと
●音楽などの趣味があること
(結婚した後)
●和歌や手紙のセンスがいいこと
●時節に応じたもてなしができること
●豊かな髪、ふくよかな抱き心地、いい香り
(「平安時代にモテる女の秘訣」より)
なのに――
この軒端荻は、
光源氏の突然の来訪に対して、
空蝉のような思慮深く悩む様子や、
体を隠そうとする配慮などを見せることもなく…
「何の心深くいとほしき用意もなし」
と記述されています。
ヽ(*'0'*)ツ
【名詞】
①心をくばること。気遣い。配慮
②あらかじめ備えておくこと。準備。支度
*「学研全訳古語辞典(Weblio辞書)」より
こういう記述を見ても、
光源氏がなよ竹のような空蝉に惹かれたのも
うなづけますよね。
(▰˘◡˘▰)