成田昌隆氏からのSW雑感〈その4〉
さすがに今回で終わりにしたいが…。
まずはこの番組の感想から。
~
逆転人生「スター・ウォーズのCGを手がけた脱サラ証券マン」
再放送 土曜 午前0時20分(金曜深夜)2020/1/31
せっかくめたりの〜む氏から教えていただきながら、
この番組には実はあまり期待しておらず、
理由は同じNHKで、
『フォースの覚醒』(2015)の時に、やはり成田昌隆さんにスポットを当てていたが、
番組内容がいたってピンボケだったため。
劇中でレイとフィンが偶然乗り込んだミレニアム・ファルコンが、
スター・デストロイヤーの残骸をくぐり抜けて、
成田氏は上司の指示を受けて、
残骸のスター・デストロイヤーの構造物がほころびて、
内部のメカが露出する部分を改善した。
↑たしか○のあたり。うろ覚えなので間違ってたらスミマセン。
いや、その時から、
成田氏を責めるつもりなんか、かけらもないんですよ。
今回の番組「逆転人生」を視(み)て、よくよくわかったが、
成田氏の、
与えられた条件で、妥協なく要求以上の成果を納品する姿勢は、まさに職人。
ですがそれが、作品の質の向上にまるでつながらない。
上司が「使えない」ヤツだから、
指示が適切じゃないんです。
だって観客の誰か一人でも、
『フォースの覚醒』の感想で、
スター・デストロイヤー残骸の外装の欠け具合にしびれた。
——なんて人がいますかね?
つまりせっかくの成田氏の苦労や努力が、
ちっとも実を結ばない環境になってしまっているわけです。
プリクエル『エピソード1』(1999)以降のSWデザインチームのかかった慢性病は、
本人たちに克己心/自己批判精神がなく、
(JJエイブラムスやライアン・ジョンソン等の)無責任監督たちからの、
ダメ出しやリテイクが一切なく、
一発オーケーの腐敗体制が蔓延しているため、
与えられた分担を型どおりに提出すればそれで終わり。
それと真逆の立場、
「本当にこれで良いのか」
「こんなんじゃてんでダメだ。もう一度はじめからやり直し」
という、あたかも名陶芸家の先生が、
シロウト目には見分けのつかない陶器の工芸品(壺や皿)を、
地面に叩きつけて粉々に割るような、
ギリギリの瀬戸際での造形/創作活動の切磋琢磨などまるで無縁。
そんな芸術家、実際にはいるわけない?
いえいえ、ぴったりあてはまる人を知ってますよ。
電飾ブログモデラーのどろぼうひげ氏
↑左から2番目(2019年撮影/モデルグラフィックス2020年2月号より)
↓彼が2011年5月のホビーショーでお披露目した第2デス・スター。
↑直径20センチの地球儀を外郭に、電飾まで施した精緻工芸のきわみ。
↓劇中に使用されたホンモノの第2デス・スターのモデル(左右反転像)。
直径137センチ
↓20センチどろひげモデルの制作途中写真
↓各部が発光、モデルは回転/自転します!
↓20センチどろひげモデルの各部接写画像
ご本人から直接聞いたが、
これには先代モデルがあったのに、
制作途中でうまくいかないと判断し、
「こんなんじゃダメだ!」と、途中で地面に叩きつけて壊したそうな。
そういう芸術家的な気質で、
映画業界のVFXに取り組んでいる人がどれだけいるか。
仕事ぶりを大きく別つのは、
か、
言われた指示にだけ従う人か
で、
ダグ・チャンの場合は、
言われた指示にすら満足に応えられなかったのだ。
↑ピアスとかつけて、おしゃれにいそしむ前に、もっと他にやることがいくらでもあっただろ!
こんな、不適格者(その職責にふさわしくないもの)が、
能力を向上させないまま政治的に昇進してしまえば、
当然失脚しないように、政治的な保身体制を固めてしまう。
※画像と本文は無関係です。
※画像と本文は無関係です。
※画像と本文は無関係です。
これのくり返しと無限増殖で腐敗しきったのがSW/ルーカスフィルムのデザイン部門だけに、
いくら成田氏が天性のモデラーで、
人に言われずとも自分でやる真のクリエイターだろうと、
デザインには関与できないため、
どうにもできない部分があった。
いや、成田氏に直接会ったわけじゃありませんが、
そしてどうやら、
モデルグラフィックスは懇意にしているらしく、
知る限り2回、インタビュー記事が掲載されてるが、
成田昌隆氏と同じ立場だったら(デザイン部門でなく、CGモデリング部門に配属されたら)、
「おいおい、いくらこっちが渾身で取り組もうと、こんなゴミデザインじゃどうしようもないだろ!」
と、暗澹たる気分になったと思いますよ。
『スカイウォーカーの夜明け』で一例を挙げれば、
新型デストロイヤーのザイストン級(Xyston-class Star Destroyer)は、
2020/01/26公開
インペリアル級の1600メートルより約800メートル長い、
全長2406メートルの完全新造戦艦…のはずなのに、
外形はインペリアル級Ⅰ型と同型で、
↑水面から浮上するザイストン級は、ブリッジ上方のX字橋桁?=シールドプロジェクターが起き上がって前方を向いている。
↓1作目91センチモデル(Ⅰ型)のアップ。
↑2作目以降の、2.6メートルモデル(Ⅱ型)のアップ。
『ローグ・ワン』の
↓ベイダーの乗艦、艦名〈デバステーター〉CGモデルのデータを流用し、
艦底部に大型砲を据え付けただけ。
真のデザイナーなら、
新型デストロイヤーのデザインに関われるなら光栄の極み、
俄然やる気を出してデザインに取りかかりそうなものだが、
↓たとえば宇宙戦艦ヤマト
に継ぐ新造戦艦、
↓アンドロメダをデザインできるとなったら、
まともなメカデザイナーなら、
俄然やる気を発揮して、全身全力で取り組むだろうに、
まさか、ヤマトの全長を少し増して、
艦底部に砲を追加してしのいだりしますかね?
