西郷隆盛は、桂小五郎(後に木戸孝允)、大久保利通と共に維新三傑の1人に数えられています。いずれも新しい日本の土台を作るうえで多大な功績を残した3人です。
しかし西郷に関していえば、功績だけではなく、それ以上に彼の人格や器の大きさが評価される傾向にあります。
どんなに危機的な状況にあっても臆することなく悠然と構え、相手の身分がどうであれ自らの態度を変えずに同じように接する。
またどれほど偉い立場に立ったとしても、決して驕り高ぶることなく常に自分に厳しく生きるーーそれが誰もが認める西郷の人物像でした。
西郷は、薩摩藩の中でも下から二番目という下級武士の出身でありながら、藩主・島津斉彬にその器を評価され、「御庭方役」という側近に抜擢されます。
斉彬は、古い慣習に囚われずに才能ある者を活用し、薩摩藩の殖産興業・富国強兵を進めた名君でした。
西郷は、幅広い知識をもつ斉彬から数年間にわたって直接指導を受け、薩摩藩から日本へ、そしてアジア、世界へと視野を広げていきます。
しかし藩主に引き立てられても、また維新が成った後に政府の要職に就くようになっても、西郷は生涯にわたって質素倹約を貫いています。
西郷家に泊まった坂本龍馬が、次のような西郷夫妻の話を立ち聞きしたという逸話が残されています。家の雨漏りの修繕を訴える妻への西郷の返答です。
「今は日本全国どこでも雨漏りがしよるからなあ。我が家の修繕なんかしておれん」龍馬は二人の寝物語を聞きながら、「西郷って奴は偉い奴ちゃな!」と思ったという。(『西郷隆盛人間学』神渡良平 著)
日本を洗濯しようとした坂本龍馬と、日本中の雨漏りを直そうとした西郷隆盛。
その高い志と、常識や現実の厳しさに囚われない自由な発想、そして強靭な行動力によって、日本は新生への流れを一気に加速させたのでした。
┌──────────┤書籍のご紹介├┐
□『西郷隆盛人間学』神渡良平著
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