[血糖値が高めの人は記憶力が低下する可能性ありと判明:ドイツの研究]
(IRORIO 2013年10月26日)
糖尿病がアルツハイマーのリスクファクターであることは知られているが、
糖尿病でなくとも、血糖値が高くなると記憶力が低下する傾向も高くなる
ことが分かった。
ドイツのシャリテ大学病院、Agnes Floel博士の研究チームが糖尿病やその
予備軍にはなっていないが、血糖値が高めの人たち141人(平均年齢63歳)を
対象に記憶力テストを行い、記憶を司る脳の部位「海馬」の大きさと、
血液中のグリコヘモグロビン含有率(HbA1c値)との関連性を調べる研究を
行った(太り過ぎの人、すでに記憶や思考に問題を抱えている人、1日3杯
以上飲酒をする人はあらかじめ対象からはずしてる)。
HbA1cは、赤血球に含まれるヘモグロビンにグルコースが結合した糖化物で、
1〜2カ月の血糖コントロールの状態が反映されており、血糖値が高い状態に
あれば、HbA1値も増加する。
被験者に15個の言葉を耳で聞いて覚えてもらい、30分後にどれだけ思い
出せるかを問うテストを行ったところ、血糖値が低めの人ほど成績がよく、
高めの人ほど成績が悪くなるとの結果が出た。
血糖値との関係で見ると、HbA1cが7mmol/mol増えるにつき、思い出せる
言葉が2語少なくなる傾向にあったそうだ。
また、海馬の大きさについても、血糖値の高い人は、血糖値が最も低い
レベルにある人と比べて小さいことが分かった。
今回の結果だけで、血糖値を下げれば記憶力がアップするのかどうかまでは
分からず、今後さらなる研究が必要だが、カロリーコントロールや運動に
よって、血糖値が上がらないように努めることが加齢に伴う記憶障害や
認知低下を防ぐ手段になり得るとFloel博士は指摘している。
Floel博士らの研究結果は学術誌『Neurology』に発表された。
http://irorio.jp/kondotatsuya/20131026/83736/