モア「まあ、ここがあなたたちの『秘密基地』?」

 

ロビンちゃん「うん、そうなんだ。

やっと開けられたよ。雑木森の中にあって、暖房も冷房も無いから、冬の間は物凄く寒くて、開けられないの」

 

マレットちゃん「五月に入って、開けるのを皆、楽しみにしてたんですっ」

 

モア「へええ。子供たちばかりの、秘密のお家なのね!」

 

シスキン君「うん、そうなんだぜ!

この梯子を上って、この籠で下のやつに本とかジュースとかを籠に入れて引っ張って貰って…」

モア「面白い仕組みね。私も後でそこに乗ってみる!

こっちは、なあに?」

 

クックちゃん「ああ、その箱の中は、僕らのおもちゃ!」

 

モア「まあ!見せて見せて」
シスキン君「これは、こうやって遊ぶだろ、で…」

 

モア「凄いわね。これはなあに?」

 

マレットちゃん「それは、船って言うんですよ。

水の上に浮かぶおうちのようなものです。

海を渡る時、それに乗って移動するんです。それを小さくしたものですっ」

モア「そうなのね…

私、海を見たことないから、この乗り物についてもよく判らないわ…」

 

クックちゃん「今度、ラークさんやポムちゃんたちに頼んで、モアちゃんやレイヴン君のことも、海に連れていってもらうよ」

ロビンちゃん「あれ、そう言えば今日は、レイヴン君は来てないの?」

 

シスキン君「ああ、レイヴンだったら、おっ母さんと一緒にポムちゃんの家にいたぜ。

今日はラークさんと一緒に、ガラス工房を見に行くんだって言って、だんぜん張り切ってたぜ」

 

モア「レイヴンは、この村に来ると、本当に、火のお仕事を見に行くのに夢中なのよね」

クックちゃん「うん、ラークさんもビックリしてた。

レイヴン君は、精神的にはまだまだ幼い感じがするけど、もう、みんなと遊ぶんじゃなくて、それよりも、鍛冶屋さんとか鋳鉄所とか、火を使う職場の仕事を、食いつくような勢いで見ているって」

 

ロビンちゃん「レイヴン君、ここにも遊びに来るけど、兎に角、火に夢中だから、ちょっと寂しいな」

シスキン君「でもよう、腕のいい職人になる奴って、あんな感じなんだぜ。

俺はあいつ、だんぜん、尊敬するんだぜ」

 

マレットちゃん「確かに、毎年ここに来るユールニッセちゃんたちも、私たちとも遊びますが、必ず仕事をしっかり片付けてから来ますよね」

 

ロビンちゃん「そうだね、職人気質の子って、あんな感じなのかも」

 

クックちゃん「うん、だからラークさんは、街のあちこちに声をかけて、レイヴン君が見たがりそうな、鋳鉄場とか、鍛冶屋さんとか、ガラス工房とか、あちこち声を掛けて、レイヴン君に火を使う職場を見せて歩いてるんだ。

職人さんたちも、レイヴン君が凄く熱心に仕事を見ているんで、気に入ってるみたいなんだ。

最近じゃラークさん、鍛冶屋さんに行くと、挨拶代わりみたいに『あの耳の尖った坊主は、今日は来ねえのかい?』って声かけられるって」

マレットちゃん「モアさん、このお人形さんで、一緒に遊びませんか?」

 
モア「ええ!
…今度、ピジョンちゃんもここへ連れてくるわね!」
ロビンちゃん「ピジョンちゃん…?」
 
クックちゃん「うん、粘土で焼いた、赤ちゃんのお人形。
石窯を作った時に、僕、最初にそれを作ったんだ」
 
モア「あ、今度、母さんが『ここの子供たちにあげておくれ』って言って、良いものを作ったから、ここへ持ってくるわね」
シスキン君「…良いもの?」
 
クックちゃん「あ、僕、何だか判った!あのハンモックだね」
 
マレットちゃん「ハンモック!…わあ、素敵です!」
 

モア「私たちの一族は、赤ん坊が生まれてくると、その子が遊ぶ為に、川辺の草を水に浸して糸を引き抜いて、それを編んでいたのですって。とっても頑丈なのよ」

 

ロビンちゃん「へえ…」

 

マレットちゃん「確かに、それだったら、火を使わなくても作れるんですねっ」

 

モア「でも、今回は、母さんがこの村で、羊の毛の糸を買ったので、それも織り込んで、このお家の絨毯のように、ふっくらと風通し良く仕上げたわ」

 

・・・

 
 ???「あらっ、皆、ここにいたのね!ただいまぁ!」

マレットちゃん「アナスタシアさん!お帰りなさい!」
 
クックちゃん「あっ、ナースチャだ~!
久しぶり。いつ、P市から帰ってきたの?」
 
ナースチャ「さっきよ。
今年の夏の休暇は長めにとって、こっちで過ごすことにしたの。
それに私、来年が卒業なのよ」
マレットちゃん「じゃ、アナスタシアさんは、卒業したら、こっちでラーク伯父様と一緒に暮らすんですか?」
 
