産後二週間から現在まで私は完全母乳育児を行っています。
今に至るまでにどのような変遷を辿ったのかをお伝え出来たらと思います。
私は出産前には母乳が出なければミルクに切り替えればいいと考えていました。
しかし、いざ出産して母乳が出ることがわかると、できるだけ長く母乳育児を続けたいという気持ちが出てきました。
これには自分でもびっくりです。経験してみて初めて分かることがたくさんあると気づかされました。
出産直後は看護師さんからミルクをあげても良いかと聞かれたため、そのままミルクをあげるようにお願いしました。
その時は母乳という考えが全く頭にありませんでしたが、出産後に母乳コンサルタントの方が病室を訪問してくれてからは
急激に母乳育児をしたいという気持ちに傾きました。
病室での母乳コンサルテーションでは、赤ちゃんへの咥えさせ方、授乳するときの抱き方、乳首の形状、そして、私に合った搾乳機の搾乳口のサイズを教えてもらえました。
母乳コンサルタントの方によると、私の場合はニップルシールド(乳頭保護器)を付けた方が赤ちゃんが吸いやすいということで、メーカーやサイズも教えてもらえました。これは、乳首を保護するためや、乳首の長さを出すためにつけるシリコン製のカバーです。その場で夫に買いに行ってもらいました。
一通りの説明が終わった後、初めて手で搾乳しました。有難いことに少しだけ母乳が出たため、それを針のない注射器に吸わせて保管するようにと言われました。
これは所謂初乳と呼ばれるもので、とても貴重だからできるだけ搾乳してくださいとのことでした。
私は一回でひとしずくくらいの量が出て、これを残らず吸い取って冷蔵庫に入れて保管しました。
物事をし始めると突き詰める性格の私は、退院してからも時間があれば手で搾乳を続けていました。
自宅に戻ってから最初の一週間くらいは9割ミルクで1割母乳でした。
直接授乳を試みるものの上手くいかず、搾乳した母乳を注射器であげていました。
一週間もすると母乳の量が増えてきて、二週間経つ頃には完全母乳となったのですが、やはり直接授乳が上手くできませんでした。
産後のメンタルの影響もあり、授乳の度に拒否されて泣かれると私自身が拒否されているような気持になって落ち込みました。
ただ、哺乳瓶からは飲んでくれたため母乳を哺乳瓶に入れて飲ませていました。
そんな時に友人から母乳コンサルテーションに行ってみたらと勧められて、出産した産院の系列で母乳コンサルテーションを受けてきました。
ここで、実際にどうやって授乳しているかを見てもらったのですが、私のそれまでのやり方が間違っていたことが判りました。
それだけでも価値があったのですが、乳首の咥えさせ方も浅くなっていたことがわかりました。
また、授乳のコツを教えてもらったおかげで、ニップルシールドは必要なくなりました。
コンサルタントの方のサポートもあって、コンサルテーションの最後には初めて直接授乳に成功しました。
大げさかもしれませんが、この時の感動は今でも覚えています。
喜び勇んで自宅で授乳したのですが、これが全く上手くいきませんでした。
今まで以上に泣き叫ぶ我が子に、悲しさとイライラを溜めてしまいました。
コンサルティングの時は直接授乳できたのに、どうしてできなくなったのか全く分かりませんでした。
夫は子供が泣くのに耐えられず、かわいそうだから早く哺乳瓶に切り替えなよと言うのですが、
私としては直接授乳に一回成功しているし、ここで練習をしなければこのままできなくなるのではという危機感がありました。
今思えば、一番大切なことは子供に十分な栄養を与えることで、直接授乳できなくても全く問題はないという事がわかりますが、
あの時はとにかく必死でした。
その後一週間頑張ってみたものの改善できず、もう一度コンサルティングを受けることにしました。
これは生後三週間のことでした。
結果、授乳方法が間違っていたわけではなく、赤ちゃんの吸う力がまだ弱いため、上手く吸えないのかもしれないという結論に至りました。
吸う力をつけるトレーニングとして、赤ちゃんの口に指をいれて、舌のマッサージをすることを勧められました。
このマッサージで舌を前に突き出して、上手く吸うことができるようになる効果があるという事でした。
マッサージの効果か単純に成長して力がついてきたからかは分かりませんが、二回目のコンサルティングから一週間弱経って
自宅でも少しずつ直接授乳ができるようになりました。そして出産から一か月後には完全に直接授乳になりました。
産前に考えていたことを振り返ると、授乳でこんなに悩むことになるとは思いませんでした。たった一か月の出来事ですが、長い長いマラソンを走っている気持ちでした。