泣き比べ『旅猫リポート』『コーヒーが冷めないうちに』 | アディクトリポート

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10/22(月)貫き通した『日々是好日』(にちにちこれこうじつ)

10/23(火)2202第3話「衝撃・コスモリバースの遺産」感想

 

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10/26(金)公開!

『旅猫リポート』

20178/10/15 松竹試写室

 

この映画に関しては、

なんといっても

この記事(「旅猫リポート」久々に大号泣してしまいました。感動作です。素晴らしいです。)で大注目されたらしく、

かくいう私も、この記事を目にして「これは!」と意気込み、

最後の試写上映回にギリギリ間に合った。

 

泣ける映画というと、

「私は泣けなかった」

「こんな映画で泣く奴は…」

という意見が必ず出て来る。

 

しかしそもそも、

その人の映画の判断基準がズレまくっていて、

そんな人を泣かすなんて、

どだいムリかも知れないじゃないか!

 

こういう、観点がズレているのに、

自分でそれに気づけない/それがおかしいと感じていない人がけっこう多い。

 

知りあいに『タイタニック』(1997)をみて、

chinbotu

「こんなの、どこで泣くんだよ」

と感じた人がいたが、

私はこれを聞いて、

「いやいや、泣くでしょ、フツー」

ばるこ

と呆れた。

 

なんでもその人(1961年生まれ)は、

田舎育ちで地元映画館の上映作品に、

「映画とはこういうもの」と慣らされていたが、

大学で上京してミニシアターや

岩波ホールなどでしか上映されないマイナー作品に接し、

「こういうのがホントの映画なのか!」

と開眼したらしい。

 

おいおい!

 

まるで仏教やキリスト教にはピンと来ず、

新興宗教にはまった人のように、

そこからが間違いの始まりって気がするが…。

 

すっかり世ズレしたり、

思い切りひねくれちゃってる自分なのに、

なんでそんな歪んだ価値基準を、

正解として堂々とあてはめるかね?

 

でもって、妙に感覚がズレてるから、

ふだんはこのブログに見向きもしないくせに、

こういう記事を書くと余計なカンが働いて、

たまたま読んでたりするんだよな。

 

観点が独特な人と言えば、

「○タキング」こと「○かだとし○」氏は、

『デスノート』(2006)の感想を訊かれて、

外国人の工作員/エージェント役が、

テレビ番組「逃走中」のハンターレベルの

下っ端外タレで滑稽。

 

洋画も見慣れた自分に、

こんなお粗末なものを論じろというのかと高飛車だった。

 

同じ人は、

『フラガール』(2006)の感想も訊かれて、

ふらがーる

「ボタ山のVFXがひどい」と、

またしても作品の本質とはそれた些末な部分をあげつらい、

論評を避けた。

 

この人でわからないのは、

自分の言うことは全て正解、

仕事をした仲間はみんな優秀で、

過去作や発言、著作に対する内省が皆無なこと。

 

圧倒的な自己肯定が時に無責任すぎて、そら恐ろしくさえある。

 

海外の映画スタッフを、

格下で足下にも及ばない日本の映画/アニメスタッフになぞらえるのも、
のろわれた

ほんと恥ずかしいからやめて欲しい。

 

有料配信に誘導する動画で、

根拠不明の笑みをブキミに浮かべているのも、

サイコ感があふれており、

かえって視聴を妨げている気がする。

 

マクガイヤー氏の方がよほど好感が持てる。

 

と書くと、

この記事に限って、当人に読まれたりするんだよな。

 

さて、前置きがいつにもまして長いが、

あえてリスク覚悟でここまで書いたのは、

私の感覚は一般に近く、

私が泣けるなら、

読者もおそらく泣けるだろうと示すため。

 

かくしてようやく、

『旅猫リポート』は泣けたのか?

泣けましたよ。

 

作品のクォリティは「それなり」で、

(赤字部分プチネタバレ)

  • 福士蒼汰は演技が下手くそ
  • 虹のVFXがわざとらしい
  • 竹内結子の演技も、2〜3箇所でヘンだった
  • 脱毛をかくすためのニット帽の裾から髪の毛がはみ出たり、眉毛やまつげが残っているのは中途半端。
——の至らなさを散見しつつも、
そこは泣けるかどうかには関係ないので、あげつらっても仕方ない。
 
 
それよりも泣かせるためのお膳立てが反則技で、
これでもかとばかりに主人公にのしかかる不遇や不運のつるべ打ちと、
そうした試練にほとんど屈せず、
けなげに前向きな福士君とのギャップがまた泣けはするんだが、
まるでアリ1匹を殺すのに核爆弾でも使うように、
観客を泣かせるためにくべられる薪(まき)の量がハンパなく、
その意味では作品の質的レベルは、かなり低い。
 
ありかわ
「ありかわ・ひろし」ではない。
有川博(ありかわ・ひろし)は、
ありー
「超人ハルク」(1977〜1982)の
popopo
ばなー
 
 
有川浩は小説家というよりラノベ作家で、
彼女の原作映画/ドラマには、
アニメ『図書館戦争 革命のつばさ』(2012)や、
d
ny
za
本当にくだらなかった!
 
