『スパイの妻〈劇場版〉』
2020/10/23 TOHOシネマズ六本木 スクリーン4 D-8
いつも私の映画評は前置きが長いので、
今回は手っ取り早く。
童顔でアニメ声の蒼井優も実年齢が35才。
山里亮太と結婚もしたため、
従来とは異なる新路線が期待される。
演技力は『フラガール』(2006)
『クワイエットルームにようこそ』(2007)
等でも盤石だったが、
本作では新境地を見せてくれるのか?
そしてもう一人の主役兼共演者、
高橋一生(たかはし・いっせい)の方は、
どうやら近年は人気俳優らしく、
『億男』(2018)や
『引っ越し大名』(2019)の予告で、
2019/05/15
ちょくちょく顔と名前を見かけるが、
私はどちらも未見なため、
この記事同様に、
あいにく高橋さんの出演映画は僕はほとんど観ていないんですが(ジブリアニメとか『スウィングガールズ』のゲロ吐く先輩とかシン・ゴジラぐらい)、
私も高橋一生と言えば、いまだに16年前の『スウィングガールズ』(2004)一択なんですよ。
そんな二人の『スパイの妻』での演技はどうだったかと言えば、
役にはあてはまるパフォーマンスだったなと感じ、
それ以上を望むつもりはありません。
『スパイの妻』という題名から、
妻は蒼井優で、
高橋一生がスパイなのは明白だから、
これはネタバレではないと思うが、
だったら高橋一生=スパイ=悪役なのかというと、
どっこい…。
さしずめアレですよ、
主役ジュディ・デンチが、
スパイ容疑にかけられた時点では、
「なに? けしからんヤツだ!」と思い込んでしまうが、
実態が伝わればさにあらず。
糾弾されるべき巨悪は別にいて、
彼女は濡れ衣を着させられただけだった。
——という筋立てだったのと、通じる部分が多数あった。
さて、私が本作『スパイの妻』に注目したのは、
このニュースがあったからこそだが、
2020年9月13日
黒沢清が「スパイの妻」でヴェネツィア国際映画祭の監督賞に、最高賞は「ノマドランド」
第77回ヴェネツィア国際映画祭の授賞式が、イタリア現地時間9月12日に行われ、
その割には興行に力が入らず、
公開館数も少なめ控えめなのはどうしたことか?
冒頭のタイトルに
〈劇場版〉
と銘打たれていることからもわかるように、
『スパイの妻』は、2020年にNHK制作、2020年6月6日14:00 - 15:54にNHK BS8Kで放送されたテレビドラマ。
2020年にスクリーンサイズや色調を新たにした劇場版として公開。第77回ヴェネツィア国際映画祭に出品され、コンペティション部門銀獅子賞(最優秀監督賞)を受賞した。
——とのことで、
NHKとしては本作に注目されると色々と都合が悪く、
それは現スカ政権と
という、NHKを完全に支配下に取り込んだ二人を、
映画『スパイの妻』が嘲笑し、
さらに元を正せば、
アヘの祖父キシノフスケにまでさかのぼる国家犯罪を暴き立てた作品だからである。
つまりNHKとしては、
たとえ『スパイの妻』がヴェネツィアで受賞しようが、
テレビ放送から4ヶ月後に〈劇場版〉が公開されようが、
つとめて「なかったこと」と無視を決め込みたいわけである。
その意味では、
たとえ私は過去作を『叫』(日本公開2007)1本しか見てなかろうと、
「黒沢清監督、でかした!」
と称賛を惜しまない。
皆様も、
『スパイの妻』をご覧になることをオススメします!