『ガンダム誕生秘話』をふり返る【中篇】 | アディクトリポート

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これ(「ガンダム誕生秘話」をふり返る【前篇】)の続き。

 

まずは、いただいたコメントの再掲から。

 

Doburokutao

 意外な爆発…
(前略→こちらに転載済み)

今回のNHKの番組で安彦氏の発言での「ヤマトがらみ」の一件ですが
牧村康正 山田哲久 共著「『宇宙戦艦ヤマト」をつくった男西崎義展の狂気」

(講談社α文庫 2017年刊行 P-208)に記述があり、
これでこの記述も裏がとれたなぁーと思いました。
 
編注:番組では適宜編集が入り、
前半までで視聴が中断されたくだりは割愛されていた。
 
私が「ガンダム誕生秘話」を見て次に感じたのは、
第1話の劇中ザクが、
デザイナーの大河原邦男氏の感想だと、
最初の出番が鮮烈で、
苦もなく形になった割には、
最大の効果を上げていたそうだが、
そのイメージが、
DXソフビスーツザクにモロかぶりで驚いた。
アニメの絵柄を立体化した製品だからあたりまえじゃん
なんて思うなかれ。
 

アニメイメージに近いと言われている

↓ガンプラMGザクVer.2.0(左)には、ちっともカブってないから!

発表/発売当時はドギモを抜かれた、

secci

超合金の塊(かたまり)も、

でかい
↓資料デザイン画との比較。

koreha

↑ROBOT魂 ver. A.N.I.M.E.との比較。

なるほど設定画にかなり寄せてはいるものの、

久々の第1話、ザクのコロニー潜入シーンを見ても、

イメージがさっぱりカブらなかった。

 

とにかく安彦良和は、

↓設定資料用の画像どおりにザクを描かず、

∀(ターンA)ガンダム」(1999)のボルジャーノン設定画(右)に近いタッチに描いており、

どっち

ぼる

安彦氏が描いたとおりに立体化したのが、

ガンプラでも

ROBOT魂でも

超合金の塊でもなく、

ようやくDXソフビスーツだったというわけ。

↓大河原版の設定資料画(右)よりも、

↑ボルジャーノンの設定画(左)と並べた方がしっくりくるDXソフビスーツザク。

 

つまり安彦良和は、

大河原邦男の設定資料どおりに描くつもりなんかはじめからなく、

自分の脳内で立体変換したザク理想像を、

やす

こここ

基本的には現代までブレずに描き続けており

monoi

aka

それはザクに限らず、

ガンダムでも同様である。

すたい

 

ガンダムは、

大河原邦男氏の原案に対し、

安彦良和が

「この作風で、鼻と口があるのはおかしい」

顔顔

 

「赤青黄色の三原色でも新味は出せる」

なっぷ

と大きく修正してくれたが、

それらを差し引いてもしかし、

↓どうして大河原氏の原案は、こんなにブサイクなのか。

珍妙なカラリングは、

原題のガンボーイから、「カウボーイ」→「アメリカ」→「星条旗」連想だろうがそれはともかく、
らふ2
らふ1

大河原氏の玩具用ガンダム画稿。まだ鼻と口がある。

aori

 

 

このインタビューによると、

 

ガンダムは基本的に侍をモチーフにしています。ガンダムの側頭部を黒く塗れば、丁髷(ちょんまげ)に見えてくると思います。他にも、額に鎧カブトの飾りや、和服の裃(かみしも)の要素を肩にデザインしています。

 

頭の中で突然アイデア(が)くるということはなく、どこかで見聞きした要素が表れます。

アニメのロボットは、コスチュームや甲冑、民族衣装の要素をロボットの上に組み込んで出来ています。

 

——とのことだが、

どこかで見聞きした要素の一つには、

↓これが確実に含まれている。

平板状の胸板、

明確に主張する目・鼻・口、

丸棒状のすね等々、

こうして並べてしまえば一目瞭然。

 

この元絵は、

映画『バーバレラ』(1968)のアメリカ再公開(1977)用に、

77

ボリス・ヴァレホが描いたもので、

アトリエ

近影

ガンダムだけでなく、

ザクの元絵もあしらわれている。

↓ザクの第一稿

 
大河原氏は、アニメージュ1982年3月号付録の
「ザクはバーバレラを参考にした」
と一度だけ記述。
 
そこを(私のような)マニア/ヲタに掘られたことを驚いていらっしゃるそうだが、
参考の原本は、
スターログ日本語版創刊号(1978)の
創刊
ボリス特集ページだった。
ページ
まさに「動かぬ証拠=奇跡の一枚」!
555
 
一応、先述のインタビューでは、
 
ザクはどのようにして生まれましたか?

 

敵メカは玩具にならないのが通例でしたので、私の好きにデザインしました。監督からの条件は、モノアイ(1つ目)のロボットというだけ。どうしてモノアイかはわからなかったですけどね。

ザクには、アパレル時代に描いたスーツのシルエットを組み入れました。

また、ガンダムが直線的だったので、曲面を意識しました。

敵はすぐに変わっていくので、1度登場して終わりかと思っていたけれど、兵器として扱われ、量産型にシャア専用と、最後まで出番がありましたね。 

 
——となっており、バーバレラへの言及はない。
 
近年にザクのデザインについて言及する際、
大河原氏はオンワード樫山(かしやま)勤務時代の、
コンチネンタルタイプのスーツのデザイン画のシルエットを生かしたというだけで、
※参考画像で、現物とは異なります。
「バーバレラ」言及は皆無。
 
だがしかし、
どちらが元絵として説得力があるか…。
 
どうやらこの件は、
「それは言っちゃダメ」
「それは見せちゃダメ」
の部類に属する情報らしく、
富野ラフの存在しないザクレロは、

kimiko
——等の真相と共に、
「ガンダム誕生秘話」のような公式発信では一切語られず、
たぶん情報を閲覧できるのはこのブログだけだと思われる。
 
かように、できれば闇に葬りたい情報=黒歴史を、
私のように蒸し返すのは、
ガンダム業態全体にとって色々と都合が悪いので、
NGT48や運営事務所AKSが疎(うと)ましく受け止める、
正論を主張し続ける山口真帆さんのような存在なのかも。
そうした観点からも、私は山口さんを応援します。
 
 
さて、ここでクイズ。
 
第二稿で早くも決定稿と、
易々と生み出されたザク像だが、
なのにどうして大河原氏は、
3
自分のセンスに頼らず、
何かの絵柄を参考にする必要があったのでしょうか?
 
「ガンダム誕生秘話」
だけを見ても答には行き着かず、
この番組を予習すれば、
スルドイ人は気がつくのではないでしょうか。
 
解答は次回の
「ガンダム誕生秘話」をふり返る【後篇】
で!