その実写版
  • 映画『図書館戦争』 - 2013年4月27日公開
  • テレビドラマ『図書館戦争 ブック・オブ・メモリーズ』 - 2015年10月5日放送
  • 映画『図書館戦争-THE LAST MISSION-』 - 2015年10月10日公開
空飛ぶ広報室』(2013)
 
等々があったが、
とにかく最初に観た『革命のつばさ』のあまりのひどさに、
kiuju
ni
de
 

どうせくだらない駄作とみすかせて、

完全無視してきた。

 

それから約6年。

 

先行ブログ記事で絶賛されたことだし、

有川浩も、いくぶんましなものが書けるようにはなったらしい。

『旅猫リポート』は、「小説の方が映画よりいい」と言う意見もあるが、

有川は映画版の脚本も手がけているので、

言い訳にはならない。

 

ところで、個体差もあろうが、

ネコってそもそも、独立心が旺盛で、

飼われていても、いっしょに同居してやっている気分に過ぎず、

常に人間より上位に自分を置いており、

犬のように、「忠犬」(忠猫)と呼ぶにふさわしい行動は取らないような気がするんだが。

 

かくいう私も有川浩よろしく、

賞応募で入賞を目指したものの、

あいにくにしてうまくいかず、

(これも有川を敵視し、批判的な理由の一つだったかも)

やむなく従事した深夜の警備員のバイトで、

二晩連続で同じ現場に立っていた。

 

するとその付近に住むノラネコが、

ゴミ収集場のゴミあさりに、ほぼ同じ時刻に、これまた二晩連続で現れた。

 

点滅するタスキと警備棒を持ちながら、

同じ場所から動かない私の姿が、

人間には追い払われてばかりのそのネコにはふしぎだったらしい。

 

二日目の夜には、

向こうから私に近づいて来て、

何度も往復して、私の脚に身体をすり寄せてきた。

 

後で、ネコのこの行動は、

信頼を寄せる相手に自分の身体をすりつけて、ニオイをつける

ツンデレ行動なんだと知った。

 

そういや、別の現場で昼間に警備に立ってたら、

小学三年ぐらいの男の子が、

もらった賞状を自慢げに見せびらかしてきた。

 

ネコにも人間の子供にも警戒心を抱かれないんじゃ、

警備員として失格ですよね。

 

さて、今回は「泣き比べ」ということで、もう一本。

 

『コーヒーが冷めないうちに』

2018/10/17 TOHOシネマズ西新井 スクリーン4 D-8

 

この映画、

「4回は泣けない」

「泣けないから看板に偽りあり」

等の否定意見も散見したが、

電車内で、原作の広告で読者の感想も読み、

自分は泣けるのかためしたくて、ようやくそれが果たせた。

コーヒーが冷めないうちに
川口俊和
サンマーク出版
売り上げランキング: 518

数えてないけど、

4回以上泣きました。

 

よく練られた物語で感心しましたよ。

 

過去に未練を残し、

やり直したいという思いで立ち帰るという本筋は、

『ツナグ』(2012・未見)からも漂う腐臭、
$作家集団Addictoe オフィシャルブログ-ばぐ

「それって、思い切り後ろ向きの人生姿勢や人生観では」と危惧したが、

どっこい、むしろ逆向きで、

しかもいったんこしらえた物語の枠組み内ですべてを処理し尽くしており、

『旅猫リポート』のように、

へたな後出しジャンケンの薪をくべたりしない姿勢に、

いたく感心した。

 

 

横山克の音楽の味付けも絶妙。

 

映画「コーヒーが冷めないうちに」オリジナル・サウンドトラック
横山克
SMM itaku (music) (2018-09-19)
売り上げランキング: 23,850

 

 

監督の塚原あゆ子は女性だが、脚本の奥寺佐渡子とあわせ、

 

偏見なく感服しました。

 

かすかに解せない部分も残るが、

(赤字部分ネタバレ)

  • コーヒーを飲み干した、あの幽霊は、なぜすぐに消えないのか
『旅猫リポート』の強引さとは雲泥の差。
 
マスター、時田流(ときた・ながれ)役は、
「ウルトラマンルーブ」の 愛染マコト役で、クレナイガイの声マネが絶妙だった深水 元基(ふかみ・もとき)。
 
泣きたくて映画を観るなら、
断然『コーヒーが冷めないうちに』の方がオススメです。