ロビンちゃん「ああ…いつの間にか、9月も、半分が過ぎちゃったんだね。
リリちゃんたちが帰っちゃうと、どこもかしこもが、ガランとして、すっごく広く見えるね。
寂しいなあ。いかにも、夏の終わりって感じ…」
マレットちゃん「本当に、毎年、この時期は、夏の灯りが、ひとつひとつ消えてゆくようですもんね…」
モア「リリちゃんも、『季節の扉』を押して出てゆく時、ちっちゃなズズちゃんが泣かないように気を配りながら、とっても寂しそうにしていたわ。
可哀想に…」
シスキン君「ズズのやつ、コアラのぬいぐるみを忘れてっちまったけど、だんぜん、泣き出してねえかなぁ…」
クックちゃん「うん、リリちゃんとズズちゃんの落ち着き先のホテルが決まったら、みんなでお手紙を書こうよ。
コアラさん、ここにあるよ、来年まで、みんなで大事にしておくよって」
モア「ええ、私、映画は勿論、漫画を読んだのも、全く初めての経験だったわ!
ヒト族って、面白いことを考えるのねえ」
クックちゃん「リリちゃんが話してたけど『サニーとフロスト』って、元々は随分昔に、新聞の日曜版に載ってたマンガだったんだってさ」
マレットちゃん「私もそれ、初めて知りました。リリさん、そうお話してましたねっ」
クックちゃん「その後、その新聞社が連載をやめることになっちゃって、でも、『サニーとフロスト』は凄い人気だったから、コミック本になって、その続編も次々出るようになったんだって」
シスキン君「俺はだんぜん、それ知ってたんだぜ。学校でも、べらぼうに人気のマンガだからな。
そんでもって、最近、それが映画になってたことも知ってたんだけどよう、まさか、ホームシアターで見られるとは思わなかったよなあ」
クックちゃん「リリちゃんのお家って、本当に大金持ちなんだね。
まだ映画館でしか観られない映画のはずなのに、アニメフィルムを貸してくれたから、特別にここでみんなで観られて、僕、ワクワクしたよ」
ロビンちゃん「以前も、ポムちゃんに映写機を貸して貰って、おうちで映画を見たことはあったけど、こんな封切りされたばかりの映画が観られるなんて、思いもよらなかったもんね」
モア「そう考えると、とても不思議だわ。
私、ヒト族の子供たちでも、滅多にできないような、珍しい体験をしたのね。
山奥から出てきて、ヒト族の文明を殆どまだ、なにひとつ知らない妖精族の私が」
クックちゃん「うん。
リリちゃんね、特にモアちゃんに、あのアニメを見せたかったんだ、って話してたよ。
ヒト族の子でさえ滅多に出来ない体験を、ひとつでもしたら、ヒト族の子たちに引け目を感じる必要なんて、全く無くなるから、って」
モア「そうね。とってもありがたいわ。
私、ヒト族の子の最先端の流行を、ひとつ知ったのね。そう考えると、ちょっと誇らしいわ。
それにしても、不思議なものね、映画って。
カチカチ音がして、光の中から動く絵が出てきて、布に大きく映るなんて」
マレットちゃん「実は私、小さかった頃に、ママが大都会の映画館に連れてってくれて、その年に封切られたばかりの『サニーとフロスト』を観に行ったことがあったんですっ」
シスキン君「ああ、以前も、あの『サニーとフロスト』のアニメ、作られたことがあったんだよな」
ロビンちゃん「うん。海外の映画会社が作ったやつのほうね」
マレットちゃん「ええ。そうなんです。
ただ、その時は、私がまだ、全てにビクビクしていた頃で…
ママは、私を喜ばせようと思って、連れてってくれたんですけど、私は正直、その時は、少しも楽しめていませんでした。
周りで観ている親子連れの子たちが、みんな、いじめっ子たちに見えてしまって…」
シスキン君「まだ、マレットちゃんがここに来る前の話だったんだぜ?」
マレットちゃん「ええ、そうです。
ただ、私が観た『サニーとフロスト』の映画は、今のとは、絵が随分と違っていましたよっ。
原作通り、サニーとフロストは、双子の男の子たちでしたし…」
クックちゃん「ホントだ。こっちは漫画と同じで、男の子二人なんだ。
ロビンちゃん「この国でリメイクされた、最新版の『サニーとフロスト』では、サニーが女の子、フロストが男の子で、しかもお隣同士の幼なじみっていう設定に変わっていたから、最初、観ていて随分と奇妙な感じがしたよ」
マレットちゃん「そうですよね。同じ場面の絵を並べてみると、その違いがはっきり分かりますよね。
キャラクターも、少し頭が大きくて丸くて、可愛い顔になっていて…」
モア「私も驚いたわ。動く絵にする時には、元の漫画の設定やお話の内容を、少し変えることがあるのね。
でも、とっても面白かったわ」
