NO.611
「腕貫探偵」
著者:西澤保彦
読了日:2020年12月13日
特徴:
やたらと難読固有名詞の多い作品
例えば、蘇甲(そかわ)、櫃洗(ひつあらい)、筑摩地(つくま)、田還(たがつくり)、完利(しとり)、傍陽(そえひ)、兎毛成(ともなり)など、これだけでも面倒で疲れます
作品は連作短編
一話ずつ代わる代わる別の依頼者が表れ、その抱えている問題を、腕貫を嵌めた男(作中の設定では、市民サーヴィス課臨時出張所の一般苦情係の職員)が、安楽椅子探偵のやり口でヒント又は解決の糸口を与えます
ただし、その腕貫の職員は神出鬼没で、大学や病院、警察署など色々なところで表れ、依頼者たちは偶然に遭遇する形で出会う
まったくもって、腕貫が正規の役所の人間なのか、はたまたスピリチュアルな存在なのかは、目的も含めて不明
続編があるようなので、彼の正体はそちらでわかるのかもしれませんが......
読後の感想:
肌に合わなかった、以下理由
①やたらと人物の名前が難しい
②感情移入できる登場人物がいない
③腕貫探偵に、人間味がない
④それぞれの依頼者のつながりが乏しくて、複合的な展開がない
⑤安心できる人物が不在している
⑥①から⑤の要素が、最後まで魅力に感じられなかったため

ページ数
302(文庫本)
読みやすさ
2(満点3)
わかりやすさ
2(満点3)
ストーリー
1(満点3)
テンポの良さ
3(満点3)
意外性
1(満点3)
私個人の好み
2(満点5)
合計
11(満点20)
2020年43作品目
つぶやき:
読むときの体調や気分によって作品の評価が変わってしまうのが残念だ
次に読む本:
再読 柚木裕子 著「最後の証人」
NO.610
「失踪者」
著者: 下村敦史
読了日:2020年12月10日
特徴:
山を愛してやまない男たちの物語
10年前の山の事故で置き去りにしてしまった親友を迎えに行く主人公
やっと見つけた遺体は、その時よりも年をとっていた
いったい、遭難から生き延びていたのか?
ならば何故、連絡をくれなかったのか?
空白の期間、いったいどこで何をしていたのか?
どうして、彼は同じ場所で死ななければいけなかったのか?
主人公は、友人との過去を振り返りながら、彼の空白の数年の消息を追う
素直な感想:
山に魅入られた人間たちの美談だな......と
いや、その言い方は無いかな
この設定がハマる人には、男の友情物として号泣ものだろうけどね
なるほど、冒険家といわれる人々は、危険なお遊びを好む無謀者のレッテルを貼られながらも、称賛と非難との狭間で生きているということを知る
ミステリーとしては、親友が既に死んでいるという当初からの絶対前提をひっくり返す程の驚きはなかった
そもそも最近、トリックやミスリード、設定が凝ったものばかり読みすぎた
とりわけ、私に山岳小説が合わなかったのかもしれない
おすすめの読者:
山岳小説、登山関係に興味や経験のある方
謎解きよりも、男同士の友情もので感動したい方
合うか合わないか、はっきり分かれそうだ

ページ数
295(単行本)
読みやすさ
2(満点3)
わかりやすさ
2(満点3)
ストーリー
2(満点3)
テンポの良さ
2(満点3)
意外性
1(満点3)
私個人の好み
2(満点5)
合計
11(満点20)
2020年42作品目
つぶやき:
男のロマン系の作品は、心の体力が豊富で元気な時期じゃないと
素直に受け付けないかもな
次は、軽めの作品でいこう
次に読む本:
西澤保彦 著「腕貫探偵(うでぬきたんてい)」
NO.609
「冷たい校舎の時は止まる」
著者: 辻村深月
読了日:2020年12月8日
特徴:
雪の降る日に高校に登校してくる8人の男女
その中に作者と同じ名前の登場人物がいるのはどういう意味か?
8人が揃ってしばらくしても、姿を見せない教師たちや他の生徒たち
自分たちにだけ連絡が来なかっただけで、今日は休校なのか?
一人の生徒がしびれを切らして、帰ろうとするが、解放されていたはずの入口が閉じていて開かない
一人の生徒が携帯電話を使おうとすると圏外、電波はよかったはず、雪のせいか?
突如としてクローズドサークルと化した校舎、なぜか時計は「五時五十三分」で止まっていた
これから訪れる試練と、彼らが忘れてしまった2か月前の過去
この中にいるはずのない人物が、いるのかもしれない
いったいこの空間を支配しているのは誰で、何の目的なのか?
読後直後の感想:
やー、長かった、700ページ超えてるもんね
でも、後半でいくつも見せ場をつくってくれていて
泣きましたね
とにかく「菅原」の回想シーンが衝撃で、心をえぐられました
その話しがとても良かったので、結末にあまり期待することなく読んでいたんですが、
まさに、まさかの展開、しっかりミスリードに引っかかっていた
心を動かされる感動の一作でした
最後は安心できたので
お薦めどころ:
先日「かがみの孤城」を読んで、この作品も少し似ていると思ったが、この作品のほうが登場人物たちの話し方が大人びているので、上の世代でも読みやすい気がします
メインはミステリーではないものの、しっかりそこも楽しめると思う
ミスリードに引っかからないように挑むのもありだ
かがみの孤城の時もそうだったが、読んだ後に作中の登場人物たちと、思い出を共有できるような気持ちになる、それが辻村氏の魅力なのかもしれない

ページ数
上233 中267 下281(文庫本)
読みやすさ
3(満点3)
わかりやすさ
2(満点3)
ストーリー
3(満点3)
テンポの良さ
3(満点3)
意外性
3(満点3)
私個人の好み
5(満点5)
合計
19(満点20)
2020年41作品目
つぶやき:
小説というのは、良くも悪くも読者の「負」の感情を引き出してくるものなのかな
8人の登場人物の中に、似ている人や似ている感情を思い出させる人がいませんか
僕はいたな
次に読む本:
下村敦史 著「失踪者」