近年、若者を中心に「世界一周旅行」が小さなブームとなっています。
世界各国を周り、さまざまな文化に触れ、会話や食事を楽しみ、自分を見つめ直すーーそういえば「自分探しの旅」というのもありました。
実際に世界中を旅した安藤忠雄がこれを聞いたら、笑ってしまうかもしれません。
安藤は建築士試験に合格した後、海外旅行の自由化を契機に、23歳で世界を放浪することを思い立ちます。
アメリカ、ヨーロッパ、アフリカ、アジアと旅を進め、インドのベナレスへと行き着いた彼を待っていたのは想像を絶する世界でした。
異物と異臭に溢れるガンジス川を前に安藤は、その生と死が交錯するような状況に強い衝撃を受けます。そして「ゲリラ」としての生き方を決意し、しばらくそこに居座ることにしたのです。
「ゲリラ的生き方」とは、指揮官の命令に従う統率の取れた軍隊のような組織の一員ではなく、すべて自分で理想を掲げ、自分で判断し行動し責任を取るという生き方です。
「人の真似をするな! 新しいことをやれ! すべてのものから自由であれ!」ーーこの刺激的なスローガンのもと、20代の安藤は自らの発想を深化させるために、当時新進気鋭の表現者をひたすら訪ね歩きました。
当時の日本には、ゲリラ的な生き方をしているような人がたくさんいたようです。
「一流大学だろうが、専門学校出だろうが、中卒だろうが、いまの時代、誰も人生を保証されていません。一人一人が、目の前の白いキャンバスに自分で絵を描かなければなりません。
にもかかわらず、依然として一流大学に幻想を抱いている人がたくさんいます。一流大学を卒業すれば安泰な人生が送れるという時代ではなくなったのにね」(『建築家安藤忠雄』安藤忠雄著)
世界的な建築家として大成功を収めた今も、安藤は、守りに入ることなく、一つ一つの作品で新たな挑戦をしかけながら「ゲリラ的な生き方」を続けています。
たとえ組織の中においても「ゲリラマインド」を持つ人は、責任意識やチャレンジ精神を強くもち、停滞状況を打開するための突破力を発揮することができるでしょう。
┌──────────┤書籍のご紹介├┐
□『建築家安藤忠雄』安藤忠雄著
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