令和五年十一月二十二日(水) はれ






前回、第三十三番札所のお話はこちらです。






番外札所の一番は富岡観音と一緒にお参りしました。






文字通りの番外編でございます。

今回はサイクルではなくモーターサイクル巡礼です。

寒波が迫っているので今季の走り納めといたしたく。






飯豊連峰がくっきりと。すでに冬の装いです。

九死に一生を得た飯豊山アタックも今となっては良い思い出です。






広域農道会津パールラインから山のほうへ。

山道の日陰がテカッていると急に緊張感が高まります。






気づけばもう柳津町。さすがに自転車とは違います。






国道252号から只見川と並走。

下流に柳津ダムが見えます。






赤い橋が見えたらまもなく目的地。






ほほぅ、ここが噂の新名所か。

おっと道草食っている場合ではない。






圓藏寺は目の前ですが…。

お参りの前に腹ごしらえをしておきます。

慌てない、慌てない。






門前の大衆食堂へフルバンクでピットイン。






ソースカツ丼に卵焼きを敷くと柳津風。

ローカルグルメのそのまたローカル版というマニア向けの一品。

奥会津風とも言われますが柳津以外にもあるのかしら。






3軒隣のまんじゅう屋さんでお土産を買っていきます。






雑穀の粟で作ったあわまんじゅう。

災難にあわないという願いが込められています。

柳津の虚空蔵さまにお参りしたら絶対に外せない。

お伊勢さまの赤福的なやつですね。






欲張りなので栗まんじゅうとセットで。






北門前の駐車場に到着。

狙ったかのようにバッチリ紅葉の見頃に来たもんで。

里のほうはもう終わっているのに。やっぱり山なんだなぁ。






ここからだと最短距離ですが山門からお参りするのが筋でしょう。






ということで歩いて一旦坂を下ります。






柳津は岩に聳えて懸造り






言わずと知れた名刹、霊厳山圓藏寺。

弘法大師作と伝わる福満虚空蔵菩薩の霊験は極めてあらたかとされる。

幼少の頃より機会あるごとにお参りしてきた特別な場所。

今回は心新たに観音さまに会いに来ました。






ちなみに以前のお参り記事はこちらです。

このときは奥の院まで詣でました。






かつては仁王門の脇に観音堂があったそうです。


残念ながら観音堂は江戸時代後期の火災で焼失。

観音像は難を逃れ虚空蔵菩薩と同じ菊光堂に安置され今に至ります。






大多数の参拝者はこちらの菊光堂へ虚空蔵さまを拝みに訪れます。

私もその一人ですが今日は観音さま参りでもあります。


江戸時代、このお寺の璋峰和尚が自ら西国三十三観音を巡拝しました。

その際各札所の土を少しずつ持ち帰り境内に納めたそうです。

のちに観音堂も建立され多くの人が参拝に訪れました。






やがて会津三十三箇所の締めにここに参詣する風習が生まれました。

ご利益ありそうな上に旅のフィナーレに相応しい雰囲気もありますしね。


昔の人にとっては大旅行大冒険だったのです。

皆一生の思い出として心に刻んだことでしょう。






開運撫で牛。撫でると良いことありそう。

赤べこ発祥の地としても有名ですね。






虚空蔵さまにお参りしたのち一度外へ出てお堂の裏手へ。

同じお堂でも観音様の参詣口は別に設けられています。

二世帯住宅的な。






前には只見の舟の浮きはし






裏の裏へ。






ここで行き止まり。

会津三十三観音番外二番柳津観音。

前にも来たことあるけれど、スゴい場所にあるなぁ。

ガライの墓かリムルダールの鍵屋か。






これだけのお寺なのに番外札所としての案内はほとんど無いんですね。

いつもの日本遺産の看板も無いし。







御詠歌が納められています。

こちらもずいぶんと慎ましく…。






流石に皇族方の御製はしっかりと掲げられています。

会津三十三箇所は会津藩の政策によって制定された言わば公的なもの。

番外札所は巡拝者の間に自然発生したもの。

そう考えると肌触りが少し違うのもわかる気がします。






余談ですがこのお寺は結構御朱印ルールが厳しいというか…。

スタンプラリー感覚の観光客とかは門前払いされるようです。

まあ本来は納経の証としての御朱印なので人のことは言えませんが。

会津三十三観音の御朱印も専用御朱印帳でないと押してもらえません。

お求めは第一番大木観音か第三十一番立木観音にて。


南無観世音菩薩。


会津三十三観音 番外二番札所

柳津観音 聖観世音

臨済宗 霊厳山 圓藏寺

河沼郡柳津町大字柳津字寺家町甲176


御詠歌

柳津は岩に聳えて懸造り

前には只見の舟の浮きはし






ご本尊を造立したと伝わる弘法大師に見送られ。

そういえば四国八十八箇所も最後は高野山にお礼参りに行くんだっけ。

その関係、なんだかちょっとだけ似ている気がしないでもないです。






北門を出ればすぐ駐車場です。

日が傾いてきました。のんびりしてはいられません。

番外札所がもう一つ残っています。

何としても冬になる前にクリアせねば。






次回ついに最終話、番外三番札所につづきます。






参考文献

会津の霊場めぐり奉賛会「会津霊場めぐり」 88新書

小島一男「会津故事散歩」 歴史春秋社