令和五年十一月二十二日(水) はれ






番外二番札所からのつづきです。






最後の最後の札所へ向かうべく只見川を渡河す。

コースは国道49号を下るだけのシンプルなものです。






ビュビュッという間に西会津。

柳津と違ってこちらは日本遺産のカンバンがしっかり出ていますね。






やってきました。会津三十三観音のラストダンジョン。






仁王門。

創建以来何度か火災に遭いその都度建て替えられました。

現在のものは江戸時代中期の建築です。






徳一大師による開創は平安時代の大同二年(807年)。

保科正之公により会津三十三観音が定められたのが江戸時代初期。

会津三十三箇所が始まった時点ですでに800年の歴史があったのか。







二体の金剛力士像、阿形像。

あっ。






吽形像。

うんっ。






まずは手と口を清めて。






有名な如法寺の高野槙。

開創したときに植えたとすれば樹齢は1200年超。

常緑高木でこの辺が北限だそうです。






隣には夫婦杉。仲良きことは。






いつ来ても堂々たる観音堂。

入口と出口が異なります。

東から入ってお参りしたのちそのまま西の出口から出ます。

吹き抜けているので反対側が見えます。






流石に彫り物も凝っています。






日光東照宮でも有名な左甚五郎作と伝わる隠れ三猿は…あそこです。






これにて結願。三十三箇所+番外三。

足かけ二年の大冒険になってしまった。

これでようやく一人前の会津人になれたであろうか。

余談ですが番外札所は地区によって数も場所も違ったりします。
今回は日本遺産公式のガイドに沿って巡礼しました。


南無観世音菩薩。


会津三十三観音 番外三番札所

鳥追観音 聖観世音

真言宗 金剛山 如法寺

耶麻郡西会津町野沢字如法寺乙3533


御詠歌

金剛き山の如きの法の寺

まこと大悲の浄土なるらん






初めにこの地に観音像をもたらしたのが奈良時代の僧、行基。

平安時代にここに如法寺を建立したのが徳一。

磐梯町にあった慧日寺を東方浄土、こちらを西方浄土と位置付けました。

観音堂は南向きに建てられていますが山門は東側にあります。

参拝者はお堂の東から入り西から出る。

これは現世から来世へ向かうことを意味しています。






西側の向拝も堂々たるものです。裏口感はありません。






西側から。やはり反対側の東口まで見えます。

一般的には三十三観音番外よりもころり三観音のほうが有名でしょうか。

鳥追観音、立木観音、中田観音の三観音を巡拝する安楽ころり信仰。

寿命安楽、福寿円満、悲願の大往生を遂げるといわれます。






さて鳥追観音の西側から出るとその先は西方浄土。

彼方の山の上に神様が鎮座されていたとも考えられていました。

そしてこの先には有名な大山祇神社もあるのですがそれはまた別のお話。






道路の向かいにあるのは旧国鉄の除雪車2両。

昭和51年に役目を終えてここで永久展示されています。

また絶妙な場所にありますな。

現世での生を全うして共に西方浄土へ向おうということですか。






こちらはロータリー型。主に新潟管内で活躍したそうです。






もう1両は単線用ラッセル車。上信越線や磐越西線で活躍したそうです。

1200年後まで語り継がれて欲しいですね。






さて、如法寺の本堂は道路の反対側にありまして。

その参道は実に目立たない場所にあります。






皆さん本堂へは道路から直接お参りするのでしょう。

参道はちょっと自然に還りつつあります。






比較的近年整備されたような雰囲気はありますが。

歩く人がいないということなのでしょうか。






山門側から見ると…道として機能していない。






閑話休題、こちらが如法寺の本堂。御本尊は不動明王






鐘撞き堂も。






如法寺のお不動様は会津五色不動のひとつに数えられています。


やっと会津三十三観音が終わったところで次は五色不動尊…?

いやいや、こういうのはもう無限にありまして。

同じ会津だけでも、

猪苗代三十三観音、

御蔵入り三十三観音、

会津七福神、

会津十二薬師、

会津二十一地蔵、

会津十二支守り本尊…。

…。

一生巡礼します宣言…は考えておきます。






実は本堂の裏手は絶好の飯豊山展望台でもありまして。

旅の終わりにこの画を見たであろう幾多の先人に思いをはせ。

観世音菩薩の広大無辺なご利益のあらんことを。






せっかくなので遅めの昼メシをキメて帰ります。

さっき柳津で食べたのは遅めの朝メシ。






ソースカツ丼巡礼。

一生巡礼します。






おしまい。






参考文献

会津の霊場めぐり奉賛会「会津霊場めぐり」 88新書

小島一男「会津故事散歩」 歴史春秋社