八百屋お七。

 ナースチャ「恐ろしい事件だったけど、バミューダーさんと幽子さんは出産を前に、更に仲良くおなりね

雨が降った後で、大地が固まるみたいに…」

ラーク「P市で、学生時代からお二人を見てた僕や他の連中なら、皆知ってることなんだけど…幽子先輩のことが好きで好きで、猛アタックして、やっと恋が成就したのって、実はバミューダーさんの方なんですよ

幽子先輩は、何というか…女子力を完全超越した人だから、逆だと勘違いされがちなんだけど…」

ナースチャ「ああ、解るわ！

バミューダーさん、私が初めて出会った時も『僕、奥さんに本当に愛されてるのかなって、たまに不安に思ってしまう』って、嘆いていらしたもの

端から見ると…特にバミューダーさんに盲目的に恋焦がれてしまったファンの一部の方には、正反対に思えてしまうこともある、ということね…🤔」

『君知るや 我が思いを。』

バミューダー「えっ…。じゃ、そうじゃないと思ってる人も多いってことなの？」

幽子「うん、あたしは、世界的なスーパースターに、地味な陰キャ女が強引に言い寄って、バミューダーは優しいから、同情からほだされて結婚してしまったんだ、くらいに思ってる人の方が多いだろうなって、最初から考えてた

…というか、あたしでもそう思うかもしれないな。第三者だったならね」

ラーク「最古参のバミューダーさんファンなら、事実をご存知でしょうけど、少数派でしょうね…🤔

幽子先輩のことは『学生結婚した一般人女性』としか、公表されていませんし。

バミューダーさんは、子供時代から有名人ではあったんですが、容貌は今とは全く違いましたし『神童ピアニスト』としての方が、名高かったんです」

学生時代は日焼けし、しかも黒髪だったバミューダーさんの話。今のスタイルが定着したのは、テルミニストとしてのデビュー後なんですね。

幽子さんとの馴れ初めも。

『ロビンちゃんの心。』

バミューダー「そんな…逆っ！真逆なのにっ！」

幽子「逆なんかじゃないよ、あたし、同情からバミューダーと結婚したんじゃないからね

理系科目以外、取り得が何ひとつなくて、料理も裁縫も出来ずお洒落も苦手、結婚なんて一生無縁だって思ってたあたしの人生に、バミューダーが飛び込んできて、一緒に行こうと手を引いてくれた。

あたしが感情を表に出すのが下手な分、バミューダーが子供みたいに無邪気に泣いて、笑ってくれる。

地に足が着いてなくて、頼り甲斐はないけど、あたしがパートナーだと認める男は、この人しかいない。

そう思って、あたしはバミューダーの申し込みを承諾したんだ」

バミューダー「…ゆ、幽ちゃぁん…」

トチーちゃん「…それにしても、バミューダーさんの人気の凄まじさを、今回、改めて知らされましたわ」

バミューダー「マネージャー君と、今回の話をしたらねえ…

マネージャー君から『私も一度は、バミューダーさんに幻想を抱きましたので、八百屋お七の真似事をしそうになった、そのファンの女性の気持ちも、解らぬではございませんわ世界的なアーティスト、黄泉・バミューダー・ブロッケン・ヴァルプルギスのマネージャーをしてくれ、との辞令を事務所から頂いた時は、もう夢かと思ったものです』って言われたよ」

ラーク「なるほど…🤔」

バミューダー「ただ…その話、続きがあってさ…

『実際、バミューダーさんの付き人をしてみれば、スケジュールは把握する気ないわ、時刻表や地図の見方も分からないわ、金銭感覚は皆無だわで…

マネージャーをしてみる前は、ここまで生活感の希薄な浮世離れした人だとは、夢にも思っておりませんでした今では私の中では、バミューダーさんは『夫にしたくない男』No.1でございます

…ということで、バミューダーさん。今年度のツアーでは、フライト寸前まで空港周りをオロオロ彷徨っていて、小さなお子様みたいにお呼び出ししなきゃならないとか、汗だくで探し回らせるとか、そういったことは、絶対におやめ下さいませねっ！！絶っっ対ですよ』と、悲鳴まじりに付け加えられたよ

…というより、そっちの話の方が、１０倍長かったです…　

僕、もうじきパパになるんだから、しっかりしなきゃダメだよねえ…」

八百屋お七。実際の記録では「天和三年(1683年)駒込に住むお七という女(年齢記述なし)が火付けをし鈴ヶ森刑場で火刑にされた」だけだったのだが、井原西鶴がこの事件を「好色五人女」に書いたせいで、歌舞伎、落語、演劇に浄瑠璃と凄い数のバージョンが出来た。

