ついに11件目の法令違憲判決が出る!! | やさしい社会ブログ

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真顔さる5月25日に最高裁判所は、在外日本人に最高裁判所裁判官の国民審査(権を認めていない国民審査法は、憲法15条1項(公務員選定罷免権)、79条2項、3項(国民審査)に違反する判決を出したね。国民審査とは何かについては↓を参照してね。

 

憲法79条第2項 最高裁判所の裁判官の任命は、その任命後初めて行はれる衆議院議員総選挙の際国民の審査に付し、 その後十年を経過した後初めて行はれる衆議院議員総選挙の際更に審査に付し、その後も同様とする。

憲法79条第3項 前項の場合において、投票者の多数が裁判官の罷免を可とするときは、その裁判官は、罷免される。

 

おとめ座なるほど。国民審査とは、最高裁判所の裁判官を辞めさせるか否かを、約10年ごとの国民の投票によって決められるという制度ですね。

 

ニコつまり、おかしな最高裁裁判官を国民が辞めさせられる制度ということです。

 

おとめ座これは、国民主権、つまり政治の最高決定権は国民にあるという仕組みを反映する制度です。

 

真顔そう。国民審査は国民主権を現実化する極めて重要な制度だから、在外日本人が国民審査に参加できないということは許されないとしたのだね。

 

おとめ座在外日本人も「国民」ですもんね。内閣の木原誠二官房副長官は25日の記者会見で「(判決を)厳粛に受け止めたい。今後、判決の内容を十分精査する必要があるが、立法的な手当てはいずれにしても必要だ」と述べた。制度を所管する金子総務相は同日、「判決内容を踏まえ、国民審査の在外投票を可能とするための方策について早急に検討する」との談話を出したとのことです。

 

ニコ内閣は国会と協力して、裁判所の判断通りに動こうとしていますね。

 

おとめ座ところで、本判決は裁判所が違憲審査権を行使した事例ですね。

 

真顔そう。今回はこの違憲審査権について学習しよう。

 

真顔先生、「違憲審査権」とは何ですか?

 

真顔国会や内閣の行動が「憲法に適合するかしないかを決定する権限」(憲法81条↓)だよ。国会や内閣が憲法に違反することをした場合、何らかの機関が「それは憲法に違反する、すなわち違憲だからいけないと判断できなければ、せっかくの憲法もみんなに無視されて、効力を失う可能性があるよね。日本国憲法では「裁判所」がその何らかの機関、つまり、違憲か合憲かを判断できるとしている。

 

憲法81条

最高裁判所は、一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である。

 

おとめ座でも、先生、なぜ違憲か否かを判断できる機関が「裁判所」なんですか?我が国は国民主権の国です。国民が国の政治の最終決定権があるのです。ならば、国民に選挙で選ばれ、国民の代表者である国会が違憲がどうかを判断すべきではないでしょうか?

 

真顔鋭いね。サクラさん。しかし、それは独裁主義との闘争の結果だよ。ドイツでヒトラーが政権を握れたのは、国会がヒトラーに賛成したからなんだ。イタリアでも同様だ。

 

アセアセ確かに、国会がヒトラーの憲法違反を認めたから、独裁になったといえますね。

最高裁判所大法廷等の写真 | 裁判所 (courts.go.jp)

おとめ座国会に違憲審査権を認めるべきでないとしたら、内閣か裁判所かということになりますが、内閣より、政治的闘争とは無縁かつ中立的で、憲法や法律などの専門家の裁判所に与えるしかないということになりますね。

 

真顔そういうことです。ここで、今回の判決以外で、今まで、裁判所が法律を違憲した事例をまとめておこう。

 

裁判所が法律を違憲(法令違憲)とした事例

無効とされた法律

理由の要旨

1973年

刑法200条(尊属殺人罪)

酌量減軽を行っても執行猶予を付すことができない尊属殺人罪はあまりにも重すぎ憲法14条(法の下の平等)に反する。

1975年

薬事法6条2項

薬事法6条2項の薬局の距離制限は、憲法22条1項(職業選択の自由)に反する。

1976年

公職選挙法

1対5という一票の格差は憲法14条(法の下の平等)、44条(普通選挙)に反する。

ただし※事情判決。

1985年

公職選挙法

1対4.40という一票の格差は憲法14条(法の下の平等)、44条(普通選挙)に反する。ただし事情判決。

1987年

森林法186条

森林法186条の共有林の分割制限は、憲法29条2項(財産権の保障)に反する。

2002年

郵便法68条、73条

郵便法68条、73条による郵便業務従事者の過失により発生した損害賠償責任の免除は、憲法17条(国及び地方公共団体の国家賠償責任)に違反する。

2005年

公職選挙法

在外日本人に国政選挙における在外選挙制度による選挙権行使を認めていなかった公職選挙法は、憲法15条(成年者普通選挙保障)、44条(普通選挙等)に違反する。

2008年

国籍法

母親が日本国民の場合や父親から胎児認知を受けていた場合は、出生時から日本国籍を取得できる一方で、日本人が父で外国人が母の非嫡出子は、父母が婚姻しなければ出生時から日本国籍を取得できない規定は、憲法14条1項(法の下の平等)に反する

2013年

民法900条

嫡出でない子の法定相続分を嫡出子の2分の1とする規定は、憲法14条1項(法の下の平等)に、反するに至っていた。事情判決?。

2015年

民法第733条第1項

民法における女性の再婚禁止期間(前婚の解消又は取消しの日後6ヶ月間)が、100日を超えるのは過剰な制約であり、憲法14条1項(法の下の平等)、24条2項(両性の本質的平等)に違反する。

※事情判決=国の行為は違憲だが、その国の行為を有効とする判決。たとえば、1票の格差の問題では法令は違憲だが、選挙自体は有効とされた。

 

 

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