〇収録

第四巻 p138~185

週刊少年ジャンプ平成8年(1997年)51号掲載

 

 

〇解説

★設定(p138

「B N S T R K 3」とは、「Bonus Track 3」という意味。「そのうち続編で読切をやりたい」と書いてあるが、BLEACH23巻にも「BAD SHIELD UNITED the 2nd」という名前の作品が登場する。

自律式戦闘用ロボット(通称シールド)は、もともと軍事用に開発されたものだったが、近年、民間への違法な払い下げが問題となっている。シールド・セイヴァーズ・カンパニー(SⅡC)は、違法な販売ルートの捜査と流出したシールドの鎮圧・回収を行う団体。

SⅡCのメンバーであるリッキーとミレは上司から「シールド不法売買を行うテロ組織(偉大なる南部の蛇)のボス、マディ・ラミレスを脅迫するために、彼の恋人である女シールドを誘拐せよ」と命じられる。

 

 

★p139

偉大なる南部の蛇のアジトに到着し、ボスの恋人の女シールド「レイチェル・ラミレス」を見つけるリッキーとミレ。

 

★p140

シールドと普通の人間を見分ける方法は一つあり、それは手の甲に「禁じられた心」のマークがあるかである。レイチェルの手にもそのマークがある。3コマ目は2コマ目でリッキーがもっているバッチを拡大(どアップ)したもの。

 

★p141

扉絵。レイチェルとリッキーとミレが描かれている。

 

p142

レイチェルが逃げ出す。

 

★p143

リッキーとミレはレイチェルに「俺達はSⅡCの者だ。だからおとなしく捕まれ」というが、レイチェルは「だまれ!知っているぞ」「民間に流出したシールドを強制的に回収している最低の組織だ」「どうせ わたしも捕まえてスクラップにするつもりだろ」と答える。リッキーは「そんなことしない」と説明するが、レイチェルは逃げ続ける。

 

★p144~147

レイチェルは逃げながら「わたしが捕まったらマディに迷惑がかかるということじゃないか!余計に捕まれるか!!」と叫ぶが、前をよく見てなかったため、崖から落ちてしまう。

 

★p148

よく見ると、リッキーとミレは手袋をはめている。二人は自己紹介し、「レイチェルを誘拐してマディを脅迫する」という目的をレイチェルに語った。

 

★p149~151

レイチェルはマディにメロメロで、「マディはテロリストだが、悪い奴じゃない」と力説する。レイチェルはPD-25型のシールドだが、マディに「レイチェル」という名前をもらったことを嬉しく思っている。リッキーはレイチェルの携帯を奪って、マディに電話をかけようとするが、逆にマディからこの携帯に電話がかかってきた。

 

★p152

リッキーはマディと通話を始め、マディはレイチェルが誘拐されたことを知る。

 

 

★p153~159

レイチェルはマディと電話したくて、強引にリッキーから携帯を奪い返す。

マディはレイチェルに「2時間前に新ルートでのシールドの売買契約が完了した」「これでお前のような旧型を無理にそばに置いておく必要もなくなった」と告げる。(新ルートとはp144のミレンコリン・ルートとは別のルートのこと。)

レイチェル「…いいんだ別に! わたしは気にしない!いずれこうなることは……その…わかってたことだし…な。運命というやつだ、ロボットの。…マディ…あの…さいごにひとつだけたのみがあるんだ…。―――いいか…?」

マディ「―――なんだ?」
レイチェル「…も…――もう一度だけ…。…"レイチェル"って呼んでくれないか……。…マ…マディ…?」

マディ「バカかおまえは?」

 

レイチェルはマディに見捨てられたことに絶望し、「残念だったな」「おまえたちの作戦は失敗だ…さっさとわたしをスクラップにしてチーフのご機嫌でもとるといい…」と言うが、リッキーは「だからスクラップにはしないって言ってるだろ?シールドの不法販売ルートを片っ端から潰して…ああいう奴がシールド持てないようにする…それがSⅡCの仕事なんだよ」という。リッキーとミレは手袋を外し、自分たちもシールドであることを伝える。

 

 

 

★p160

夜間、アジトのエリア内でマディは買ったばかりの新型のシールドと対面している。1コマ目をよく見ると、多くの兵士が見張りをしている。

 

★p161

マディはそのシールドのE(エモーショナル)システムを外す。

 

★p162~166

リッキーとミレが「シールド密売の強制捜査に来た」と宣言しながら、アジトに侵入し、ボス(マディ)を探す。多くの兵士はあっさりと倒せたが、新型のシールドは異様に戦闘力が高く、ミレは銃口を向けられる。そのとき、マディが現れる。

 

p167168

マディのシールドを「もの扱い」する話を聞き、自分の知り合いを思い出すリッキー。

 

p169

かつてリッキーはスクラップ工場で働いていた。リッキーには「レイチェル」という名の知り合い(女シールド)がいたが、その知り合いは「売却先がみつかった」とリッキーに話す。その知り合いは「武器工場の開発助手」として働くことが決まったとのこと。リッキーは「良かったな」とその知り合いに祝福する。

 

★p170~173

だが、実は彼女は武器の人体実験に使われていた。それを知ったリッキーはSⅡCへ入ることを直談判しに行く。上司(p144でリッキーとミレに命令を下していたチーフと同一人物)に「お前は何を守りたくてSⅡCに入る?」と訊かれ、「心だ」と答えたリッキーは入隊を許可される。

 

★p174~175

異様の戦闘力を誇る新型シールドに追い詰められるリッキー。だが、突然そのシールドが倒される。

後ろには銃をもったレイチェルが立っていた。

 

★p176~180

新型シールドが破壊され、レイチェルがマディを殺そうとするが、リッキーが「もういいぜ ここから俺らヨゴレ役の仕事だ」と言い、リッキーがマディを殺そうとする。マディは「お前らSⅡCだよな」「ほら欲しいのはこれだろ」と言いながらシールドの売買権利書を見せびらかす。

だが、リッキーは「いらねえよそんなもん」と言いながら、マディに殺すことを宣言する。マディは「丸腰の人間をシールドが殺すって人道的じゃないだろ?」と問うが、リッキーは「俺はロボットだから人道的とかそういうのよく分かんねえや」と言い、マディを斬り倒す。

 

★p181~183

リッキーはマディを殺せたと安心し、現場を立ち去ろうとする。だが、実はマディは瀕死ながらもかすかに生きており、リッキーらに銃口を向け、最期の力で発砲した。

だが、壊された新型シールドの銃が何故か銃弾を放ち、マディの胸に当たった。ただの暴発か否かは不明。

 

★p184

こないだテロ組織で無茶したからねと言うのは、「本来の仕事がシールド密売に関する強制捜査だったのにボスであるマディを殺してしまったこと」を指していると思われる。

 

★p185

レイチェルはSⅡCに入ることを決めたが、レイチェルはリッキーとミレを上官として希望した。

 

 

 

〇総評

レイチェルという名前の元ネタは1982年公開のSF映画『ブレードランナー』か。絵は前々作前作に比べて明らかに見やすくなっている。

「心を守る」というリッキーの発言はBLEACHでも引き継がれているテーマである。

本作では、「レイチェル・ラミレス」と「人体実験の犠牲になったレイチェル(リッキーの知り合い)」という二体のシールドが同じ名前(レイチェル)で呼ばれているので、混乱してしまう読者もいるかもしれない。