『フェイブルマンズ』 | アディクトリポート

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『フェイブルマンズ』

2023/3/6 イオンシネマ越谷レイクタウン スクリーン8 C列 6席

 

スティーヴン・スピルバーグの映画といえば、

1970年代には『ジョーズ』(1975)

じょーず

『未知との遭遇』(1977)

みち

『E.T.』(1982)

なんでやねん

『インディ・ジョーンズ三部作』(81・84・89)と、

新作公開のたびに欠かさず映画館で鑑賞していたものの、

『カラー・パープル』(1985)や

『フック』(1991)でいくぶん陰りが生じ、

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このあたりで見過ごした作品もちらほらとなり、

(※『太陽の帝国』1987と『オールウェイズ』1989は未見)

『ジュラシック・パーク』(1993)のお化け屋敷的ケレン味や

『シンドラーのリスト』(1993)で挽回はするも、

必ずしもスピ監督作全作を映画館で観るまでもないと、

『アミスタッド』(1997)はレーザーディスクで鑑賞。

 

とか言いつつも、

  • 『プライベート・ライアン』(1998)
  • 『A.I.』(2001)
  • 『マイノリティ・リポート』(2002)
  • 『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』(2002)
  • 『ターミナル』(2004)
  • 『宇宙戦争』(2005)
  • 『ミュンヘン』(2005)
  • 『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』(2008)
あたりまでは、スピ監督作は年に1〜2本程度だったので追いきれたが、
鑑賞後の満足感が当初の作品ほどでもなくなり、
  • 『タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密』(2011)
  • 『戦火の馬』(2011)
  • 『リンカーン』(2012)
  • 『ブリッジ・オブ・スパイ』(2015)
  • 『BFG:ビッグ・フレンドリー・ジャイアント』(2016)
まではことごとく未見。
からは復調して、今回の『フェイブルマンズ』までほぼ見逃さずに来ている。
 
と言う経緯は、『ペンタゴン・ペーパーズ』の時にもざっと振り返ったが、
何せ6年前なのでここで復習。
 
スピルバーグ映画は昔は必ずヒットし、
内容にも至って満足、
「ハズレなし」という認識だったが、
最近作は「別に見逃してもいいさ」にまで落ち込んでしまい、
「ハズレなしの映画監督といえば、スピルバーグよりもクリント・イーストウッド」的な見方にさえ成り代わって久しい。
 
 
でもってようやく『フェイブルマンズ』の感想をば。
※若干のネタバレを含むので、まっさらな状態で鑑賞したい人はここから先は読まないように。
スピルバーグの自伝的作品とは鑑賞前から知ってはいたが、
どうやって映画業界に入ったのかという伝説の始まり物語をこの映画に期待してもそれはあまり満たされず、
なにしろスピルバーグ本人が「この作品は自分の自叙伝」と宣言してもあくまでも作品外での宣言に過ぎず、
一応タイトルは「スピルバーグズ」(スピルバーグ家)ではなく「フェイブルマンズ」(フェイブルマン家)だし、
主人公の名前もサム(ユダヤ系の個人名でサミュエルだが、本人はサミーの略称を拒み続け、「サム」を主張し続ける)だし、
父アーノルド・スピルバーグはバート(ポール・ダノ)、母リア(・アドラー)は、ミッツィ/ミッチ(Mitzi)という名前に変更されている。
 
おそらく観客が「スピルバーグ物語」として本作に没頭するのを避けてしまうのを防ぐ意図なんだろうが、まずはなにより、そこに驚いた。
次に驚いたのが実母の実像を赤裸々に描いたことで、2017年に実母本人が他界したからこそ描けたとはいえ、ここまでさらけ出さなくてもいいんではと思う一方、それがなければきれいごとで済んでしまって作品はつまらなくなっただろうし、全ての結果が自分を形作ったと肯定的に位置付けた今だからこその見識で描かれてはいるわけだが…。
 
いやはや、それにしてものあからさまな描きぶりにはひたすら驚き、言葉では表し得ない難しい演技を見事にこなしたミシェル・ウィリアムズにも驚嘆した。
 
そのほかの出演者も映画スターではなく、市井(しせい)の人物らしい顔つきと演技に徹していて素晴らしい。
 
劇映画作曲からの引退も伝えられ、『フェイブルマンズ』が最終作となるジョン・ウィリアムズの楽曲も、劇中の展開と同様にピアノが基調で地味ながら渋く、昨今のウィリアムズ調を保っている。アカデミー賞受賞とまでは思えないけど…(ご苦労さん受賞はあるかも)
 
『フェイブルマンズ』という作品自体も、アカデミー作品賞受賞とまでの出来かはともかく、これまたスピルバーグの集大成的作品として、最近落ち目の同賞にハクをつける意味での受賞はあるかも知れない。
 
ご覧ください。