『ウエスト・サイド・ストーリー』IMAX
20222/2/18 池袋グランドシネマサンシャイン シアター12 f-21
鑑賞後に、
JOE
全員集合的な部分は、マーク・ハミル氏の技術があればもはや何でもできるのだな、と思いました。
IMAXスクリーンで
『ウエスト・サイド・ストーリー』を鑑賞。
実は『/アフターライフ』の方には純正IMAX版(含む3D)があるが、
日本でのIMAX上映は(たぶん※未確認)なく、
反対に『ウエスト・サイド・ストーリー』は、原版が35㎜のコダックフィルム撮影のため、
IMAX版は「疑似IMAX版=DMR」でしかなく、
画角は常時ビスタ固定。
IMAXレーザーの固定標準縦横比はビスタフォーマット(1:1.85)
スピルバーグの映画はワイド画面でも常にビスタ比率で、
シネスコ(1:2.35)がないのが、
本作のIMAXでも貫かれている。
今作鑑賞の動機は、
知りあいのプロ映画関係者が2021年中に試写で鑑賞し、
同年のベスト作に挙げていたから。
予告はIMAX作品でも観ていたので、
「歌曲はオリジナルのままなのか」
とか、
「IMAX上映があるんだ」
くらいはさすがにわかっていたが、
なにせ1961年の『ウエスト・サイド物語』の現代版リメイクだけに、
その出来には懐疑的ではあった。
だが上映たちまち、
「これはただ事ではないぞ」と刮目。
全く眠くなるヒマもなく、
最後まで見通してたっぷりドップリ堪能。
いやあ、久々に良いモノを見させてもらいましたよ。
世にリメイク作は数あれど、
作り手としては、目算あってそれに取り組みながら、
観客にも意義や価値が伝わることなどごく希(まれ)なこと。
たとえば、
「ヤマト2199」のように、
ひたすら監督の自己満に終わったり、
「ヤマト2202」のように、
副監督のエゴのまき散らし場所と化してしまったり、
——云々と、失敗例しか思い浮かばないのだが、
本作『ウエスト・サイド・ストーリー』に限っては、
鑑賞中から
「なるほど、これならリメイクの価値と意義がある」
とじゅうぶん納得、感心のできばえ。
とにかく、私自身の生まれ年=1961年作では、当時の事情からやむをえぬとはいえ、
中学校時代の1975年に映画/洋画に興味を持ち始めて、
4年後の1979年1月4日に『〜物語』がTBSで初放映された時にも、
劇場公開から約18年にして、もう作品はすでに現時代にはそぐわず、
古くさい感じが漂っていた。
2022/02/01
でもって今回のスピ版は、
楽曲こそ同じものを踏襲しながら、
古くささとか時代遅れの感じが全くせず、
いかにも2021〜2022年ならではの、映画技術の結晶だった。
ただし撮影ヤヌス・カミンスキーの技法の一つで、
“銀残し”とか言う後処理が効いている画質は、
色抜け/褪色が顕著で、
いつものデジタルレーザーIMAXの、
こってりと過剰に色乗りした絵面にはなっていない。
とにかく18年後の2040年に本作を再見しても、
古くささは感じないだろうと思わせるだけの研ぎ澄まされ方、
凄みや迫力に満ちている。
なにしろ観ればたちまちわかる、
「どうだ!」と言う外連味(けれんみ)がきちんとしっかり、なるほど「どうだ!」で伝わって来て、
過去の数多(あまた)の失敗作に感じた失望と怒り、
「“どうだ!”じゃねえんだよ、この野郎! 作品をシッチャカメッチャカに台無しにしやがって!」
は微塵も頭をよぎらず、反対に、
「スピルバーグがリメイクするなら、どんな作品だって成功するだろうなあ」
と感じた。
この感覚もまた、
アメリカにはSWがシークエル・トリロジーで台無しになりかけたところを、
ジョン・ファヴローがデイブ・フィローニと共同で救った好例と、
一方、日本では、
『エヴァ』
『ゴジラ』
『ウルトラマン』
『仮面ライダー』
と、
なんでもかんでも『シン』をつけまくった挙げ句、
最近は「4つのシン世界は一つにつながっている=シン・ジャパン・ヒーローズ・プロジェクト」などと抜かしている日本の頂点クリエイターの
“惨状”がきわめて対称的である。
『ウエスト・サイド・ストーリー』鑑賞後、
ようやくこの動画を拝見。
2022/02/16
投書にあった、
オリジナルとの差違をあげつらい、
些細な至らぬ点を持ってしてリメイク作を全否定するという、
映画テロリスト的な感想に呆れつつ、
「番組としてはせっかく来た投書をぞんざいにも扱えず、たいへんだろうなあ」と同情を禁じ得ない。
実は『ゴーストバスターズ/アフターライフ』と『ウエスト・サイド・ストーリー』は対をなす作品で、
先述のIMAX事情以外にも、
『ゴーストバスターズ』(1984)の音楽がエルマー・バーンスタイン(英語読みは“バーンスティン”)、
『ウエスト・サイド』の原曲作曲は、レナード・バーンスタイン。
(※作曲家が共通すれど、両者に血縁はありません)
『/アフターライフ』の最後には“ハロルドに捧ぐ(For Harold)”と献辞が出る(字幕あり)が、
『ウエスト・サイド』では、“(スピルバーグの)父に捧ぐ(For Dad)”と出る(字幕なし)。
石田泰子の『ウエスト・サイド』字幕は、サボってますよね。
お客さんは他のIMAX作品と比べてまばらなうえに、
公開2週目の初日で、他の上映回は封切り作『アンチャーテッド』と、
旧作『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』に切り替わられてましたし、
ことさらにIMAXでなくてもいいから上映が終わらないうちに、
正しく映画館での鑑賞を強くオススメします!