【帚木392-2】「こそ…め」の用法☆
源氏物語イラスト訳のあいです
(-^□^-)
では今日もいってみましょ~~!
これまでのあらすじ
天皇(桐壺帝)の御子として生まれ、才能・容姿ともにめぐまれていたにもかかわらず、亡母(桐壺更衣)の身分の低さにより臣籍降下して源氏姓を賜った光源氏。
ただいま「2.帚木(ははきぎ)」の巻です。頭中将たちとの雨夜の品定め(=女性談義)の翌日、久しぶりに正妻葵の上のもとを訪れた光源氏は、その夕方、方違えのために、紀伊守の邸宅に行きます。そこには、紀伊守の継母である空蝉がちょうど泊まっており、光源氏は彼女の寝所に忍び込んで一夜を共にすべく、御寝所に連れ込み口説いています。
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今回の源氏物語
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「など、かく疎ましきものにしも思すべき。おぼえなきさまなるしもこそ、契りあるとは思ひたまはめ。…」
帚木392のイラスト訳はこちら
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係り結びの法則「こそ~め」
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文中に係助詞「こそ」が出てきたら、
結びの語は、已然形になる。
基本的な係り結びの法則ですね♪
係助詞「こそ」については、
係り結びの応用パターンも多く…;;
※
また、「こそ~め」と出てくれば、
助動詞「む」の意味としてあまり登場しない、
適当・勧誘になることも多いので、
けっこうトピック的に覚えてしまい、
入試本番でズッコケけしまったりすると思うので、
今日は、基本に忠実に、問題を解いてみましょうね♪
('-^*)/
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私大マーク問題 例題
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問題)傍線部「め」と同じ用法として最も適当なものを選べ。
1.千年を過ぐすとも、一夜の夢の心地こそせめ。(徒然)
2.「我こそ死なめ」とて、泣きののしること、(竹取)
3.「とくこそ試みさせたまはめ」など聞こゆれば、(源氏)
4.恥かはしてありけれど、男はこの女をこそ得めと思ふ。(伊勢)
5. 思えばいと疾しこの年月 今こそ分かれめ いざさらば(仰げば尊し)
「こそ~め」の「め」は、
助動詞「む」の已然形です。
助動詞「む」には、
上の6つの意味があります。
①推量 ス
②意志 イ
③適当 テ
④勧誘 カ
⑤仮定 カ
⑥婉曲 エ
「スイカカエテ」と覚える人もいると思いますが、
私は、「べし(スイカトメテ)」と混乱してしまうので、
こちらで覚えています。。。
(・∀・)
「スイ・テカ・カエ」なら、
「『か』って、…可能だっけ?」
…などと混乱することなく、
テカ…適当勧誘!
カエ…仮定婉曲!
と、パパっとイメージ出てきますよね♪
ヽ(゚◇゚ )ノ
ちなみに、大学入試では、
適当・勧誘、また、仮定・婉曲の区別は
特に問題視されません。
もちろん意味は違うので、
どちらがより適切か考えて訳してほしいですが^^;
でも、入試における文法問題では、
特に重要視されないので、
セットで覚えておくといいですよ♪
(°∀°)b
では、ここで問題解説☆
文法、特に助動詞の意味識別の場合、
本文の助動詞をきちんと押さえた上で、
選択肢の助動詞を判別し吟味します。
「おぼえなきさまなるしもこそ、契りあるとは思ひたまはめ。」
ポイントは、「思ひたまはめ」の敬語の部分☆
会話文の中に敬語があるということは、
話し手(光源氏)から、
「思」う相手(空蝉)に対する敬意表現。
すなわち、相手(あなた)=二人称が主語になります。
この表を見てください♪
本文のように、
二人称が主語になってる場合、
話し相手をうながして勧誘する意味になる場合が多いんです。
では、選択肢のほうは…
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1.千年を過ぐすとも、一夜の夢の心地こそせめ。
「一夜の夢の心地」が主語です。
すなわち、
三人称(私でもあなたでもない第三者)が主語!
∑(゚Д゚)
訳)千年を過ごしたとしても、一夜の夢の心地がするだろう。
このように、
三人称が主語になってる場合、
第三者の立場を推量する意味になります。
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2.「我こそ死なめ」とて、泣きののしること、
「我(=私)」が主語ですね。
一人称(自分)が主語!
∑(゚Д゚)
訳)「私は死のう」と思って、泣きわめくことが…
このように、
一人称が主語になってる場合、
自身の意志を示す場合が多いです。
…実はこの選択肢。
「私は 死ぬのがよい(適当)」などとも訳せそうですが、
このあたりの精読は、
人によって解釈が違ったりするので、
(`・д´・ ;)
大学入試の勉強としては、
基本の人称による識別で押さえておくとよいでしょう。
(o^-')b
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4.男はこの女をこそ得めと思ふ。
「この女をこそ得め」の部分が、
男の心中会話文ですね。
つまり、「得」るのは、男(自分)であり、
この場合の「め」も、意志の意になります。
訳)男は「この女を得よう」と思う。
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5. 今こそ分かれめ いざさらば
卒業シーズン到来っ!
。゚(T^T)゚。
「仰げば尊し」の歌詞ですが、
…今、唄いませんよね^^;
自分(一人称)の決意表明の部分なので、
この場合の「め」も、意志の意になります。
訳)今こそ分かれよう!いざさらば!!
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3.「とくこそ試みさせたまはめ」など聞こゆれば、
ポイントは、「め」直前の敬語☆
この部分だけでは、
「させ」が尊敬か使役か判別しかねますが、
(※「 」の会話文中であることから、
「させ+たまふ」で、目の前の相手に対して
過度に敬意を払っているパターンです。)
とにかく、「―たまふ」(尊敬)が使われているので、
主語は一人称ではないですよね!
こんなふうに、
会話文中に、敬語とともに用いられている「こそ~め」は、
主語が二人称になり、
適当・勧誘の意味になる場合が多い。
ということです。
訳)早く試しなさるがよい」などと申し上げると、
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どうでしたか?
ちょっと、だらだら長くなってしまいました…
(;゚;∀;゚;)
今回指摘したかったのは、
「こそ~め」は、適当・勧誘の意になることが多いが、
違う意味の場合もあるということです。
…などと、確率で選ぶのではなく、
基本の人称による識別を常に意識して見分けるほうがいいと思います。
正解は……3
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最後までお読みくださりありがとうございます。
少しでもお役に立てれば幸いです☆(o^-')b