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横浜・黄金町のマンツーマン英会話「ツリーハウス」のレッスン風景を綴ります。

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(現在、レッスンは一時休止中です)

 

登場人物:

ビル:ボストン出身のアメリカ人。たまにボストンアクセントが出てしまう。

海子:アラフィフ生徒。ジャパニーズアクセントの矯正はほぼ諦めた。

 

海子:劇場公開中の映画、『Kingdom of the Planet of the Apes(猿の惑星/キングダム)』を見てきたよ。シリーズ最新作ですね。予告編はこちら。

 

 

ビル:シリーズって、何本ぐらいあるんだ?

 

海子:たしか今回が10作目かな。

 

ビル:The tenth!? そんなに!?

 

海子:ビル先生は何本見た?

 

ビル:……1本。第1作しか見てない。しかも子どもの頃に。

 

あ、でも最後のシーンは今でも強烈に印象に残ってるよ!

 

海子:だよね! あれでしょ、主人公が波打ち際で……

 

ビル:そうそう! ほぼ素っ裸で馬にまたがった主人公が、後ろに可愛い女の子を乗っけて、波打ち際をどこまでも疾駆していくんだよな。あの自由さに憧れたなあ!

 

海子:え? 印象に残ってるって、そこなの?

 

ビル:あー、君の頭にあったのはそのあとのシーンね。僕としてはそのあとはどうでもいいんだ。

 

海子:そうですか。まあ私が今日聞きたいことも、それとは関係なくて。

 

『キングダム』を見ていると、猿たちのしゃべる英語が非常にシンプルなんですね。文法も語彙も中学英語レベル。

 

で、過去の作品ではどうだったっけ? と思い、帰宅してDVDボックスを引っぱり出して見てみました。

 

ビル:DVDボックス持ってるんだ……。『猿の惑星』マニアなのか?

 

海子:いや別に。

 

第1作で猿たちがどんな英語を話してたか、覚えてる?

 

ビル:なにぶん昔すぎてあんまり覚えてないけど、特にブロークンだった記憶はないなあ。普通の英語だったんじゃない?

 

海子:そのとおり。猿も、そして人間も、完璧なネイティブのアメリカ英語でした。あ、発音がイギリス式の猿も1人(1匹?)いたかな。

 

1960~70年代に制作されたシリーズ初期ではそうなんだけど、2000年代に制作されたシリーズ後期になると、猿の英語力にはその進化の度合いや個体差に応じてばらつきがあるのです。

 

ビル:へえ、そうなの?

 

第1作ではたしか、猿の知能は人類と同レベルって設定だったじゃないか。なんでそんなことになるんだ?

 

海子:それはネタバレになるので言えません。なんならDVDボックス貸すから、1~9作目まで一気見してみては?

 

ビル:No, thanks. そんなことに時間を使いたくない。

 

海子:あっそ。とにかくシリーズを振り返っていたら、9作目の『War for the Planet of the Apes(猿の惑星:聖戦記)』に、バッド・エイプという猿キャラが出てくるんだけど。9作目はこちらです。

 

 

 

(以下、ネタバレがありますのでご注意下さい。重大なネタバレではありません)

 

バッド・エイプは動物園育ちで、人間の会話を聞きかじって英語を覚えたという設定で、ブロークンな英語をしゃべります。

 

彼の英語には冠詞が一切ありません。

 

ビル:ほほう。

 

たとえば、主人公のシーザー(猿)が人間の女の子を連れているのを見て、

 

バッド・エイプ:"I see girl."

(女の子がいるね。)

 

と言うんだけど、正しくはもちろん、"I see a girl."ですね。

 

ビル:うん、そうだな。

 

海子:バッド・エイプはシーザーたちに食べ物を出してくれますが、どこで手に入れたのかと聞かれてこう答えます。

 

バッド・エイプ:"Bad place. I find long time ago. After zoo, I look for food. I find human zoo. Zoo for sick."

(酷いところさ。ずっと前に見つけた。動物園を出たあと、食べ物を探していたら、人間が閉じ込められてる動物園を見つけたんだよ。病人を閉じ込めてるんだ。)

 

ほら、まったく冠詞がないでしょう。でも、普通にわかるよね? もちろん前後のストーリーを知らないからわかりにくい面はあるとは思うけど、冠詞がないってことは意外と理解の障害にはならないなあと思いました。

 

ビル:そうさ。冠詞がなくても普通に理解できるよ。もちろん、聴きながら脳内で冠詞を補充するんだけど。

 

ちなみに、上のセリフを補充するとこんな感じかな?

 

"It's a bad place. I found it a long time ago. After I left the zoo, I was looking for some food and found a human zoo, which actually was a zoo for the sick."

 

海子:だね。そこで、

 

もしかしたらネイティブにとっては「冠詞の一切ない英語」の方が、「冠詞を間違えてる英語」よりも理解しやすいのではないか?

 

という仮説を立ててみたんですが、どうかな?

 

ビル:冠詞の使い方が間違っていたら、脳内でその間違いを修正しなくてはいけないからね。

 

いやー、でもどっちがどっちともいえないなあー。It's not any easier nor any more difficult. 

 

海子:えー、そう?

 

『猿の惑星』を見ながら立てた仮説をあっさり否定されましたが、もうちょっと食い下がってみたいと思います。