クックちゃん「そうだね、慣れてしまえば、凄く楽しめたよね」
マレットちゃん「リリさんが話してましたけど、コミック版『サニーとフロスト』の作者さんは、最初はサニーを女の子として描く予定だったんだそうです」
ロビンちゃん「ええっ。そうだったの?!」
シスキン君「おう。俺もそれ聞いたことあるんだぜ。
最初、男女の幼なじみ設定だったんだけど、双子のコメディアンの『スパローズ』がだんぜん流行り出した時期だったから、新聞社の意向で、双子の兄弟になったんだとさ」
マレットちゃん「確かに、『サニーとフロスト』の新聞連載開始の時期と、スパローズのデビューの時期、重なってますね」
モア「なるほど、今回の映画版では、元々の設定を生かしたのね。
道理で、新作の映画でサニーが女の子になっていても、あんまり違和感がなかったんだわ」
モア「あと数か月したら、冬が来て、そしたら私も、ここにはまた暫く来られなくなって、ずっと森で過ごすしかなくなるわ。
でも、両手に抱えきれないほどたくさんのプレゼントを、この春と夏、みんなからもらった気分よ。
きっと冬中、私も母さんもレイヴンも、たった三人きりで雪の中でも、あれこれを思い出しては楽しめるわ」
クックちゃん「冬の間、僕が、モアちゃんの森に、ずっといられればいいのになぁ…」
ロビンちゃん「うーん……流石にそれは、おばあちゃんが『うん』って言わないよ」
モア「そうね、私も、もし冬の間、クックちゃんと一緒に過ごせたら、どんなに良いかと思うけれど…
でも、賛成は出来ないわ。私たちの冬の森は、本当に厳しいの。クックちゃんは一度、肺炎にもかかっているでしょう?
もしも、冬の間にクックちゃんがまたそんなことになってしまったら、私たち、おばあちゃんやポムちゃんたちに、そのことを知らせてあげられないもの。クックちゃんは、病院がちゃんとある、このヒト族の村で冬を過ごすべきよ。
私なら大丈夫よ、クックちゃん。母さんやレイヴンや、ヤギのフィンチやヘロンと一緒に、春をちゃんと待てるから」
クックちゃん「ああ、有難う、モアちゃん。
僕、冬までの間、モアちゃんといっぱい遊ぶし、モアちゃんの森の家の畑にもお手伝いに行くよ」
マレットちゃん「もうすぐ私たちも、とても忙しくなりますねっ。
ラーク伯父様の畑の野菜や、果樹園の果物の収穫のお手伝いで…」
モア「そうなのっ!うちも今年は、お米に加えて、待望の小麦が出来るのよ!苦労して育てた分、刈り入れが楽しみだわ。
それに、この時期には野生のりんごや葡萄も熟すの。
フェザント先生も、ラークさんも、シスキン君のおじいちゃんのスターリングさんも、時期を見て一日か二日、お手伝いに来て下さると仰っているから、母さん、凄く有難がっているわ」
シスキン君「おう、俺もだんぜん、頑張るんだぜ。
俺らがいつまでも寂しがってたら、遠く離れたリリやズズたちだって、きっと、寂しくなっちまうしな」
マレットちゃん「ロビンは今年も、バミューダーさんのテルミンコンサートを聴きに行くんでしょ?」
ロビンちゃん「うん、もちのろん!チケットも電車の切符も買って、今、その準備中。
バミューダーさんのファンクラブのみんなも、電話や手紙をくれて、ロビンちゃんに早く会いたいよって言ってくれてる。
楽しみだなあ」
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これまでのお話
人物紹介&設定
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「夜の調べ」グノー作曲
「夜の調べ」 日本語歌唱
1,あはれゆかしき歌のしらべ、
夕(ゆうべ)はるかに心臓(むね)にきけば、
心はかへる楽し過去(むかし)
あゝ、うたへや君よ、永久(とは)にうたへ
いざ、なつかし君うたへ、
うたへ、うたへ、あゝ、永久に。
2,あした彩(あや)なす雲のごとく
君が笑(えまい)のうかぶをみれば、
いつか憂愁(うれひ)のかげぞ消(き)ゆる
あゝ、ゑまずや君よ、またも、またも、
いざ、なつかし君ゑめよ、
ゑめよ、ゑめよ、あゝまたも。
(近藤朔風 訳詞)
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今年の夏は、涼しかったのは有り難いけれど、太陽があまりに見られなくて、ちょっと心配になる夏でした。
そして、全国各地のみならず、世界でも自然災害が相次ぎました。
今日も雨。
皆さん、この陽気で、体調崩されないよう、お気をつけ下さい。























