一、ロシア・ウクライナ戦争の深淵
みんなもロシアがウクライナに侵攻したのはなぜかについて疑問に思っている人も多いだろう。
戦争による人的・物的損害でロシアの国力が弱まるのでは?
西側諸国の経済制裁もロシアを弱めるのではないか?
そうだよね。なぜロシアは戦争を仕掛けたのか?また、なぜこんなにも長期化するのか?という疑問を解こうというのが今回の課題だ。
ニ、グローバリストとナショナリスト
さて、君たちは「世界を一つにしたい」というグローバリストと呼ばれる人々が存在しているのを知っているかい?
先生、フリーメーソンとかイルミナティという類のいわゆる陰謀論ですか?
夢みたいな話ですよ(笑)。
いや、確かに存在すると言わざるを得ない。次の引用を見てくれたまえ。アメリカの王といわれたデイヴィッド・ロックフェラー(1915年- 2017年)の自伝だ。
「わたしたちがアメリカの国益に反する秘密結社に属していると信じる者さえいる。そういう手合いの説明によると一族とわたしは“国際主義者”であり、世界中の仲間とともに、より統合的でグローバルな政治経済構造を…言うなれば、ひとつの世界を…構築しようとたくらんでいるという。もし、それが罪であるならば、わたしは有罪であり、それを誇りに思う。」(『ロックフェラー回顧録 下P290』)
ロックフェラーといえば「アメリカの王」とも呼ばれ、以下のような企業がロックフェラー財閥に属しています。
【通信】NBCテレビ、AP通信、USNEWS
【石油】エクソンモービル、テキサコ(石油を利用した製品)
【軍事】ボーイング
【食品】ペプシ
【情報】IBM、
ウェスティングハウスエレクトロニクス
【建設】ベクテル(世界最大のゼネコン)、
ロックフェラーセンター
【金融】モルガンスタンレー、チェース・マンハッタン銀行、
ファースト・ナショナル、シティバンク
【交通】GM・フォード・クライスラー(米BIG3)
【その他】GE(ゼネラル・エレクトリックは世界最大のコング
ロマリット)
そのロックフェラーが自伝の中で、自分は秘密結社に属して、ひとつの世界を構築しようとしていることを誇りに思っていることを告白しているわけですね。
そうだ。世界を一つにしたいという勢力は確かに存在するのだ。もう一人、グローバリストを紹介しよう。ジョージ・ソロスだ。調べてみて。
はい。ハンガリー系ユダヤ人です。総資産は約252億ドル(約2兆7720億円)となりました。金融関係者の中では、圧倒的NO.1です。ちなみに2兆円を超えるこの額は、エクアドルやブルガリアなどの国家予算と同じ水準です。
国の予算と個人資産が同じ水準というのは凄すぎですね。さらに、このハンガリー系ユダヤ人のジョージ・ソロスの父親は、
エスペラント語の作家のティヴォドア・ソロスです。ジョージ・ソロスは幼いころからからエスペラント語を学んでいます。
エスペラント語って何ですか?
国際共通語になることを目指して作られた人工言語だ。
ということは「国境なきひとつの世界を作ろう」という思想を背景としているのですね。
つまりは、ジョージ・ソロスもグローバリストということですね。
ユダヤ人は、ナショナリストに迫害されてきた歴史があるから、グローバリストが多い傾向がある。また、ユダヤ人の国はイスラエルだが、イスラエル以外の国に住んでいるユダヤ人は、その国に忠誠を持てないことが多いだろう。なぜかわかる?
その国では迫害されたことが多いからですか?
そのとおり。さて、ソロスは単なるグローバリストではない。全世界に民主主義を広げようとして、オープン・ソサエティ協会(OpenSocietyInstitute:OSI ジョージソロス財団)というものをつくっている。旧ソ連諸国各地につくっているのが目立つね。
ソロスはなぜ、世界に民主主義を広げようとしているのですか?
