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横浜・黄金町のマンツーマン英会話「ツリーハウス」のレッスン風景を綴ります。
登場人物:
ビル:ボストン出身のアメリカ人。たまにボストンアクセントが出てしまう。
海子:アラフィフ生徒。ジャパニーズアクセントの矯正はほぼ諦めた。
海子:上の記事で、『The Hangover(ハングオーバー!消えた花ムコと史上最悪の二日酔い)』の笑い(ジョーク)は、文化が違っても、つまり日本人が見ても共感しやすいよね、という話をしましたが。
せっかくなので、『The Hangover Part II』『The Hangover Part III』も見てみました。邦題は
『ハングオーバー!!史上最悪の二日酔い、国境を越える』
『ハングオーバー!!!最後の反省会』
です。こちらですね。
ビル:2と3は見てないんだよなあ。どうだった?
(以下、ネタバレがありますのでご注意下さい)
海子:パート1ではラスベガスで飲み過ぎてエラいことになった男4人が、2ではタイのバンコクで、3では再びラスベガスで、窮地に陥ります。
ビル:そうそう、タイに行くとこまでは予告編で見た。
海子:なんといっても驚いたのはね。
パート1で、みるからにアメリカ人の思い描く「怪しい中国人」的なステレオタイプ・キャラが登場しましたが。
ビル:ああ、怪しい中国人ね! いたいた。
海子:名をミスター・チャウといいます。そのチャウが、パート2ではステレオタイプの枠を大きく超えて存在感を発揮し、パート3ではもはやストーリーを支配しているといっても過言ではないくらいの重要キャラと化しているんです。
パート1での演技力を評価された結果なのかな?
ビル:演技力もあったかもしれないけどさ。
もしかしするとパート1を見た中国系アメリカ人団体が、映画会社にクレームをつけたのかもしれないぞ? 「中国人キャラに対するあの扱いはなんだ!」って。
海子:なるほど、だから続編では……
ビル:打って変わってミスター・チャウを好感度の高い人物として描き出した。そういう推測も成り立つんじゃないか?
海子:ひねくれた解釈だけど、意外と真実に迫ってるかもね。
ビル:うん、きっとそうだ。そうに違いない。
海子:ちなみに主要キャラのひとりスチュ(スチュアート)はユダヤ人なんですが、パート1~3を通して、酔っ払って誰よりもタガが外れちゃうのは常にスチュです。これもジョークだよね?
ビル:もちろん。人一倍厳しい倫理観に縛られているはずのユダヤ人が、人一倍ハジけちゃうから笑えるわけだ。というか、普段縛られているからこそ、酒とドラッグが入ったときに歯止めが効かなくなるんだろうけど。
海子:おそらく海子が気づいていないジョークも、きっといっぱいあるんだろうとは思いますが。文化の壁を越えて楽しめるコメディ映画といえます!
ビル:英語、わかりやすいよね?
海子:ああ、そうね。主要キャラ4人は全員が訛りのない標準英語で、発音も明瞭だから聞き取りやすいね。
ただし下品なシーンや汚い言葉のオンパレードですので、そういうのが苦手な方はお気をつけ下さい。
ビル:たとえば、どんな?
海子:たとえばパート2で、酔っ払ったスチュはストリッパーと関係をもってしまうのですが、酔いが醒めてから、「she」だとばかり思っていたそのストリッパーが実は「she」でもあり「he」でもあったと知って、激しくショックを受けます。
パート2の米国公開は2011年ですが、このシーン、今だったら問題になるんじゃないかな?
ビル:なんで?
海子:トランスジェンダーへの配慮を欠いているという理由で。
ビル:んー、仮に問題になるとしても、そこじゃないと思うんだよな。
These strippers are dressed like girls and behave like girls.
(このストリッパーたちは女装して、言動も女性みたいだよね。)
仮に問題になるとしたら、むしろそこじゃないかな。
If they're dressed like men and behave like men, it would be more accepted.
(仮に服装も言動も男性風だったら、今でもすんなり受け入れられられるんじゃないか。)
海子:はあ? どういうこと?
ビル:説明が難しいんだけど。
えーと、このストリッパーたちは、一般の男性がイメージする「セクシーな女性像」を演じてるわけだ。そこにひっかかる人がいるんじゃないかなって。
海子:つまりそういうトランスジェンダーのあり方が、今となっては時代遅れで反感を買うんじゃないか、ってこと?
ビル:じゃないかな? と思うんだけど。なにしろ複雑な問題だからな。深入りするのはよそう。
海子:確かに。まあそんなシーンもありつつ、日本人にも(ある程度は)理解できるコメディ映画3部作でした。
ビル:I love "The Hangover"!