〇構成

カバー

表紙

巻頭ポエム

目次ページ

track1 p5

人物紹介1 芥木ガンマ  p60

track2 p61

人物紹介2 Elwood  p86

track3 p87

人物紹介3 スミス  p108

track4 p109

人物紹介4 Sheryl  p128

track5 p129

初期デザイン 芥木ガンマ p148

track6 p149

人物紹介5 Calder他 p168

track7 p169

スタッフ紹介 p190

クレジット(第何刷かによって異なる) p191

 

 

〇巻頭ポエム解説

・久保の初期のポエムの特徴は装飾性の高さと大胆な擬人法の2点である。

・BLEACHの単行本でも巻頭ポエムが書き下ろされているのだが、BLEACHの巻頭ポエムと違って今回のポエムは代名詞が平仮名でかかれている。

・「それらはみな」は「死者の指輪全て」を指していると考えられる。

・「象った」など常用漢字表の枠を超えた漢字表記を久保はデビュー時から現在に至るまで多用する。このことは久保が学生時代に漢和辞典を愛読していたことに由来する。

・死者の指輪の外見が結婚指輪と似ていることを表現。

・久保は「姿」という単語をポエムで多用する。

・BLEACHの巻頭ポエムはカバーで描かれた人物が巻頭ポエムでの主人公に当たる例が多いが、このポエムでの「わたし」はガンマ以外の人物にも当てはまる表現。(そもそも「わたし」という代名詞はガンマの一人称にふさわしくない。)この「わたし」は英語で言う「一般論のyou」に近い。

・余程ませた幼児を除けば、幼児は暗闇に居させられると怯えるが、その反応は生理的なものだといえる。この比喩を用いて、久保は死者の指輪が自身が依り代とする生物を生理的に「離さない」さまを表現している。

 

〇分析

・巻頭ポエムの文章のフォントは第何刷かによって異なっている。上記の画像(第1刷)と違って2004年11月20日発行の第12刷では明朝体になっている。

表紙のデザインはカオスの一言に尽きるだろう。槍を持ったゾンビらしきキャラがラフに書かれていることから、表紙の絵は本作のテーマを戯画的に表現していると思われる。RETURN OF NIRVANA(何故かRが左右反転、Aが上下反転されて書かれている)というように、久保氏はロックバンド・ニルヴァーナやロック・ミュージック全般を好んでいるようである。久保氏のゾンビパウダー後の連載作品は「BLEACH ―ブリーチ―」だが、これはニルヴァーナの1stアルバムのタイトルと一致している。なお、BLEACH第3章で登場するキャラ、ザエルアポロのテーマ曲はニルヴァーナのrape meである。

・p60に「髪が描きにくい」とあるが、BLEACH第5章連載時に久保はジャンプ巻末コメントで「グリムジョーの髪を描くの面倒」という趣旨の発言をしている。グリムジョーはBLEACH第3章で登場するキャラで、ガンマと似ている点が多い(単行本の表紙の構図や性格など)。

・p86の文章に「エルウッドってのは、アメリカにあるレコードレーベルの社長の名前(CCM系に詳しい人なら知っているかも)」とあるが、CCMはおそらくコンテンポラリー・クリスチャン・ミュージックを指すと思われる。また、「アメリカにあるレコードレーベルの社長」は、Joey Elwoodを指すと思われる。

・p86の「Big Fat Star Jack」は本作内で存在するメーカーだと思われる(つまり、現実世界には存在しない)。ヘヴィデューティ(heavy duty)は「丈夫な」という意味の語句。

・p108のスミスのラフ画の服に大麻の絵とaddictという文字が描かれている。久保氏はアメリカで根強い大麻カルチャーに親しみを感じているのかもしれない。この大麻のデザインの元ネタはアディダス

スタッフ紹介 p190ではアシスタントと思われるメンバーがローマ字で紹介されているが、ヘボン式や訓令式とはかなり違ったローマ字表記がされている。例、Satou Yoshitaka →Satow Yositacaなど。