彼がハンガリーにいた頃、まずナチスドイツが入ってきてユダヤ人を迫害し、その後、スターリンがハンガリーに入り、さらにハンガリー人を苦しませた。この経験から、独裁主義・民族主義を嫌悪しているからだ。
ナチス・ドイツなどはゲルマン民族を至上の存在とする民族主義ともいえます。
そう。ヒトラーはナショナリストといえるかもしれない。そしてプーチン大統領も「偉大なロシア」を目指しているということで、ナショナリストといえるだろう。
三、ロシアのグローバリスト=オリガルヒ
1991年ソ連崩壊し、エリツィン大統領時代(1991~1999年)に、急速に資本主義化をした。
統制経済から急に自由経済になったのですね。
そう。いわばビジネスチャンスだともいえる。その時、大もうけして財閥を形成した人々をオリガル
ヒという。次の人々はオリガルヒ7人衆と言われている。
ピヨートル・アベン(金融 ユダヤ人 活躍中)
ウラジミール・ボターニン(金属 ウクライナ侵攻に反対、亡命)
ミハイル・ホドルコフスキー(石油 ユダヤ人 プーチン批判 逮捕 亡命。逮捕される二年前、ロシア開放財団(Open Russia Foundation)を設立し、そこにヘンリー・キッシンジャーとジェイコブ・ロスチャイルドを理事に迎えていた)
ミヒャエル・フリードマン(金融 ウクライナ系ユダヤ人 活躍中)
ボリス・ベレゾフスキー(マスメディアなど ユダヤ人 プーチンに反対 亡命→自殺?)
ウラジミール・グシンスキー(マスメディア ユダヤ人 エリツィン、プーチンに反対 亡命)
アレキサンドル・スモレンスキー(金融 ユダヤ人 1998年に失脚)
何と7人中6人がユダヤ人ですね。
ということはグローバリストなのかしら。
そうだといえるだろう。その証拠を挙げよう。1996年の大統領選挙では、ロシア連邦共産党のゲンナジー・ジュガーノフ候補は、エリツィンに一時僅差まで追い込んだ。
シュガーノフは共産党です。かつてのソ連に逆戻りする可能性が出てきたわけですね。
このジュガーノフ大統領当選=ソ連時代に戻る=事実上の独裁政権の誕生に危機感を覚えたジョージ・ソロス はベレゾフスキーに行動を促したことで、ベレゾフスキーはエリツィン再選に貢献することとなった。(ジョージ・ソロス(山田侑平・藤井清美訳)『ソロスの資本主義改革論―オープンソサエティを求めて』より)。
おお、ソロスとベレゾフスキーとがつながっている!
そして、この選挙を機にベレゾフスキーを始めとする新興財閥(オリガルヒ)が政権内で影響力を増し、エリツィン大統領の家族を中心とする側近グループ(セミヤー)を構成していく。だが、一部のオリガルヒが富を独占し、ロシア国民の生活は苦しくなった。
この時代(1991~2000年)は「危機の10年」といわれているようですね。
さて、オリガルヒの支援のおかげで、2000年プーチン大統領が就任した。そして、自分のいうことをきかないオリガルヒを粛清したんだ。先のオリガルヒ7人衆の運命を見たまえ。
うわ。生き残っていているのはピヨートル・アベンとミヒャエル・フリードマンですね。プーチンはしたたかですね。
彼らはプーチンに忠誠を誓ったのだ。
四、グローバリストの反撃~カラー革命=ロシア包囲
プーチンは民主主義者とは言えませんね。なぜかというと、彼に反対する政治家やジャーナリストが謎の死を遂げています。
ソロスと親しいベレゾフスキーなどもロシアから追い出され、ロシアにはプーチンというナショナリスト政権が誕生したといえるでしょう。
そこで、怒ったのがソロスらグローバリストだ。ロシアは国土が広大であるため、全国境を守備することはできない。そこで、自国の周りを友好国(緩衝国)にして、国境を守りやすくしたい。その欠点をついたのがグローバリストだ。次を見たまえ。
うわ、ロシアの周辺で次から次へと革命が起きている!親米・親西側の政権が誕生している。2000年はユーゴスラビア、2003年にはジョージア(バラ革命)、2004年にはウクライナ(オレンジ革命)、2005年にキルギス(チューリップ革命)!!
これらはまとめて色の革命と言ます。選挙→不正がある→暴動→親米・親西側派が実権を握るという共通点もあります。しかし、グローバリストが仕組んだという証拠があるんですか?
オレンジ革命の後にウズベキスタンやタジキスタンなど中央アジアのいくつかの国がオープン・ソサエティ協会(Open Society Institute:OSI ジョージソロス財団)にさまざまな形で圧力を加えている。
ソロスがやったんですかね。
そうみている国もたしかにあるということだ。また、バラ革命で倒れたグルジアのシェワルナゼ前大統領は、2003年11月30日放映のロシア公共テレビの討論番組に参加し、グルジアの政変(バラ革命のこと)が米国の著名な投資家、ジョージ・ソロス氏によって仕組まれたと名指しで非難した。その他、この色革命について、イギリスの新聞・ガーディアンはアメリカ合衆国国際開発庁(USAID)、全米民主主義基金、国際共和協会(IRI)、全米民主国際研究所(NDI)、フリーダム・ハウスのなどアメリカ系の組織の直接の関与を報じている。
なるほど。色革命についてはソロスのみならず、アメリカ政府も絡んでいるのですね。
五、ウクライナとは?
