メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)対策として実施されている特定健診・保健指導(メタボ健診)で使う腹囲基準を検証している厚生労働省研究班は、腹囲が基準未満でも血圧や血糖値などが高ければ心筋梗塞(こうそく)など循環器疾患になる恐れが高いとの研究成果をまとめた。肥満ではない人への対策の必要性を今月末にも公表する最終報告書に盛り込む方針で、肥満対策中心の健診制度の見直しにつながりそうだ。【永山悦子】

 ◇死亡率低い「小太り」

 メタボ健診は、循環器疾患になりやすい目安として、内臓脂肪の蓄積による腹部肥満に注目している。このため、腹囲や肥満を示す体格指数(BMI)が基準を下回れば、原則として保健指導の対象にならない。

 だが、研究班が全国の40~74歳の計約3万1000人を対象とした12種類の追跡調査から、循環器疾患の発症と腹囲の関係を調べたところ、腹囲やBMIが基準未満でも、血圧や血液検査値が高ければ、腹囲やBMIが基準以上の人とほぼ同じ程度に循環器疾患を発症するとの結果が出た。

 08年度から始まった健診の現場では、「やせていても生活習慣病を起こす恐れのある人が見落とされる」と、戸惑いの声が上がっていた。研究班はこの結果を踏まえ、最終報告書に「肥満ではない人への対策も必要」との提言を入れる方針だ。

 同様のデータは他にもある。大櫛陽一・東海大教授(医療統計学)が、神奈川県伊勢原市の40歳以上の住民計約2万2000人を平均7年間追跡したところ、BMIがメタボ健診の基準を少し超える「小太り」(BMI25~27未満)の人の死亡率が最も低く、「やせ」(BMI18.5未満)が最も高かった。大櫛教授は「日本人には健康に影響を与える肥満は少なく、世界的にもスリム。統計を見ても、肥満の人の方が長寿であることが分かった」と指摘する。

 ◇腹囲測定 揺らぐ根拠

 厚労省研究班の分析によると、腹囲測定自体の根拠も揺らいでいる。男女ともに、腹囲のどの数値を基準にしても、基準以上の腹囲の人が実際に循環器疾患になる危険性は6割に満たなかった。つまり、基準の数値にかかわらず、腹囲で危険性のある人を見分けられる確率は「ほぼ五分五分」ということになる。

 女性はさらに発症の危険性と腹囲の関連が低く、研究班の中からも「女性は腹囲を測定しないという議論も将来はありうる」との声が上がる。

 分析結果について、坂本亘・大阪大准教授(統計科学)は「公表されたデータを見ると、腹囲だけで発症の危険性が高い人を見分けることは不可能。腹囲を健診の必須項目とする根拠は薄い」と指摘する。

 また、健診制度に詳しい大島明・大阪府立成人病センターがん相談支援センター所長は「現在のメタボにのみ焦点を当てた健診を早急に見直し、禁煙支援など他の要素も含めた国民の健康維持につながる健診事業に切り替えるべきだ」と訴えている。

 だが、研究班は「40~50代の働き盛り世代の男性は過去の世代に比べてメタボが多く、85センチを基準とする腹囲測定に意味がありそうだ」と現行制度の大幅変更には慎重な姿勢だ。「メタボ健診が肥満への意識を高めた意義は大きい」とも評価しており、現制度に非肥満者対策を加える形を想定する。厚労省は「日本内科学会などによるメタボ診断基準の検討結果などを踏まえ、制度の見直しを考えたい」と話す。

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 平野博文官房長官は9日午前の参院予算委員会で、外務省から内閣官房報償費(官房機密費)への「上納」に関する質問主意書を取り下げるよう新党大地の鈴木宗男衆院議員に求めたことを認めた。草川昭三氏(公明)の質問に答えた。

 平野氏は「先に出ていた質問主意書に政府が答える前に同じ趣旨の主意書が出てきたので、取り下げてほしいと言った」と説明した。

 草川氏が「鈴木氏は政府の圧力と受け取っている。行政府の不当介入だ」とただすと、平野氏は「圧力をかけたのではない。鈴木氏は『わかった、わかった。すぐやるわ』と言っていた。気持ちよく了解してもらったと思っている」と釈明した。【鈴木直】

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 男女の離別工作を行って報酬を得る業種「別れさせ屋」で依頼主の妻と交際した末に絞殺したとして、殺人罪に問われた元探偵・桑原武被告(31)に対し、東京地裁は9日、懲役15年(求刑懲役17年)の判決を言い渡した。同被告は昨年4月、夫の依頼を受けて東京都中野区の五十畑里恵さん(当時32歳)との離婚を成功させた後、五十畑さんと交際。そしてトラブルの末に絞殺した。

 業務を飛び越えて恋愛関係となった女性を、最後は殺害するに至った「別れさせ屋」に懲役15年という司法判断が下された。合田悦三裁判長は、判決理由として「ウソを重ねて追い詰められた末に起こした短絡的で自己中心的な犯行。被害者に落ち度はない」と指摘。さらに「目的のためには手段を選ばず工作を依頼する者が存在すること自体が甚だ遺憾」と依頼した夫の責任についても厳しい言葉で指摘した。

 判決や過去の公判記録によると、桑原被告は2007年5月、五十畑さんの夫から「別れさせ工作」の依頼を受けた。栃木県内のスーパーで五十畑さんに「チーズケーキのおいしい店、教えて?」と声を掛けて近寄ると、名前を「ハジメ」、職業を「IT関連会社勤務」と偽り、妻子があることも隠して交際を始めた。

 夫との関係に悩んでいた里恵さんの心のすき間に入り込むように接近すると、連れ込んだホテルで撮影したビデオなどを材料に、同年11月に離婚を成立させた。仕事としては成功させた桑原被告だったが、その後も里恵さんに恋愛感情を抱き、身分を偽ったまま交際を続けた。

 その後、だまされたことに気付いた五十畑さんに別れ話を切り出されて激高。09年4月12日、五十畑さんのマンション自室で首を絞めて殺害した。

 事件について、同業種の「別れさせ1st」を運営するファーストコール株式会社東京本社相談部の安来真一郎さんは「工作員と依頼主の相手が恋愛関係になることはありますが、このケースはやりすぎ。会社への報告もなく、監視役もなかったのではないか。直情的で、しかも既婚者の工作員を雇っている会社も、ちょっとどうかと思う」と分析。そして業界全体への批判の目については「すごくきれいな仕事とは思っていません。しかし、実際に夫を愛人と別れさせたり、DV男と別れることが出来た女性などからは本当に感謝していただいている。正しい評価をしていただければ」と話している。

 ◆別れさせ屋 依頼を受けて夫婦や恋人の破局工作を請け負う業種の通称。大半は探偵業者が手掛けているとされる。01年に同名テレビドラマが放送された後、一般に認知されたが、反社会性との批判も根強い。報酬相場は100~200万円だが、失敗すれば必要経費のみの支払いになる業者が多い。成功率はおおむね1~5割で、復縁業務を取り扱うことも。「工作員」はコミュニケーション能力、容姿、酒の強さなどから選ばれ、最初は友人役などの「エキストラ」で経験を積み、徐々に交際相手などの「メーン」に昇格する事が多い。

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