人の記憶に新しい内に物語化されたということで、恐らく実際、お七という女が火災避難中に寺男に恋し、再び彼に逢いたかった為に火付けをし、火刑にされた、江戸のお七の悲恋の死が遠く上方の人々(西鶴は大阪人)の同情まで集めるほど幼かった…という所までは合っているのではないか、という説が今日、最有力。

幽子「…うん、言ってたね、彼女。

三歳児だってバミューダーさんよりは始末悪くない！💢とか、私の若き日の憧れ返せ！！とか…」

ポムちゃん🍎🍏「バミューダーさんのマネージャーさん、ホント容赦ないねえ…」

バミューダー「物凄く有能な人なんだけどね。

それに僕、酷い方向音痴だから。マネージャー君や幽ちゃんがいないと、音楽活動以外のこと、本当に何も出来ないんです

『次、インタビュー直前にどっかに消えたら、体にGPSチップを埋め込みますよ！』まで、言われたことあるよ、僕

残念な実態を知らずに、舞台の上の僕だけを見て、理想の伴侶像を描いておられる方々も、大勢いるということです」

幽子「そう言えば…

今日になって、初めてこの子がお腹を蹴って、バタバタしたよ☀️

この子もこれまでは、自分はもしかしたら両親の愛の結晶ではなかったんじゃないかと、疑っていたのかもしれないね

随分、怖かっただろうし。可哀想なことをしてしまったよ」

バミューダー「嬉しかったです…

僕が触れた時も、ちゃんと反応して、動いてみせてくれた。我が子に、パパだと認めてもらった気持ちです」

ナースチャ「お腹の赤ちゃんも、苦悩するパパやママと一緒に悩んで、委縮していたのね…」

おばあさん「誤解が晴れて、事件も解決して、本当に良かったこと」

ポムちゃん🍎🍏「…それに、ロビンちゃん！

念願のバミューダーさんのリサイタル行けることになって、本当に良かったねえ」

ロビンちゃん「…うんっ！

そうなの！…今年中に行けることになったんだよ！僕、もう嬉しくて、嬉しくて…

僕と同じ、バミューダーさんのファンの方々に、全力でお礼を言いたいよ」

クックちゃん「これから僕、電車やバスの乗り方やホテルの泊まり方、チェックインやチェックアウトの仕方、ロビンにちゃんと教えるつもりだよ」

マレットちゃん「わ、私もですっ

劇場までの宿泊施設やレストランの使い方については、私がお教えしますねっ。

ここに来るまでは、都会で暮らしてましたので…」

ロビンちゃん「お兄ちゃんもマレットちゃんも、本当に有難う」

ラーク「今回は、僕が劇場まで、ロビンちゃんに同行するけどね

でも、そうだね。いずれはロビンちゃんが一人でも行けるように、旅の仕方を教えてあげるのは、良いことだね」

100均樹脂粘土のウォーターメロン。半透明グラスのお皿は透明樹脂粘土「すけるくん」製。

すけるくんは粘度が高く、シンメトリーのものを作るにはめちゃくちゃ形成しにくい。歪みがあるけど、手びねり感あっていいよね。…ね？(圧)

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赤ちゃんのかご。手芸店にあった100円以下のもの。おくるみとフェルトモビール、100均樹脂粘土の赤ちゃんのおもちゃや哺乳瓶🍼

これまでのお話

『「ポムちゃんのミニチュアハンドメイド劇場」シリーズ 総まとめ。』

登場人物＆設定

『登場人物＆設定。（ポムちゃんのミニチュアハンドメイド劇場）』

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「『フィガロの結婚』より『手紙の二重奏』」モーツァルト

Bartoli & Fleming - Le Nozze di Figaro - Sull'aria

”そよ風に寄せて…”と。

”優しきそよ風。”

”そよ…風…”

”香る今宵。”

”香る…今宵…”

”庭の茂みの松の木陰。”

”松の木陰にて”

”庭の茂みの松の木陰にて。”

”庭の茂みの、松の木陰にて…”

…これだけで（伯爵は）お解りでしょう。

…ええ、きっと解りますわ。

…解るわね。

…解りますわ。

モーツアルトの代表作「フィガロの結婚」。元はボーマルシェの戯曲。

使用人のフィガロと女中のスザンナの結婚が決まると、一度は廃止した初夜権（中世ヨーロッパに実在した、使用人同士が結婚する時、彼らの主人が新郎より先に新妻に先に手を出す権利のこと）を何とかして復活しようと企む、好色な伯爵。