さて、ここでウクライナとはどんな国か見てみよう。ウクライナは穀物がたくさん穫れる農業国だ。トウモロコシ、小麦、ひまわり油などの穀物の世界最大級の輸出国だ。また、ロシアと国境線を接している。さらに、ロシアの発祥の地はキエフ大公国(9世紀~13世紀)、すなわちウクライナなんだ。それどころか、クリミア半島はロシアにとって重要な不凍港かある。だからこそ、絶対、緩衝国にしたい。そこで、親露派政権にしたい。
一方、プーチン政権のような民族主義的・ナショナリスト政権、非民主主義的政権であるプーチン政権をつぶしたいグローバリストとしては、ウクライナは是非自らの勢力圏とし、ロシアに圧力をかけたいですね。
そのとおり。先に述べた、オレンジ革命(2004年)により親ロシア派のヴィクトル・ヤヌコーヴィチ(親露派オリガルヒ)が大統領になれず、西側派のヴィクトル・ユシチェンコ(親欧米派オリガルヒ)が大統領となる。しかし、2010年の大統領選挙では親露派のヴィクトル・ヤヌコーヴィチが大統領に返り咲く。だが、ユーロマイダン(2014年)によりヴィクトル・ヤヌコーヴィチが追放される。
まさにロシア対グローバリストの戦いの最前線がウクライナだったのですね。
そう。ペトロ・ポロシェンコ(2014~2019年の大統領 親露派→親欧米派オリガルヒ チョコレート王)の政権となる。
この人は親露か親欧米か揺れているのですね。
そして、ウクライナ第二位の富豪であるイーホル・コロモイスキーというオリガルヒがいる。彼はイスラエル国籍も持つユダヤ人。アメリカやイギリス、イスラエルといった西側諸国と接点が多く、親欧米派オリガルヒの筆頭格である。
ウクライナはオリガルヒが直接、政治をしているのですね。
1991年のソ連崩壊により、当時、ソ連の一部であったウクライナにもオリガルヒが誕生したということですか?
そう。そのコロモイスキーが所有するテレビ局で、映画や漫画、テレビ番組を制作し、その一つであるテレビドラマ『国民の僕』でウクライナ大統領を演じた人こそがウォロディミル・ゼレンスキー大統領だ。コロモイスキー同様ユダヤ人だ。
もろにユダヤ人=グローバリストが持つ国がウクライナというわけですね。
新西側派オリガルヒが持つ国がウクライナ=グローバリスト=ロシアにとっては危険な存在。だから、戦争しかけたと考えあとも考えられる。また、オリガルヒが持つ国=金持ちに有利な政治=超格差社会だから、戦争にも弱いと考えられた。
しかし、がんばっちゃいましたね、ウクライナ。
いや、がんばりたくないのに、がんばらされているのかもしれない。しかし、戦争が長引けばグローバリストが経営する武器屋は儲かる。
なるほど。コロモイスキー、ゼレンスキ―はユダヤ人ですし。
ま、武器屋はユダヤ人だけではないけどね。ロックフェラーはユダヤ人でないがボーイングという武器屋を傘下においているのは、さっき見たね。
しかし、プーチンは戦争が長引けば困るのでは?
いや、そうとはいえない。ロシアは原油と天然ガスの輸出で持っている国だ。戦争をつつければ原油と天然ガスは値上がりするから、ロシア人の生活は安定=プーチン政権も安定だというわけだよ。
では、困るのは生活が破壊されたり、死なければなならないロシア国民やウクライナ国民ではないですか。
そのとおりだ。
拙著です↓。講師と生徒二人の会話形式で社会科を語る本です。 ゼミナールに参加する気分で、単なる暗記じゃない、基本から説き起こす社会の参考書をぜひ知ってほしいです。 以下から立ち読みも可能です。
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拙著に込めた思いについては
「やさしい中学地理」について | やさしい社会ブログ (ameblo.jp)
「やさしい中学歴史」について | やさしい社会ブログ (ameblo.jp)
「やさしい中学公民」について | やさしい社会ブログ (ameblo.jp)
を参照してください。
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