日経平均暴落
Source日経新聞電子版まれにはまともな記者もいるようたわ7日午前の東京株式市場で日経平均株価は続落し、前引けは前日比359円(0.90%)安の3万9731円だった。前日の米ハイテク株高を受けた買いが先行し、4日の史上最高値(4万0109円)を上回る場面もあったが、ほどなく失速し、下げ幅は一時400円を超えた。市場では「利益確定売りの範囲内」といった受け止めは多いものの、これまで一方的な相場上昇が続いてきた中でのひさびさの調整が、これまで目をつぶってきた懸念要因を直視するきっかけとなる可能性はある。朝方は、米エヌビディアの上昇を手掛かりとして東京エレクトロンやアドバンテストなど主力半導体株の上昇が日経平均をけん引する「いつもの展開」。終値ベースでの最高値更新はほぼ間違いないとも思われた東京市場だが、前場中ごろから雰囲気が急変した。市場では既に、日銀が早ければ3月にもマイナス金利政策を解除するとの見方が浮上していたが、7日午前の日銀の中川順子審議委員による島根県金融経済懇談会での挨拶で、国内経済について「賃金と物価の好循環が展望できる」との発言が伝わると、にわかに円買い・株売りが加速した。特に驚きのある内容ではなかったものの、一部の投資家が株売りのタイミングと受け止めたようだ。日経平均の昨年末からの上昇幅は6日時点で6600円あまりに達していた。わずか2カ月という短期間で異例のペースだったことは疑いない。フィリップ証券の増沢丈彦株式部トレーディング・ヘッドは「これまで株価上昇のモメンタム(勢い)が強かっただけに、いったん利益確定売りを出す投資家が多かった」と説明する。増沢氏は「株価の先高観は崩れておらず、現時点ではショート(空売り)の持ち高を形成するような雰囲気にはなっていない」とも話すが、国内外の企業業績をみると株高ほどの勢いは感じられない。ハイテク相場をけん引してきた米国の「マグニフィセント7(壮大な7銘柄)」を構成するアップルは6日までに6日続落。中国でのiPhoneの販売減少が伝わっている。同じくテスラは6日に一時10カ月ぶりの安値を付けた。電気自動車(EV)販売の減速で業績懸念が強まっている。6日に上場来高値を更新したトヨタ自動車も2024年3月期こそ大幅な増収増益を見込むが、25年3月期は市場予想ベースで現時点で横ばいだ。日銀の正常化によって円高・ドル安が一段と進めば、為替による業績押し上げ効果も薄れる。岡三証券の松本史雄チーフストラテジストは「これまで企業業績の改善が日本株の大きな買い材料になってきたが、国内企業の来期業績の伸び率が鈍化する可能性が高いことを踏まえると、相場の過熱感は非常に強まっている」と指摘する。松本氏は東証株価指数(TOPIX)採用企業の24年3月期の増益率は15%程度を見込む一方、25年3月期は1ケタ台半ばを予想する。需給面でも天井サインがともり始めている。東京証券取引所が5日発表した1日申し込み時点の信用取引の買い残高(東京・名古屋2市場、制度信用と一般信用の合計)は4兆999億円と、07年8月17日申し込み時点(4兆1462億円)以来およそ16年7カ月ぶりの高水準となった。株価の一段高を見据えて信用買いを増やした投資家が多かったためで、相場の流れに逆らう「逆張り」志向の強い個人が「順張り」姿勢を強めていることを示す。だが、前回の高水準だった07年は夏から米サブプライム問題が顕在化し、翌08年にはリーマン・ショックが起きた。個人の順張りへの傾斜は「相場天井のサイン」とも受け取れる。大阪府在住のベテラン個人投資家の村上直樹さん(45)は「自分の周囲の個人投資家仲間でも『順張り』の投資家ほどもうかっている」としつつ「自身は中小型株中心の運用戦略のため株高の恩恵をまったく受けられていない」と苦笑いする。「強気相場は悲観の中で生まれ、懐疑の中で育ち、楽観の中で成熟し、陶酔の中で消えていく」。市場には米投資家ジョン・テンプルトン氏が残したそんな格言がある。今の強気相場がまだ懐疑なのか、それとも楽観か。はたまた成熟か陶酔か。少なくとも、一段の上値追いに慎重な雰囲気が広がり始めてきたことだけは間違いないようだ。〔日経QUICKニュース(NQN) 末藤加恵〕7日午前の東京株式市場で日経平均株価は続落し、前引けは前日比359円(0.90%)安の3万9731円だった。前日の米ハイテク株高を受けた買いが先行し、4日の史上最高値(4万0109円)を上回る場面もあったが、ほどなく失速し、下げ幅は一時400円を超えた。市場では「利益確定売りの範囲内」といった受け止めは多いものの、これまで一方的な相場上昇が続いてきた中でのひさびさの調整が、これまで目をつぶってきた懸念要因を直視するきっかけとなる可能性はある。朝方は、米エヌビディアの上昇を手掛かりとして東京エレクトロンやアドバンテストなど主力半導体株の上昇が日経平均をけん引する「いつもの展開」。終値ベースでの最高値更新はほぼ間違いないとも思われた東京市場だが、前場中ごろから雰囲気が急変した。市場では既に、日銀が早ければ