色ボケでも伯爵、頭は良いので、結婚間近のカップルの寝室を（スザンナに自分が手を出しやすいように）自室近くに移動するわ、太鼓持ちの音楽教師を使ってスザンナを言いくるめようとするわ、邪魔な美少年小姓ケルビーノは軍隊に入れ追っ払おうとするわの、セクハラパワハラ、やりたい放題。

挙句の果てには、フィガロにお熱の熟女に、彼をくれてしまおうとまで画策します。

それを食い止めようと、フィガロとスザンナを含む使用人たち、それに夫の浮気に頭を抱える伯爵夫人とがタッグを組み、策を巡らすという、コメディオペラ。

「遊郭の大奥のとヘルジャパンの男は昔から女を差別してキー！🐵💢欧米人権先進国様に恥だキー！🐒💢」と喚く表現規制派フェミの皆様が知ったら、吠え猛りながら欧米擁護するも、相当苦戦しそうなお話。…あの人たち無学で本当幸せです🍌

 

「初夜権」と題するフランスの絵画。泣く新婦、左側で呆然と佇む新郎。本当にそれでいいのかと騒ぐ民衆。新郎を説き伏せるのは神父たち。ただの風習ではなく、法的実行力がありました。

「フィガロの結婚」で、伯爵に対し「初夜権を廃止下さった情け深き伯爵様(まさか復活はしませんよね？)」と使用人たちが大合唱する場面があるので、少なくとも舞台となった18世紀まではこの法は続いていた模様。

スザンナと伯爵夫人は、伯爵をおびき出そうと、逢引きを唆す手紙を書きます。夫人が考えた文章を、スザンナが書く。

この「手紙の二重奏」はその場面。

映画「ショーシャンクの空に」の中で、不意に刑務所いっぱいに響き渡る音楽はこれ。

この曲がスピーカーから流れて来た瞬間、言動も心も荒れ狂っていた囚人たちの目に、子供のように純真な驚きの色が広がります。

ホワイトカラー出身のミステリアスな囚人、アンディ・デュフレーン以外は、まともにアルファベットも読み書き出来ない凶悪犯揃いの、ショーシャンク監獄。

彼らがこれまでの人生で一度も触れる機会がなく、そしてもし触れられるような環境に育ち、置かれていたなら、今、こんな悲惨な境遇にはいなかっただろう…という残酷な現実を否応なく突きつける、美しいメロディ。

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そう言えば「椿姫（ヴェルディ）」「イル・トロヴァトーレ（同）」「カヴァレリア・ルスティカーナ（マスカーニ）」「蝶々夫人（プッチーニ）」といった、死の臭いが漂い、愛憎渦巻く陰惨な悲恋物語が多いイタリアオペラと、ドイツオペラって、同じオペラってジャンルでおｋ？と思う位、雰囲気違う。

ドイツオペラはコミカルな喜劇が多い。

同じくモーツァルトの「魔笛」オッフェンバック「天国と地獄」、ヨハン・シュトラウスの「こうもり」、リヒャルト・シュトラウスの「バラの騎士」レハール「メリー・ウィドウ」…。

これは民族性と歴史じゃないかな、とYuniは思う🤔

夜に観劇して、目を泣き腫らすほど泣いて感動しまくっても、翌朝には爽快に起きられるラテンなイタリア人。

日照の少ない寒く痩せた地で、歴史が陰惨(三十年戦争でボロボロ、子供の進路は10歳で決定、第一次世界大戦でまた惨敗、第二次で闇落ち)物事を深刻に考え内包しやすい為、観劇する物としては、軽めの恋愛コメディを消化するのがやっとの、ゲルマンのドイツ人。

(文学は本当に暗いです、ドイツ。

「西部戦線異状なし」「車輪の下」「若きウェルテルの悩み」「変身」…ドイツ文学はどれもこれも、主人公に未来がない。病んでる時には読みたくない)

ドイツ人がイタリアオペラを観ると「どうすれば我々は『椿姫』のヴィオレッタを救えたのか？」という問題について、一週間は考え込みそうだし。

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皆様、ご体調はいかがでしょうか。

Yuniはこの昼夜の寒暖差の中、ちょっと弱りつつあります。

そしてこれから確実に来るであろう、猛暑の夏が怖い。

体調管理の難しい昨今ですが、お互い、自分の心身を大切にしてゆきましょうね