↑ヤマトの全長を少し増して、艦底部に砲を追加してしのいだ
↓2000年以降のG(グレート)ヤマト
今のSWデザインチームには、
そういうクリエイティブな姿勢がまるでない。
『フォースの覚醒』(2015)の〈ファイナライザー〉でもちょぼちょぼ
『最後のジェダイ』(2017)のドレッドノート(Mandator IV-class Siege Dreadnought)でもさして変わり映えせず、
これ以上、新型デストロイヤーをデザイン/設計するのに窮したために、
「使い回しでいいんじゃね?」と妥協案で済ませてしまった。
↑『ローグ・ワン』のインペリアル級Ⅰ型
ILMは業界の最高峰だけに、
成田氏のように、「これこそが本当に自分のやりたかったことだ」と、
嬉々として早朝から出社する人なんて天然記念物級に珍しく、
みんな業界を渡り歩いてようやく安泰の座を手に入れたのに、
なんで今さらわざわざ、あくせく働く必要がある?
と、正反対の勤務姿勢なわけだから。
昨年末に、真のデザイナー、
天才シド・ミード氏が逝去されたが、
代表作品は何か?と問われれば、
それこそおびただしい点数が挙げられる=枚挙に暇(いとま)がない。
一方で、ダグ・チャンの代表作なんて、
何か一つでも挙げられますかね?
メカの元ネタをメカに求めるという愚挙続き。
オリジナリティは皆無。
↓画風はなんだかイライラするし、
はぁ…(ため息)
明らかに作風が狂ってるのに、臆面もなく堂々と発表してるあたり、
↓そのピントのズレようはどことなく、生田絵梨花画伯を彷彿とさせる。
↑この誇らしげな堂々たる顔つき!
いや、点数だけならそこそこありますけど
はたして後世に残るデザインなのかは疑問。
とにかく「やる気」が感じられない。
ひるがえって前に紹介したこの動画。
「ポルシェチームはSWメカのデザイン要件を満たしていない」
ともっともらしく分析するが、
いやいや、それを言うなら、
元来のILM/ルーカスフィルムのデザインだって、
SWメカのデザイン要件なんか満たしてないじゃんか!
とにかくなにしろ、
どうしてこんな奴が副責任者に居座り、
自分より格上の、ポルシェのデザインチームの皆様に、
講釈なんぞをたれるのか?
タチの悪い冗談では?
SWメカデザインの特長として、
「アイコニック」、つまり一目見ただけで目に焼き付いて離れず、いつまでも記憶に残ると説きながら、
お前はそういうデザインを、
一つでも納品したのかよ?と。
ああ、そうそう。
↓この動画には収穫がありました。
ボバ・フェット専用機
スレーブ1(Slave I)のデザインは、
「ILM周辺の街灯の形状が参考」と長く伝えられてきたが、
そのものズバリの街灯を拝んだことがこれまでなかった。
ところがこのたび、ウザイ講釈動画の中に、
↓件(くだん)の街灯が写っとるやないかーい!
ようやくのご対面!
スレーブ1はバンダイのプラモ(一部反転像)
実際は都市伝説で、スレーブ1のデザインが固まってから、
ILM社内の誰かが、近辺の街灯との形の似通いを指摘したらしい。
それにしては、塗装の剥げ具合まで似てるけど…
とにかくダグ・チャン、これだけはでかした!
生涯でただ一度だけ、ありがとう。
ここで語り始めの成田昌隆氏に話を戻して、
さすがに結びに入るが、
家族がいて、二人目の子どもが生まれる間際に、
よくぞ自分の才能に賭けて挑戦したよなと。
芸能人/有名人の結婚/出産のニュースがひっきりなしだが、
(思い出したように不倫や離婚のニュースも)
この私、ブログ執筆者の場合は、
こんな地獄の状況で結婚したり家族を増やす前に、
まずは地獄状況の解消に取り組むべきと考え、
あえて孤軍奮闘、茨(いばら)の道を突き進んできた。
なのに一向にまともに取り合ってもらえず、
妄言をつぶやく変人あつかいが変わらず、事態はまったく進展しない。
そのため状況はどんどん、
反社会的集団の計画通り、
最悪の方向に進んでしまうのを食い止められない。
しかし成田氏の奮闘記から察するに、
独り身では(自分一人ぐらいは)どうにかなるから、火事場の馬鹿力が出ないのでは?
正しい順番は、
- 結婚
- こども
- 人生課題の達成