ナースチャ「ええ、そう!
農園も手伝いたいし、新婚生活もこれまでは、あるようで無いようなものだったから、暫くはここで、のんびりと過ごすわ。
だけど、P市のアパートはあのまま借りておいて、私のファッションデザイン事務所にするつもりよ。バルバラも、あの部屋、気に入ってるみたいだし。
デザインの仕事はこっちで続けるけど、ちょくちょくP市には帰るわ」
 
ロビンちゃん「良かった~!嬉しいな、ナースチャがずっとここにいるの」
ナースチャ「ええ、私もよ!
あ、そう言えばシスキン君、先ほど、スターリングのお祖父様にお逢いしたわ。
あなた、とても成績が伸びたって、お祖父様がお喜びだったわ」
 
シスキン君「え…まっ、マジで?」
 
ナースチャ「ポムちゃんや幽子さん、ラークさんもそう言ってたけど、本当に頑張っているのね」
 
クックちゃん「うん、シスキン君、夏休みを一日も補習で潰したくないって、凄く頑張ってるんだ」
 
ナースチャ「そう、感心だわ。
もうすぐ、リリちゃんとズズちゃんがここに来るものね」
シスキン君「う、うん」
 
ナースチャ「…あら、あなたがモアちゃんね!
初めまして!みんなからもラークさんからも、お話は聞いているわ」
 
モア「は…はい」

ナースチャ「まあ、綺麗なちぢれ髪。とっても可愛いこと。それに、お洒落なお洋服。
今度、私にも、あなたのお洋服を作らせてね!
リリちゃんとズズちゃんは、そろそろここへ来るの?」
 
シスキン君「ろ、六月になんねえと、あいつらは…」
 
ナースチャ「そう…まだ少し、先なのね。
そうだわ、私にもこのおうち、案内してくれるかしら」
クックちゃん「うん、いいよ!
そういえば、ここに遊びに来てないの、ナースチャだけだったね」
 
ナースチャ「あら、もうみんなここに遊びに来たの?じゃあ、私も是非案内していただきたいわ。
まあ、可愛らしいロフトスペースだこと!」
 
ロビンちゃん「うん、でも、ここは残念ながら、子供だけのスペースなんだ」
 
ナースチャ「そうね、私が載ったら、狭すぎるし、床が抜けてしまいそうだわ。
いいわねえ、こういう遊び」

マレットちゃん「子供だったら、このスペース、二人載れるんですっ」

 

ナースチャ「面白いわね。

この絨毯も、ふかふかでとっても気持ちいいわね。このまま寝ころびたくなりそう」

 

ロビンちゃん「うん、おばあちゃんに、縫い方や布の織り方を教わってね、僕らが作ったやつ!」

 
ナースチャ「へえ!凄いわ。でも、この部屋…夏場は暑くないの?」
クックちゃん「ううん、全然!
ここ、日陰でしょう。だから、凄く涼しいの」

 

シスキン君「その代わり、冬になると、凍り付くくれえ寒いから、秋でここ、一旦閉めちまうんだけどな」
 
ナースチャ「そうなのね。
…まあ、ここ、可愛い展覧会みたい。この壁の絵は誰が描いたの?」
 
ロビンちゃん「あ、それはリリちゃんの描いた絵だよ。
こっちはシスキン君、こっちはズズちゃんで…」

・・・・・
・・・・・
 

 

1,酷きさだめ身に天降(あふ)りて

 

なれと眠る呪詛(のろ)はれの夜、

 

胸の愁(うれい)ゆめに忘れむ。

 

祈らばやゆらぐ星のもと。

 

夢のまきまきに憧れよ楽園(みそら)へ。

 

ねむれ、可憐児(いとしご)よ、

 

ねむれ、いまは小夜中

 

あゝ、あゝ、夢ぞ命

 

マリヤよ護りませ。

 

 

2,愛の翼に覆はれつ、

 

わが越方(こしかた) かへりみれば

 

流れ揺蕩(たゆた)ふ涛(なみ)にも似たり

 

あはれいく日祈祷(いのり)になきぬ、

 

夢のまきまきに憧れよ楽園(みそら)へ。

 

ねむれ、可憐児(いとしご)よ、

 

ねむれ、いまは小夜中

 

あゝ、あゝ、夢ぞ命

 

マリヤよ護りませ。

 

(近藤朔風 作歌)

 

 

オペラ「ジョスラン」。

 

舞台は革命前夜のフランス。

若い修道僧ジョスランは、動乱のさなか洞窟に身を隠し、そこでロランスと名乗る少年と出会い、寝食を共にしています。

 

ところがロランスは、実は変装して革命を逃れた女性でした。ジョスランとロランスの間に淡い恋心が生まれ始めます。

 

この「ジョスランの子守歌」は、まだ彼女の正体を知る前、ジョスランが、眠るロランスの傍で優しく歌う子守唄です。

 

しかし、恩師が憲兵に連れ去られたと聞くと、ジョスランは、自分の恋心を振り切り、師の後を継いで司教になる誓いを立ててしまいます。

 

現在、上演される機会は殆どなくなったオペラですが「ジョスランの子守歌」だけは、今も世界中で演奏され、歌い継がれています。

 

 

・・・

 

100年前の楽譜の救出活動も頑張っています。遊びに来てもらえたら嬉しいです🎶

 
五月も半ばになったのに、寒かったり暑かったり気候が定まりません…
皆様のご健康をお祈りしています☕💕