NO.607
「かがみの孤城」
著者: 辻村深月
読了日:2020年12月3日

特徴:
鏡の城に集められた男女6人の子どもたち
彼らは「自由」と「目的」と「制限」と「罰則」を与えられる
制限時間内ならば何度も入退可能で「自由」に城内を利用できる
3月30日までに「願いの部屋」に入る鍵を探すという「目的」を与えられる
入城は「制限」があり午前9時から午後5時まで、それより居残れば連帯責任で「罰則」が与えられる
城の利用は3月30日まで、願いの部屋の鍵を見つけられたなら、一つだけ願い事が叶う
しかし、願いをかなえたら城の利用は即刻終了、6人のそこでの記憶も消える
いったいなぜ、この6人だったのか?この城は6人に何をさせたいのか?謎は多い

読後感について:
主人公を含めて7人の登場人物、どんな読者にも、その誰かの思いは共感できるのではないだろうか
結末からエピローグにかけて、数多くの伏線が回収されていく
読中に気づいたことも、そうでなかったものもあったが、
登場人物たちのその後を案じるとともに、そうだったのかと安堵するところも
そんな中で、この作品に出会えたことにありがたさと、作者の世界観と筆力に感謝する

どんな読者におすすめか:
無論、第一にお薦めしたいのは、作品の主人公たちのようなド直球な世代です
その多感な時期、周りと自分との間の距離感が難しく感じる時期
また、大人へ近づくことへの不安や嫌悪など様々なネガティブな心の変化や状況や環境の不安定な中、心に寄り添うものが本であってもいいと思う
この作品は楽しめる上に、心を軽くしてくれる
でも....、大人だってお薦め
十代の子たちに薦めたいと思いながらも、やっぱり大人にも読んでもらいたい
一見、児童文学風ですし、登場人物たちも十代なので敬遠する方もいらっしゃるかもしれませんが、私も読んでみて気づくことが多い
人間の本質は一緒なのでは....
つまり、人の多くの悩み事は人間関係で、他者から見れば一見くだらない揉め事のようなことも当事者は真剣だったり深刻だったり、意地の張り合いから修復不能に陥ったり、関係の薄い人から嫌われたり、相談する相手が見つからずに孤立したりすることは、世代と関係ない事です
大人だって腑に落ちる内容だと思う
ですから、全世代におすすめです

ページ数
554(単行本)
読みやすさ
3(満点3)
わかりやすさ
3(満点3)
ストーリー
3(満点3)
テンポの良さ
3(満点3)
意外性
3(満点3)
私個人の好み
4(満点5)
合計
19(満点20)

2020年39作品目

つぶやき:
以前に「本日は大安なり」を読みましたが
「かがみの孤城」を読んで、こんなすごい作家さんだったんだと改めて気づかされました

次に読む本:
高井浩章 著「おカネの教室」