NO.608
「おカネの教室」
著者: 高井浩章
読了日:2020年12月5日


特徴:
お金にかかわる世の中の仕組みを、かみ砕いて説明してくれる作品
二人の中学生がクラブ顧問との活動の中で、「お金」の調達手段について学ぶ
普段の勉強では学べないことに、興味を持って挑む二人
お金持ちのお嬢様と消防士の父を尊敬するふつうの男の子の二人の交流が、難しいお話にも打ち水の役割を持たせてくれます

読後の感想:
「お金」の話がわからなくてもガンガン読み進めました

理解できていなくても、物語として面白かった
そもそも、このクラブが謎だった、先生が怪しかった、黒幕もいた
偶然に参加した、第三者である主人公の男の子もいい存在でした
甘酸っぱい、淡い恋模様も軽めでそれもよい
正直、読んだ後もお金の話は難しいままだ(これは私の理解力の低さからだと思うが)

どんな人におすすめか:
お金について学び直したい人

私は、十代でこの本に出合いたかったです

社会を理解するには、「お金」に興味を持つことが手っ取り早いから

そういう人間でなかったからな~

ページ数
267(単行本)
読みやすさ
3(満点3)
わかりやすさ
2(満点3)
ストーリー
2(満点3)
テンポの良さ
3(満点3)
意外性
2(満点3)
私個人の好み
3(満点5)
合計
15(満点20)

2020年40作品目

つぶやき:
いろんなサイトにあるこの本の要約なんかも読んだんですが、金融や経済について私が疎すぎてなかなかついていけないですね、断片的には理解したつもりです
定期的に、こういう方面も読んでいこうかな

次に読む本:
辻村深月 著「冷たい校舎の時は止まる」
 

NO.607
「かがみの孤城」
著者: 辻村深月
読了日:2020年12月3日

特徴:
鏡の城に集められた男女6人の子どもたち
彼らは「自由」と「目的」と「制限」と「罰則」を与えられる
制限時間内ならば何度も入退可能で「自由」に城内を利用できる
3月30日までに「願いの部屋」に入る鍵を探すという「目的」を与えられる
入城は「制限」があり午前9時から午後5時まで、それより居残れば連帯責任で「罰則」が与えられる
城の利用は3月30日まで、願いの部屋の鍵を見つけられたなら、一つだけ願い事が叶う
しかし、願いをかなえたら城の利用は即刻終了、6人のそこでの記憶も消える
いったいなぜ、この6人だったのか?この城は6人に何をさせたいのか?謎は多い

読後感について:
主人公を含めて7人の登場人物、どんな読者にも、その誰かの思いは共感できるのではないだろうか
結末からエピローグにかけて、数多くの伏線が回収されていく
読中に気づいたことも、そうでなかったものもあったが、
登場人物たちのその後を案じるとともに、そうだったのかと安堵するところも
そんな中で、この作品に出会えたことにありがたさと、作者の世界観と筆力に感謝する

どんな読者におすすめか:
無論、第一にお薦めしたいのは、作品の主人公たちのようなド直球な世代です
その多感な時期、周りと自分との間の距離感が難しく感じる時期
また、大人へ近づくことへの不安や嫌悪など様々なネガティブな心の変化や状況や環境の不安定な中、心に寄り添うものが本であってもいいと思う
この作品は楽しめる上に、心を軽くしてくれる
でも....、大人だってお薦め
十代の子たちに薦めたいと思いながらも、やっぱり大人にも読んでもらいたい
一見、児童文学風ですし、登場人物たちも十代なので敬遠する方もいらっしゃるかもしれませんが、私も読んでみて気づくことが多い
人間の本質は一緒なのでは....
つまり、人の多くの悩み事は人間関係で、他者から見れば一見くだらない揉め事のようなことも当事者は真剣だったり深刻だったり、意地の張り合いから修復不能に陥ったり、関係の薄い人から嫌われたり、相談する相手が見つからずに孤立したりすることは、世代と関係ない事です
大人だって腑に落ちる内容だと思う
ですから、全世代におすすめです

ページ数
554(単行本)
読みやすさ
3(満点3)
わかりやすさ
3(満点3)
ストーリー
3(満点3)
テンポの良さ
3(満点3)
意外性
3(満点3)
私個人の好み
4(満点5)
合計
19(満点20)

2020年39作品目

つぶやき:
以前に「本日は大安なり」を読みましたが
「かがみの孤城」を読んで、こんなすごい作家さんだったんだと改めて気づかされました

次に読む本:
高井浩章 著「おカネの教室」
 

NO.606
「インストール」
著者: 綿矢りさ
読了日:2020年11月29日

特徴:
自称変わり者の女子高生が主人公
彼女は、毎日みんなと同じ生活を続けることを疑問に感じ登校拒否を始める
その彼女が、ある日ゴミ出し場で出会った12歳の少年の力を借りて、自らを「別の誰か」へ「インストール」する
この小説にとって、この主人公の一つ目の変化は「引きこもること」
二つ目の変化は「別の誰かに成り代わること」、そして最後の変化は「自分とそれ以外の者たちとの本当の現実を受け止めること」
彼女にとって、この出会いは、その後の人生にどんな変化をもたらしたか


率直な感想:
インストールともう一つの短編も文字量も少ないのにかかわらず、両方読みにくかった
評判よい作品と知っていたので、自分に理解できないことに残念

独特な文体:
改行が少なくて、足りない句読点
頭の回転が速すぎる人の会話のように、急き立て機関銃のごとくのつづく言葉の洪水

世代のせい?綿矢りさ特有?の難解単語:
①「ベル席を守る」→始業ベルが鳴ったらきちんと着席すること
②「天使様がお通りになった」→会話が途切れて黙ること(フランス語の慣用句の直訳らしい)、しかし主人公は逆の意味で使っており、それは「天の助けだ」と思って会話が再開されたことの意味で使っている。元の意味も逆の意味も意味不明だ
③「ネカマ」→インターネットの中で性別を偽る人

唯一面白いと感じたところ:
人の家のコーラを飲む代わりに、その家の「なめこ汁」を勝手に飲んであげるということを「お返し」と呼ぶ感覚

おすすめの読者:
2000年くらいに高校生だった女性や、世代間ギャップを楽しみたいそんな方
ただ、自分には向いていない作品でした

それでも、綿矢さんのその後の作品も読んでみたくなる気持ちもあります
もしかしたら、理解はできなくても、魅力のある何かを感じているのかもしれません

ページ数
172(文庫)
読みやすさ
1(満点3)
わかりやすさ
1(満点3)
ストーリー
2(満点3)
テンポの良さ
2(満点3)
意外性
1(満点3)
私個人の好み
1(満点5)
合計
8(満点20)

2020年38作品目

つぶやき:
小説の読み方については毎度考えさせられる
素直にそこで起きた事象をそのまま受け止め、前に進むか
「それってどういうこと?」と何度も立ち止まっては、前のページに戻ったりしながら理解しようとするべきか
皆さんはどうですか

次に読む本:
辻村深月 著「かがみの孤城」